ガーコイルの王

「どんどん下り坂が急になっていくな……これは帰る時に辛くなるぞ……」

「本当だね……しっかり踏ん張らないと落ちちゃいそう……」

「そもそもここでお前たちは帰れなくなるがな!フフハハハハハ!」

「何者だ!」

「姿を見ればわかるだろう?とうっ!」

それはシルクハットを被り、マントで身を隠したガーコイルだった。

「ガーコイルって種族だよな……?お前は……。」

「いかにも。」

「羽も生えててかっこいい……」

「だろ?ってそういう話をしてるんじゃない!調子狂うな……オレはお前らを倒すためにここに来たのだ。」

「この通路は全員攻撃的って訳か……」

「ほぉ?その言い振りだと他の通路を攻略してきた訳か……良かろう……。その強さに免じて濃も本気を出すとしようか……。」

そのガーコイルはマントを脱ぎ捨て、シルクハットを脱ぎ捨てた。

「やる気満々ってわけか……いいだろう……やってやるよ……!」

「そこの少年のみで戦うのか?」

「いいや。マイも一緒だ。」

「いいだろう。二人でかかってくるがよい!」

「いくぞ!マイ!」

「うん!」

「二人してかかってきても無駄に終わるだけだがな……!ふん!」

ガーコイルは空高く飛び上がり、羽を広げた。

「空中戦ってわけか……マイ。僕が念力剣を渡すから盾を持ちながら持って戦ってくれ……!前みたいにやればコントロールできるはずだ!」

「オッケー!任せて!」

マイは前の脱出の時に使って慣れたのか割と小回りを聞かせて飛べるようになっていた。

「ほう?お前たちも飛ぶ能力を持っているというわけか?」

「実際は補ってるってとこだ!いくぞ!ガーコイル!」

僕は念力剣を左手に持ち換え、右にマルタの剣を握る。

「羽を取ってしまえばただのゴーレムもどき!おらぁ!」

僕はマルタの剣をガーコイルの羽めがけて投げる。

「無駄無駄ぁ……。ふふふ……!ハハハハハハ!」

ガーコイルの方も対策がないわけではない。

爪を伸ばし、剣を抑え弾き飛ばす。

「ちっ……やっぱ対策の1つ2つはある訳か……!」

「当たり前だ……!濃はガーコイルの中でも上位種だからな!」

「通りで強いわけか……」

「後ろがガラ空きよ!はぁ!」

マイが盾をガーコイルを撃ち落とそうとする。

「ふん!その程度の加速なら跳ね返せるわ!」

ガーコイルは羽を震わせ大風を起こす。

「うぅっ……!」

「マイ!!」

マイは風に負けて地面に打ち付けられた。

「マイ!大丈夫か!?」

「大丈夫……。着地直前に盾で衝撃を抑えたから……。少ししたら戻る……。」

「分かった!無理はするなよ!」

僕はマルタの剣を捨て飛行剣を手に持つ。

「これならどうだ!『バイオレントハルバード』!」

僕は飛行剣の攻撃とバイオレントハルバードを組み合わせ、ガーコイルを狙う。

「無駄無駄!この風の一撃で全て地面送りだぁ!」

「それはどうかな!もう一回いけ!」

僕は飛行剣の追撃能力を使ってもう一度攻撃チャンスを作る。

「なんだと……!?もう一度来るというのか!」

ガーコイルは爪を両手から出して打ち落とし始める。

「後ろも注意な!」

僕はもう一度飛行剣を振るい、剣を飛ばす。

「後ろもか!くそ!これは少しの被弾はしょうがないな!」

ガーコイルは奥へ飛び、剣を誘導している。

「相当な戦略を持ってる人だな……でも不意打ちには弱そうだ……ならば……!」

僕は召喚ステッキを持ってガーコイルと反対側へ向かう。

「こいつでどうだ!」

僕は触手魔族を思い出せる限りの姿で召喚する。

「ふぅむ……。人間に味方するのは魔族として癪だが召喚されたからには従うしかないな……。敵はどこだ?」

「あの飛んでるガーコイルだ。」

「承知。ただ共鳴度は低いから数回攻撃したら消えるかまたは敵になる可能性があるが……。」

「構わない。あいつに攻撃を与えられればそれでいい。羽をなるべく狙ってくれ。」

「承知。任せとけ。」

触手魔族は触手をドリルとアームのようなものに変えてガーコイルの元へ向かった。

「魔族様!加勢してくれ……うおっと!そんな気持ちはないと……。」

「よっし!片方の羽を傷つけられた!もう一回頼む!」

「承知。」

「お前が召喚したというのか!?そういうことだ!魔族だというのか!?」

「んな訳。僕のとある力を使って召喚しただけさ。」

「なんだと!?うあっ!?」

「私の存在忘れてたでしょー!不意打ち成功!」

「ナイスだ!マイ!これで翼は片方破損だ!」

「もう片方を破壊しにいく。そこの盾のやつは援護頼む。」

「任せたよ!魔族さん!」

「任せろ。」

触手魔族は触手を大量の剣に変えてフラフラ飛んでいるガーコイルの元へ向かう。

「喰らいやがれぇぇぇぇぇ!」

触手魔族はガーコイルの元へと向かっていく。

「やられるくらいならぁ!」

ガーコイルは片方しかない羽をめいいっぱい震わせ、極限まで伸ばしたであろう爪を触手魔族に差し込みに行く。

「「おらぁぁぁぁぁ!覚悟しろぉぉぉぉ!!」」

ドォォォォン!と大きな音がして2体は二人とも消え去った。

「なるほど……これほどの力とはな……。」

ガーコイルは地面に跪き、そのまま痙攣している。

「さて……とどめか……」

僕はガーコイルに向けて歩いていく。

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