格闘技の王(side月の狼)
「次に近いのはあそこのダンジョンだ!」
「もう一個の方はビブリッジの援軍が押さえ込んでくれるって連絡が来てるのよね?」
「さっきの伝書が正しければな!」
「だったらこっちを制圧したらこの地域は完全に殲滅完了ってわけね!」
「そう言うことだ!」
向かった先の洞窟はひどいことになっていた。
壁にはへこみが大量にあり、道もボコボコになっていた。
「なんだよこれ……」
「わからない……でも1つ分かるのは格闘技を使う敵ね。」
「あぁ……ラーイーダ。前に出てくれ。」
「分かった。」
「ハハハ!甘い甘い!」
「うっ!!!」
「ジュデボラ!?」
そこにはジュデボラが脇腹を押さえ込んで倒れていた。
「その程度の陣じゃすぐに崩せちゃうよ。もっと頭使わなきゃ。」
「誰だ……?お前は。」
「名乗るまでもない。格闘魔族とでも呼べばいいんじゃないか?」
「じゃあそう呼ばせてもらう。」
「おー。そこのお嬢ちゃんは気が強いねぇ!魔族になったらきっと強いよ!」
「なるわけない。お前を殺す。」
「ほう……?やると言うのか……?面白い!はぁ!」
「謎のオーラを出してきたぞ!ラーイーダ!気を引き締めていくぞ!」
「分かってる。『獣化』。」
「僕はサポートかな……」
「ウェイアン……これ……」
「ジュデボラ……、これは……?」
「ハルくんから預かってた小刀だよ……これであいつの脳天を狙えばもしかしたら……」
「分かった……。ありがとう。終わったら治療してやるからな……」
「うん。ここを抑え込まないことには始まらないからね……。」
「だな。行ってくる!」
僕は戦闘しているラーイーダの元へと向かう。
「キューブ!久々に働いてもらうぞ!変形だ!」
僕はハルくんの愛用武器、マルタの剣を持って格闘魔族の元へ向かう。
「二方向から攻撃なんて卑怯だね。でも……俺には通用しないね!『回転連打術』!」
「痛った……!一発は弱くても全方向に確実に急所を狙ってきやがる……。」
ラーイーダは盾で全て防げるが、僕は剣しかない。
「くっそ……どうしたら……」
「そのキューブで私と同じのをコピーしたらどうなの?」
「そうか!キューブ!あれをよーく見てコピーするんだ!」
どうやら成功したようでキューブはラーイーダの盾へと変形した。
「へぇ?君のその四角いのはそんなこともできるんだぁ?」
「お前には関係のない話だろう?」
「そうだね……でも!こんなこともできるのさ!『部位破壊拳』!」
「盾が……崩れ落ちた……!?」
「君のキューブも一緒に粉々さ!君はもう戦えない。無様だねぇ……。」
「くっそ……」
「ウェイアン!もうここは私に任せて……」
「いや。それはできない!」
「そこまで言うのか!?相当何か企んでいると言うことか……。分かった。」
「ありがとう。ジュデボラからの預かり物があるからな。」
「なるほどね。分かった。じゃあその預かり物とやらを頑張って使ってね。私はサポートしかできない。」
「それでいい。」
「私を信じてくれるってことね。」
「信じるさ!」
僕はラーイーダが盾で攻撃している間になんとか格闘魔族に近づけないかとチャンスをうかがう。
「サブでいる君、めんどくさいね。この子達と遊んであげてよ。」
「下級魔族……!召喚術まで覚えているのか!」
「当たり前だろう?上級魔族とてこの程度覚えていなくてどうする?」
「まぁ……そうだよな!いいだろう!下級魔族ども!僕が相手だ!」
小刀は一回刺せば壊れるかもしれないとのことなので素手で戦う。
敵の鉈や斧、剣を避けてお腹に一発強いパンチをぶつける。
「この鉈。貰うぞ。」
僕は敵の持っていた鉈を奪い、他の魔族との戦闘を続行する。
「おらぁ!これでも喰らいやがれ!!」
僕は鉈を振りまわし、下級魔族達をやっつけていく。
「ハハハハ!その程度の盾の攻撃!効かないよ!」
「くっ……」
格闘魔族はラーイーダとの戦闘に夢中で僕が下級魔族を倒したことに気づいていない。
「油断大敵ぃ!喰らえ!!」
僕は小刀を格闘魔族のおでこに向けて飛ばす。
「なにっ!?」
格闘魔族は避けきれずにおでこに小刀が当たるはずだった……
「でも、まだまだだね。」
格闘魔族は腕をクロスさせ、小刀を腕を犠牲に防いでいた。
「はぁぁ!」ラーイーダが追い討ちをかけるように盾を格闘魔族のお腹にぶつける。
「なにっ……やはりお前は魔族になったら強くなれる……奇襲がうまいぞ……」
「だから何度もならないと言ってるはずだ。私はお前を殺すことしかしない。」
「部位破損を確認……一時撤収……。」
「待て!逃がすか!」
僕は格闘魔族の体を掴もうとするが、あと少しのところで先に転移されてしまった。
「くっそ…………また逃しちまった……」
「しょうがない。でも撃退できたしオッケー。」
「そうだな……ジュデボラの回復に行かなきゃだ……行こう。」
僕たちはジュデボラの元へと戻る。どうやら格闘魔族に殴られた際に肋骨が一部砕けたらしい。
「これはひどいな……『上位回復』。」
「ありがとう……ウェイアン……ていうか上位回復なんてどこで知ったの?」
「秘密だ。」
「えー!けち!」
「ケチとかいうなよ!助けてやったんだからよ!」
「はいはい。そうですね。」
「とりあえず一旦隠れ家戻らない?」
「それもそうだな。」
「私も休みたーい!」
全員の意見が一致し、僕たちは隠れ家に一旦戻ることにした。
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