ハルからのお願い

「うーん……この穴どうしようか……」

「どうしようって言っても……」

「それなら僕が助けてあげようか!そーれっ!」

「その声は……!」

「久しぶりだね!ハルくん!」

「ヒュー!なんでここに!?」

「いやぁ、少しライマルクさんに用があってね。んで、そしたらついでにこれをハルくんに届けろって。」

「これって……ウェイアンさんのキューブ……!」

「ウェイアンっていう人の物なのかい?」

「そうだよ……。このキューブが壊れることなんて滅多にないはず……何かあったのかも……」

「まぁ、そうだろうね……その警告をしに僕もこの地下に来たんだから……ほら、こっちだこっち。」

ヒューがいつの間にか天井を切り落として岩を落とし穴を埋めて作っていた道を通り、手招きしている。

「ハルくんもこのくらいならできたんじゃない?」

「こんな発想がなかったんだよ……マイ。」

「もっと戦術だけじゃなくて頭も鍛えなきゃね。」

「ごもっともです……。」

「で?何が地上で起こってるんだ?ヒュー。」

「簡単に言うと魔族の大量侵攻が進んでる。」

「どんな魔族だ!?」

「地域によって違うみたいだ。ここの地域は得体の知れない形をしたゾンビ魔族だ。」

「一番厄介な奴だな……」

「そうだね……僕たちのところは触手を扱う魔族だった……」

「あ……!それってこんな見た目のか!?」

僕はあの時戦った触手魔族の簡易的なイラストを岩肌に描く。

「そうそう!それそれ!対策が分からなくて……!そしたらライマルクのじっちゃんがハルくんに来た方が早いって。」

「そりゃ僕が戦ったからね……」

「なーるほどね!そう言うことか!何にあいつは弱いんだ?」

「冥界の力に弱いみたいなんだ。」

「なんだ……?確定ではないのか?」

「あぁ……残念なことにな……」

「ただ、どこでそれが分かったんだ?」

「僕たちがここで二種類の魔族と戦った時に僕は冥界の巨神兵と手を組んであいつと戦ったんだ。その時にその魔族は極端にに巨神兵の冥界の力を込めたパンチを嫌っていたんだ。」

「なるほどね。それは確かにそうかも知れない。でも、命中した時に分からなかったのか?」

「実はギリギリのところで回避されちまったんだ……」

「あぁ……そういうことか……」

「んで、トドメをライマルクさんが不意打ちでかけてくれて倒せたんだ。」

「なるほどね……確かにそれは判断材料としては少し信頼に欠けるね……演技だったかもしれないし……」

「そう言うこと……。一応もう一種についても聞いとくか?」

「いや、いい。」

「なんで?」

「ウェイアンとか言う人を助けに行くのが先かなって。」

「いいのか?」

「もちろん。」

「ならお願いしたい。ウェイアンさんは今おそらく武器を何1つ持ってない可能性がある。」

「了解。任せときな!」

「てかここにどうやって来た?」

「スキルでさ。こうやってね。じゃあ、頑張ってね!」

「消えた……!?」

「転移スキルかなぁ……?」

「多分な……。」

「すごいね……あのヒューって人!どこで知り合ったの?」

「お前が拐われている間にビブリッジの王様からのお願いで素材集めをしててその時に一緒になったんだ。」

「へー!ハルくんもああいう特殊なスキルとかないの……?」

「スキルツリーってのならあるけど……」

「ちょっと見せてよ!」

「いいけど……スキルツリーオープン。」

『戦闘の枝が全開放されました。スピードの枝が全開放されました。ヒールの枝が全開放されました。魔法の枝が全開放されました。ドロップの枝が最終開放1つ前まで開放されました。』

『戦闘力+4000の効果を獲得しました。スピード+500の効果を獲得しました。スキル『上位回復』を獲得しました。攻撃魔法『バイオレントハルバード』、攻撃魔法『タイタンウェーブ』、効果魔法『鍛冶屋の馬鹿力』、領域魔法『鍛冶場の煉獄』が開放されました。』

「うわうわうわうわ!?なんだこれ!?」

「ものすごい量のスキルとかが開放されたね……どんな効果なの?」

「一個一個見てくか……」

―――――――――――――――――――――――

バイオレントハルバート

敵の周囲に斧、槍を大量に召喚し、攻撃する魔法。

斧や槍は今までに自身の見たことのあるものが召喚される。

―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

タイタンウェーブ

自身の周りに金属の波をぶつける魔法。

人種属以外に特攻が入る。

―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

鍛冶場の馬鹿力

自身の攻撃力をその戦い中に一度だけ大幅に上げる魔法。

使用後しばらく慣れるまで立ちくらみなどが起こることがある。

―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

鍛冶場の煉獄

鍛治士にとって欠かせない火。

その日を領域として実体化したもの。

自身以外の領域内の物、人など全ての周りを火で囲う。

火は水などでは消えず、別の領域魔法で上書きされるまで消えることはない。

―――――――――――――――――――――――

「なんだこれ……めちゃくちゃ強いじゃないか……」

「どれも便利なものばかり……」

「ただ領域魔法だけは気をつけないとマイを巻き込んじゃうな……。」

「そうだね……そこの対策法も追い追い考えて行こっか。」

「そうだね。とりあえず奥へ進まなきゃ!早く修行を終わらせてみんなを助けに行こう!」

「うん!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る