魔族大量襲撃(side月の狼)

「なにっ……!?そんなことが……?」

「はい……。信じられないとは思いますが……」

「いや、これはまずい……。すぐにメンバーを連れて向かうよ。」

「ありがとうございます!こちら側からもビブリッチに向けて援軍要請を出しておきます!」

「ありがとう。そうしてほしい。」

「検討を祈ります!」

僕は二人の元へ向かう。

「お?ウェイアンじゃん……!どうしたの?」

「魔族が……各地のダンジョンに大量発生しているらしい……。」

「魔族……?ハルくんとかに任せたほうが速いんじゃ……」

「それが……図書館で発見されてから行方不明らしいんだ。マイちゃんもね……。」

「特訓場。」

「びっくりした……!ラーイーダ……特訓場ってどういうことだ……?」

「鍛えなかったの?昔。」

「は……?」

「知らないんだ……。図書館のとある棚を子供がずらすと冥界の民がいる秘密の特訓場にいけるの。私もお世話になったよ。」

「そんなところが……」

「逆によくそこを頼らずにこの実力になれたね……」

「まぁ……このキューブのおかげだね……。」

「ところでさ……」

ジュデボラが待ちきれなくなったのか割り込んで話しかけてくる。

「何をしたらいいの?」

「ダンジョンにその大量発生した魔族を倒せばいいんだ。」

「でも、私達の攻撃は通らなかったんだよ……?」

「あの時……はね。」

「対策でもあるの?」

「じゃーん。ダイスケが送ってきてくれたメタルクロー、メタルステッキ、メタルシールドだ。レンタル品だけど……」

「いやレンタルなんかい……」

「しょうがないだろ……買うと高いしこれ一回きりで終わりなんだから。」

「本当にそうだといいけどね……って、これ名前の割に軽いじゃない!」

「そうなんだよね。自分もびっくりしたよ。」

「これなら……たくさん振り回せる。」

「よし……行こう……!」

僕達はまず初心者レベルのダンジョンへ向かう。

もちろん救助のためだ。

もし、何も知らない初心者が中で魔族と遭遇していたら……

「た……助けてくれぇぇ!!」

「やっぱりか……あとは任せとけ!二人共とも!いくぞ!」

「おっけー!」

「ん。」

よし、ラーイーダが注意を引いてくれてるな……

「おらぁ!」

クローを魔族の背中に射し込み下へ下げながら傷をつけていく。

「どうだ……!さすがの魔族もこの量の出血には耐えられないだろ……!」

「それは甘い考えだな……。」

その魔族が背中を震わせると傷はすぐに完治してしまった。

「は……?」

「魔族の再生能力を侮ってもらっては困るね!」

「こいつ……ならこれでどうだ!」

僕はキューブでクローの二個目を作り、両方のクローでひっかく。

「おらおらおらぁ!」

相手はブロックしてるけれど、傷はどんどんついていき、どんどん深くなっている。

このまま押し切れば……!

「甘いね。」

「っ……!がうっ………」

お腹が温かい。一発もらってしまったらしい。それも致命傷レベルを。

「ふぅん……やっぱり人間は脆いね……あとはこいつをアメルオン様に……」

魔族が手を伸ばしてきた。もう終わりだな……。

「はぁっ!」

「なんだ……このシールダーは……」

「ラーイーダ…………。」

「リーダーのくせに諦めるな。」

「そうだな……まぁ……緊急時だしもう使っちまうか……『上位回復』。」

「ジュデボラはどうしてんだ?」

「残ってる人の救助してる。向こうはあいつ一人で大丈夫そうだから来た。」

「そしたら僕が倒れて絶望してたと。」

「そういうこと。それと、こいつ敵のリーダーだから一人で勝てないの当たり前だよ。」

「楽しくお喋りしてるけど……いいのかな!スキあり!」

「遅い。」

ラーイーダがすぐに防御体制に入る。

「ふぅん……反射神経はいいんだぁ……。」

「シールダーとして当たり前。てか、気持ち悪い見た目のお前が私に話しかけないで。」

「はぁ…………?言ってくれるねぇ。お嬢ちゃん。」

「だってそうだもん。」

「そんな大口叩いていられるのも今のうち。八つ裂きにしてあげる。」

さっきみたいに爪をクローみたいにしてきたか……

「ラーイーダ!どう動いたら……!」

「『獣化』。」

「あ……これ聞いてないな……危なくなったら助けに入ってあげよう……。」

二人は盾と爪をぶつけ合い、一歩も譲らない状況だった。

「っ……はぁ……はぁ……なかやかやるわね……」

「はぁ……はぁ……こんなにも一歩も譲らない戦いは100年ぶりだ!だが……これで終わりだ……!」

「そんな決め台詞なんて言ってて大丈夫かい?スキ、できてるよ。とうっ!」

僕はラーイーダと戦っていたボスの裏に回っていたので裏から心臓のあるだろうと思われるあたりに向けてクローを射し込む。

「がぁぁっ……!?馬鹿な……気配はなかったはず……」

「そらそうだ。お前はラーイーダとの戦いに熱中してたからな。簡単には気付けなかっただろうな。」

「くそっ……私と……したことが……部位破損を確認……一時撤収する……。」

「消えた……?」

「そうみたい。周りのオーラ消えてる。」

「お、本当だ。ここは制圧完了か。」

「おーい!二人ともー!」

「ジュデボラ!よかった。無事だったか。」

「あったり前じゃない!なんせ私は対魔性魔法使えるんだから!」

「こっちに来てほしかった……それは……。」

「ん?どういうこと?」

「いや、気にしなくていい。奥も安全か?」

「大丈夫だったよ。」

「ならよかった。次へ進もう。」

―――――――――――――――――――――― 

何故だ何故だ何故だ何故だ…………!

あんな小童な人間ごときにこの俺がやられるなんて……このアメルオン……変貌の術でバレなかったものの大失態だ……。戻ったらガスパオロ王からなんと言われることか……。

「申し訳ございませんでした……王様……私作戦に失敗……」

「もうそれそれ以上喋らなくて良い。」

「……!」

「質問には答えろよ?またハル周りが動いたのだろう?」

「はい。そうです。」

「本人か?月の狼か?」

「月の狼です。」

「好都合だ。」

「え……?」

「好都合だと言っている。喜べ。貴様をあの憎き奴らのキラーマシンにしてやる。」

「ありがたき幸せ。」

「連れて行け。」

さて……雑魚が連れてかれた。

メシッ……

「この柱も耐久が脆いことよ……。」

ストレス防止と建物の構造に全く関係のないところに柱を置いてもらっいるのだが、すぐに壊れてしまう。

「つまらん……非常につまらん。どいつもこいつも失敗ばかりではないか!」

ドカン!

柱が真っ二つになる。

この柱に当たるのももう飽きた。

飽きた飽きた飽きた飽きた……

何もかもが飽きた……!

「ああああああああ!」

半魔の体を手にしてこの世を支配できるかとお思えばあいつらが邪魔をしてくる。

「魔族の力を強くするしか……いや。あの偽装士をこちらに引き込めれば……」

―――――――――――――――――――――― 

「ふぇっくしゅ……」

「ウェイアンどうしたん?風邪ひいた?」

「いいや。なんか嫌な予感がしただけだよ。」

「それって結構まずいのでは……?」

「かもしれないね。注意だけはしておくよ。」

「本当に頼むよ……。ウェイアンいなくなったらこのパーティー終わりだから……」

「分かってるよ。」

「さて、他のダンジョンの魔族達も追い払っちゃおう!」

「「おー!」」


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