キノコ…?ゴーレム…?

「よし……!マイ!行こう!」

「うん!」

僕はマイを連れて真ん中の洞窟の奥へ向かおうとしていた。

「テントの位置はここで大丈夫なの?」

「あぁ。ライマルクさんがここで大丈夫って言ってるんだ。信じよう。」

「そうだね。」

僕はテントを写し身の鏡の中にしまい込み、必要な物をしまい込み、鏡を抜け出す。

「この鏡は潔白な人じゃないと通れないようになってるんだ。」

これはもちろん嘘だ。

魔族は媒体の浄化に弱いと言われている。

マイが毎日通ることで自身は潔白だと自然と思うことで中の魔族も消えると考えたのだ。

「よっし……!今日も修行頑張ろう!」

「おー!」

まずは前倒した巨神兵のところまで戻る。

「ここで昨日激戦をしたんだなぁ……。」

「あれ、抑え込むの大変だったんだからね……!あと少しで反射の範囲外になるところだったんだから……。」

「ごめん……ごめんて……!」

ポコポコと体を軽く叩いてくるマイに対して僕は少し笑いながら返す。

「まぁ………いいけど。今こうやってハルくんと冒険できてるのが一番楽しいから!」

「ならよかったよ。さて、身支度は終わった?今日行くところは強敵が出るらしいから気を引き締めていこう!」

「うん!」

ライマルクさんには悪いことをしたとは思うがこの先いつ魔族が来るかもわからないので、対近距離衝撃スーツを作ってもらったのだ。

これは既存の防具の上から着ることができるので騎士の装備シリーズを外さなくて済んだ。

「これで近距離型の敵には基本対抗できるはずだ。」

「私にとってもめちゃくちゃありがたいんだよね……。なんて言ったって盾は何面にも構えることはできないからね。」

「そうだな。」

「じゃあ……しゅっぱーつ!」

マイは今日はやたらと乗り気だ。

「あんまり進みすぎるなよ!トラップでモンスターなんか出る奴だったら……」

カチッと音がして僕は嫌な予感がした。

「マイ!こっちに下がれ!」

マイが下がった直後にその場所には大量のゴーレム、クリスタルマッシュルームが出てきた。

「な……何この量!」

「まずいな……取り囲まれたぞ……。」

「ど……どうしよう……ごめん……ハルくん……」

「なーに謝ってんだよ。」

「え?」

「こいつらの弱点は全部わかってる。量は多くても一体一体は弱い。マイはゴーレムを。僕はクリスタルマッシュルームを倒す!」

「おっけー!任せといて!」

僕は炎魔剣を持ってクリスタルマッシュルームの周りを囲う。

「おーらよっと!」

僕は囲んだクリスタルマッシュルームに向けて飛行剣の剣を飛ばす。避けようとしても炎で燃えるし、そのままでも剣が刺さる。

ザクザクザク!

クリスタルマッシュルームはすぐに2つに割れるか燃えて消えていった。

「よっし……!次はそっちだ!いやっほーい!」

僕は同じ工程で5回ほどクリスタルマッシュルームを倒していく。

マイも盾の先の出っ張りでゴーレムの背中に刺し込んでいき、どんどん倒していく。

「よっし……!全滅させたぞ!」

「こっちも……!良かったぁ……」

僕達は疲れてその場で座り込む。

ゴゴゴゴゴ……

「ん……?ハルくん……なんか音しない……?」

「あぁ……僕にも聞こえてる……。」

「ここの真下からだよ!離れよう!」

ドカン!と音がして地面から出てきたのはあの時敗北してしまったロボットライダーのようなものに似ていた。

「クリスタルマッシュルームがゴーレムに乗ってる……?」

「そうみたいだな……。」

「どうやって倒そう……」

「まずは下のゴーレムを倒そう。後はあのクリスタルマッシュルームはそんなに脅威じゃない。」

「分かった!」

「よーし……今日最大の獲物だ!頑張って倒そう!」

「うん!」

させまいと上に乗っているクリスタルマッシュルームは鉱石の塊を飛ばしてくる。

「「無駄だ!」」

僕は飛行剣、マイは盾で確実に鉱石を防いでいく。

「はっ!」

「えいっ!」

二人で一気にハッチに攻撃する。

しかし、ハッチは固く、なかなか壊れない。

「流石に一筋縄じゃいかないか……触手魔族の技をパクってみるか……ドリルを精製……!」

――――――――――――――――――――――

ドリル レア度 ★★★★★★★★

先が回り、固いものに穴をあける力を持っている。

人の方へ向けないこと。

――――――――――――――――――――――

「なるほどね!ドリルを使うのね!」

「そうだ!ただ……両手が塞がっちまったから援護頼む!」

「まっかせてね!先に進むから後ろからついてきて!」

「わかった!」

マイは岩の台の上に上がり、ゴーレムの背中に近づく。

「ハルくん!私に近寄って!鉱石が当たっちゃう!」

「分かってる!っと……!危ない……!」

「ほら?危ないでしょ!えいっ!」

マイは一気に抑えていた鉱石を明後日の方向へ飛ばす。

「このチャンス逃さないぞ!いっけぇ!」

僕はドリルをゴーレムの背中に刺し、スイッチを押す。

ガリガリガリガリ!

「よし!いいぞいいぞ!」

「気をつけてね!ハルくん!一応まだクリスタルマッシュルームが残ってるからね!」

「分かってる!っと!ここにも届くんだな!マイ!これで撃退しといてくれ!」

「ん……?これは……?」

「飛行剣だ!振ったら剣が出てくる!ていうか今までおまえ何を見てきたんだ!?マイ!」

「スキルで出してるのかと……」

「アホか!?とりあえず振り下ろせば剣が出てくるから鉱石は撃ち落とせるはずだ!こっちもそろそろハッチに穴が開く!」

「わかった!えいっ!」

マイは飛行剣を一回振り、鉱石に向けて剣は飛んでいく。

「よしっ!撃ち落とした!」

「こっちも破壊成功だ!ゴーレムを落とすぞ!」

「おっけー!」

「ドリル!もう少し耐えてくれよ!はぁぁぁ!」

ドリルはゴーレムの心臓部分の金属コーティングに穴を開けたところで止まってしまった。

「くそっ!持たなかったか!後はこれで決めてやる!」

僕はマルタの剣を持ち空いた穴に力を込めて射し込む。

「よっし……!破壊成功だ!」

僕は崩れていくゴーレムの破片を利用して岩の台の上に戻り、クリスタルマッシュルームのみになったのを確認する。

「あとはあいつだけだ……!行くぞ!マイ!」

「ハルくん……!ちょっとまって……!」

「ん?どうした……?」

「下の身の部分が膨らんでってる……嫌な予感がするの……」

「本当だな……なんかグネグネしたものがあるような……まさか……根っこか!?」

その直後、破裂音がしてクリスタルマッシュルームから緑色の根っこのようなものが大量に出てきた。

「なんだあれ!?」

「とりあえず抑えられるところは抑えなきゃ!」

マイが飛行剣を振る。

ツタに剣は刺さるが、全く根っこの成長は止まる気配がない。

「何だあれ……」

「しかもこっちに来てない……!?」

「しょうがない……あれを試してみるか……」

「あれ……?」

「成功したら見ればわかるさ。」

――――――――――――――――――――――

悟空ソード レア度 ★★★★★★★★★★★★★

昔話に出てくる悟空のように身体分身ができるようになる剣。

本体攻撃時に残っているクローンの数に応じて追撃・強力な一撃が可能。

――――――――――――――――――――――

「そーれっ!増えろ!」

僕がそう言うと分身が大量に出てきた。

「すごい……!これ全部ハルくんと同じ能力なんだ……!」

「「「「「「そうだな!」」」」」」

「返事も全員同じ!?とりあえず頑張ってね!これなら必ず倒せそう!」

「「「「「「任せとけ!」」」」」」

僕達はそれぞれ分かれて根っこの上を走り、2つに斬りながら中心部へ向かう。

何度か自分の分身に助けられながら中心の実の部分へ到達する。

「「「「「「おらぁ!喰らえぇぇ!」」」」」」

僕はまず一人で剣を刺す。

追い打ちをかけるように分身の僕が実に向けて剣を刺す。

「「「「「「最後はこれだぁぁ!」」」」」」

僕は分身が体に吸い込まれ、力が上がったのを確認すると一発を実にかました。

クリスタルマッシュルームは雄叫びを上げながら溶けていく。

「ハルくん!お疲れさま!」

「ありがと。」

「疲れてない……?」

「メチャクチャ疲れた……あの剣相当体力使うぞ……飛行剣3回使ったかってくらい疲れた……。」

「少し休んでから戻ろっか……!」

「そうさせてもらう……。」

僕はその場に座り込み、大の字に地面に横になった。

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