決着と教訓
「んで……?試しに聞くがお前は俺を殺せば気がすむわけか……?」
「そういうことだな。」
「なら、殺させてやるよ……。」
「ハルくん!?何を言ってるの……!?」
「ほう……ではありがたく……」
「でも、その前にこいつと戦ってもらおうかな。」
「何を言ってるんだ……?何もいないではないか!」
「今から出すんだよ。このステッキでね。」
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召喚ステッキ レア度 ★★★★★★★★★★★★★
今までに見たことのあるモンスターがステッキ一本につき一回のみ召喚できる。
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「いでよ!巨神兵!」
僕は魔族を倒した時にもお世話になった巨神兵を召喚する。
パキン。
「あっ……ステッキが折れちゃった……。まぁ、いいや!巨神兵!あの兵士を倒して欲しい!人間の姿してるけど実際は悪霊だから思う存分やっていいぞ!」
「バカな……冥界の民しか召喚できない巨神兵をこんな意図も容易く一般人が出せるなんて……!結界の効果はどうなった!!」
「だから言ってるでしょ?僕のこういう道具とか作れるのは魔法じゃないって。」
「くそぉ……!こうなったら!行け!怨霊ども!あのゴーレムと子供を灰も残さず焼き尽くせぇぇぇ!!」
また先ほどのように怨霊が何匹も出てくる。
「さっきとは比べ物にならない量だな……こりゃ……ひい、ふぅ、みぃ……ざっと100ってとこか。」
「出そうと思えばもっと出せるぞ!行け!全員一斉発射だ!」
怨霊達は全員火の玉を体の前に出し、巨大化させていく。
「そっちがその気なら……やるぞ。巨神兵。後ろは頼んだ!」
巨神兵は了承したのか、ビームを出す準備をしている。
「こっちは僕がちゃちゃっと片付けちゃいますか!」
僕は飛行剣を手に持ち、怨霊に向けて飛ばす。
「これでやっと2割ってとこか。」
僕は飛行剣を捨て、チャージソードに持ち変える。
「飛行剣で倒れるならこれで十分だ!喰らえ!」
僕はチャージソードをほぼチャージせずに怨霊の群れに向けて撃つ。
「よし!これであと3割だ!」
「巨神兵!お前も大丈夫そうだな!」
巨神兵の方へ目をやるとビームやパンチで怨霊達を順調に倒せているようなので大丈夫そうだ。
「さてと……残りはこれでいっか!」
僕は念力剣で怨霊達を一つに物凄いスピードで固めようとする。
「やっぱり脆かったな……。」
巨神兵も怨霊達を倒し終わったのか僕の後ろで仁王立ちしている。
「さて……?兵士さん?どうするんだ?」
「んにゃろぉ……!絶対にお前を倒す……!!」
「だからこいつを倒してからだって……。ほら、行っておいで!」
僕は巨神兵を兵士と向き合わせる。
「このデカさなら元の体に戻ったほうがやりやすいな!」
兵士は元の姿へ戻り、巨神兵と同じ大きさになる。
「さぁ……!勝負だデカブツ!」
怨霊は巨神兵を包み込むように飛び掛かる。
巨神兵は倒され体制が悪くなり、どんどんとヒビが入っていき、やがて倒れてしまう。
「なんだ。あっけなかったな。」
「かかったな……!」
「ゔっ……!?どういうことだ……この霊体には攻撃できないはず……」
「あいつは冥界を守るゴーレム。悪霊の特集効果くらい消せて当然だ。」
「にしてもなぜ……巨大な俺にこれほどのダメージをっ……!」
「これの効果さ。」僕はビッグキラーソードを見せびらかす。
「なんだそれは……!また変なものを出しおって……!」
「こいつは巨大な敵に特攻が入る!巨神兵の効果で攻撃が通るようになったお前には効果は抜群だ!」
「貴様……すべて仕組んで……!」
「戦闘というものは時に策略……、時に騙し合わなくてはいけない時だってある……。君だって結界魔法を二つ所持していたのを隠していただろう……?」
「うっ……それは……!」
「そう言うことさ。」
「黙れ……!黙れ黙れ黙れ!ここでお前を殺せばいい話!行け!怨霊ど…………がっ……」
「ナイス。マイ。」
怨霊の体をマイの盾が貫いていた。
これはもう生存することは不可能だろう。
「くそ……ここでも……怨念を晴らすことが……出来なかった……せめて最後に……」
そう言って怨霊はその場に人の姿に戻りその場に倒れ込んだ。
「お前を騙してすまない……ちゃんと埋葬はしてやるからな……。」
僕とマイはその兵士をその場で焼いて埋葬した。
「安らかに眠ってくれ……。」
「どうか来世では幸せに暮らしてください……。」
僕たち2人はそれぞれ一言ずつ言葉をかけ、その場を立ち去った。
「少し寂しい気持ちもあるけど……」
「これも試練の一種というわけなんだろうね……。」
「どういうこと……?」
「どんなに胸糞が悪い展開でもやるときはやらなきゃいけない……ってこと……かな。」
「耐えなきゃいけない……つまり忍耐力ってこと……?」
「多分ね……。こういうことがこれから先もあるだろうけど進まなきゃ行けない。それをライマルクさんは伝えたかったんじゃないかな……?」
「そういうことなのね……。なんだか複雑……。」
「そうだね……もし……マイに……いや。やめておこう。」
「え?なになに?私がなんだって?」
「いや、なんでもない。気にするな。」
「気になるじゃーん!教えてよ!!」
「無理だって……!」
そんな会話が数分続き、やっとマイは諦めてくれた。
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