真の忠誠

「大丈夫ですか!?ハル殿!」

「実宗さん……!」

「どうやら私はこの一撃で無念な結果になるようです……。せめて最後にこれをお受け取りくださいませ……。」

「これは……!」

「説明する暇もないようです……。詳細は自身でご確認を……。」

「分かった……。ありがとう。」

実宗さんはその後消えてしまった。

「最後の遺品ってだけあるな……。」

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日本刀 レア度 ★★★★★★★★★★★★

この世界ではあるはずのない剣。

村正家より代々伝統として作られている剣のフォルムである。

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「その変な形をした刀でどこまで凌げるというのかね!」

「いくらでも凌げるさ。行くぞ!!」

僕とエギビエルの槍がぶつかり合う。

部屋の中には二人しかいない。

ただ響くのはお互いの吐息と剣と槍のぶつかる音。

お互いが一歩も譲らない。

それこそお互いがお互いの行動を読んでいるかのように防げている。

「ふん……。なかなかやるな……。しかし、貴様の剣は属性を持っていない!この炎の槍で燃やし尽くしてやらぁ!」

「実宗さん……残してくれた忠誠心……お借りします……。水流の剣舞!」

僕は実宗さんの使っていた剣さばきを真似して動く。

同じ動きをしたところで最初から使えるわけがないのはわかっている。

でも、この舞はそれが狙いじゃない。

「なっ……!槍が避けられてるだと……!?槍よ!スキル忠誠はどうした!」

「命令で従ってる忠誠なんてたかが知れてる。真の忠誠心っていうのは……。自らそうしたいと願ってこその忠誠だ!はぁっ!」

僕は腕に力を込めてもう一度剣舞をする。

「なっ……水が軌道上に……!?」

エギビエルの言葉など気にせず僕は剣舞を続ける。

「ふざけるな!死ね……!死ね……!死ねぇ……!」

エギビエルは何本も槍を飛ばしてくる。

しかし、それは無駄骨だ。

なぜなら全て水によって流されるか、炎が消されるから。

「んなっ……!負けるな!数で押せ!必ずしもスキは……うっ……いつのまに……?」

「いつも何もついさっきさ。水も高さが高ければコンクリート並に固くなる。それを利用して弾にして飛ばした。それだけだ。」

「くっ……そんなことが……。」

僕は消えかけていくエギビエルを見て外をふと見る。段々と結界が崩壊して行っているようだ。

「僕の勝ちだ……。これでやっと帰れる。しかし……ここのいいところが一つだけあるなら……。綺麗だったなぁ……。」

僕は崩れていく夜景を眺めながら結界の崩壊を待った。


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