火力差と犠牲
「ふぅむ……。なぜか力がうまく乗らない……。なぜか私という生きている存在が否定されている感覚に陥っている……。」
そうか……。ライマルクさんの疑似冥界の力がまだ働いているのだ。確かにまだうっすらとだが結界魔法のかかっている感じがする。
「ほう……?下の方で謎の工作をしている奴がいるんだな……?そこのあたりか……?ふん!」
すぐさまアウグイドは魔球を作り出し、結界の中心部に向けて放つ。
「まずい!間に合わない!」
僕たちは中心部からは少し離れた位置にいる。それに、周りには魔族が大量にいる。マイやラーイーダが全力で向かっても間に合わない。
「これで耐え凌ぐしかないか……!」
僕は念力剣を手に持ち、時間を稼ごうとする。
「無駄な抵抗はよせ。どうせ無理だ。あの地下にいる工作員は死ぬんだよ!フフフフフフフ……ハハハハハハハハハハ!」
魔球がもう地面に近いところまで迫っている。ライマルクさん……ごめんなさい……
「敵はあいつらだけじゃないんだよ……!この結界がある限りな……!」
「豚もどきが何を言っている。貴様はこの魔球を抑え切ることはできない。今はギリギリと言ってところだろうに……。哀れこの上ない。自分の力も理解していないとは……。」
「理解していないのはそっちね。植物よ。あの球のエネルギーを吸い取りなさい。」
「シュリエル……!ゴブリンキング……!どこへ行ったかと思ったら!」
「いや……すまないな!ハル!兵士だけ出して離れちまって!危ない気配がしたから一旦離れてたんだ!したらこの始末だ!俺らが出るしかないだろ!?」
「本当よ……。急にあんな変な体に変わるなんて思いもしなかったわ……。」
「っち……。どこまでも悪あがきをしやがって……。魔球も消えてしまったではないか……。侮れんな。だが!地上から攻撃しなければいい話!地下から私は責めるぞ!」
アウグイドは地下から魔球を飛ばしたらしい。地響きがしている。
「植物の力、舐めてもらっては困るわ!根を張りなさい!」
シュリエルがすぐさま根を地面に張ってくれたらしい。
「しばらくはこれで持つはずよ……!ただ……。私の核はもう持たないわね……。この防御が終わったらもう多分これ以上の活動は望めない……。だから……。最後にこの力を……!」
シュリエルは僕に謎の宝石を投げてきた。中にはキノコが入っている。
「それは私のクリスタルマッシュルームを指示したり召喚したりで使ってた宝石……。もう私が持ってても意味がないから……。」
そう言ってシュリエルは消えていった。
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