肉体の入手

「素晴らしい……!この体は過去に半魔にもなった体だな!素晴らしい………素晴らしい……!」

奥には変わり果てたマイの姿。

おかしい。何があった……。この気を失っている間に何があったのだろうか。

「ダイスケさん……!何があったんだ!?マイが真っ黒な鎧の姿に変わってるじゃないか!!」

ダイスケさんは黙ったままだ。

「何があったんだよ!教えてくれ!あれはマイじゃない!何かあったんだろ!教えてくれよ!」

やっとダイスケさんが口を開いた。

「取り憑かれた……。」

「は?取り憑かれた?なにいってんだよ!?そもそもアウグイドは消えたはずじゃ……」

「確かに消えた。でもあいつは魔石に自分の魂を全て凝縮させていたんだ……。それで触れたマイの体を乗っ取ったんだ……。しかも一回あいつは魔族になりかけたらしい……。取り憑く条件は揃っていたんだよ……。」

「てことは……。」

「あぁ……。あいつの体は今完全にアウグイドの支配下だ。」

そうか……。僕は彼女は盾から剣を引き抜く姿を見た。完全に彼女の意思はない。

「やるしか……うっ……。」

僕は武器を出そうとスキルを使おうとするも立ちくらみがしてその場に跪いてしまう。

「まだ完治はしてない……。その状態で動くのは危険だよ。だから代わりに僕達があいつを処理する。ハルくんはまずはしっかり体を休めるんだ。」

「ウェイアンさん……。無理はしないで欲しい……。危なくなったら一旦引くのが得策だ……。」

「分かってる……。それに、今はもう一人仲間が帰ってきた。」

ガスパオロ。僕を追放した後で魔族となってしまった男。

しかし、その力はアウグイドに吸われ、今は肉体のみが残った。

「改心したってことでいいのか……?」

「まぁ、そうだね……。」

月の狼のメンバーたちがマイの方へと向かっていく。

マイの方も全てお見通しかのように攻撃を防いでいく。

僕はただ、見守ることしかできなかった。

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