疑似冥界

「真ん中に進むか……」

僕は真ん中へと進んでいく。

「ライマルクさん……!」

「最初から左に行くなんてね……ここで待ってたんだが……。」

「ここが最初に来る正解ってわけか……」

「そういうことだ。まぁ、強化前のレベルでクリスタルマッシュルームを倒しただけすごいぞ。お礼に、色々と俺の秘密を教えてあげよう!」

「秘密……?」 

「あぁ……!まずは俺が何者かってところからかな……。」

「何者か……だって……?」

「あぁ……。この体は魔族と冥界の民のハーフでできている。」

「なんだって……!」

「だからあの時半魔のガスパオロにも対応できた。まぁ、他の魔族に俺が魔族だとバレてはまずいがね……」

「だから……あの剣達も一回で……」

「そう。そういうことだ。魔族の血のほうが濃いくせに冥界の民技を使っている。だから剣が壊れるんだ。」

「で……ここのモンスター達も……冥界のモンスター。召喚するのも冥界のモンスター……まさか、魔族から身を隠すために……?」

「その通りだよ。大正解だ。」

「だったら……僕達に言ったら守りに……」

「いいや。必要ない。」

「え?」

「君たちを巻き込みたくはないからね。だからこうやってたまーにこの疑似冥界に籠もっているのさ。」

「疑似冥界……つまり、ここは冥界のコピーって訳か……どおりで敵も強いわけだ……」

「まぁ、その代わり弱点が明確にバレるとすぐにやられちまう……だからさっきのクリスタルマッシュルームもやられちまったんだ……。」

「あいつは火に弱いわけか……この冥界のモンスター達はアイテムドロップはしないのか……?」

「疑似冥界だからね……しないよ。その代わり、経験値はたくさん落ちるようになっている。」

「なるほど……。だからさっきもあんなにレベルアップしたのか……」

「そういうこと。まぁ、がんばって欲しいな。」

「わかった。」

その時、奥からドカンと何かが落ちてくる音がした。

「ん……?また誰か来たか……?」

「まさか……マイ!?」

奥に行ってみると予想通りマイがいた。

「痛ててて……」

マイもマイで服が破けかけており危ういことになっている。

とりあえずこれに着替えろとライマルクさんに渡された服に着替えに行った。

――――――――――――――――――――――

「ほうほう……なるほどね!疑似冥界かぁ……」

マイは興味津々のようだ。

「じゃあ、この疑似冥界の敵を倒しきればいいわけだね!」

前までの操られていたマイはどこへというようにマイはとても元気になっている。

「じゃあ、行ってきます!」

「行ってきまーす!」

「気をつけるんだぞ。回復してほしければ戻ってくるといい!」

それから少し進むと光る鉱石のようなものが落ちていた。

「これ……売ったら高く売れるかなぁ……」

マイが取ろうとしたその時、突然地面が割れサメのような動物が出てきた。

「危なかった……!あれトラップ……ていうか体の一部だったのね!」

「どうやらそうみたいだ……レベル自体は高くない。一気に倒しちゃおう。」

「うん!」

僕とマイは一気に二人で攻撃を仕掛けようとする。

しかし、サメもどきは地面へ潜ってしまい、僕達の攻撃は不発に終わった。

「痛ててて……」

僕は受け身を取れたものの、マイはシールダー。受け身は苦手なのか体を少しぶつけてしまったようだ。 

「……!まさか……あいつ……!マイ!合図したタイミングで右に転がれ!」

そう。サメもどきが倒れてるマイを喰らおうと地面の中を泳いで来ていたのだ。モグラのように通ったあとができるから分かりやすくてよかった。

「今だ!」

僕はすぐ近くまで来たのを確認して指示をする。

サメは獲物を取りそこねたのか地面でピチピチとはねているだけだ。

「よし……今しかない!決めるぞ!マイ!」

「オッケー!『身体強化(微)!』」

「「せーのっ!」」

僕達は二人で一気に攻撃し、サメもどきに攻撃した。まずはマイの盾が当たり、深い傷が入る。

そこにマルタの剣を差し込んだ。

「よっし!会心の一撃!」

「倒せた!」

僕達は倒れたサメから落ちた鱗を拾い上げる。

「きれい……普通ならこんな粉じゃないんだろうなぁ……」

「それ、僕に対する皮肉かい?」

「さぁ?どうでしょうか〜?」

「まぁ……いいや。少し負傷しただろ?一旦戻って回復してもらおう。」

僕達は一旦戻り、回復をしてもらうことにした。

「よし……準備もオッケーだ。」

回復も終わり、また真ん中の洞窟を進んでいく。

そこの先には青錆の生えたような色のしたアイアンゴーレムがいた。

「青錆ゴーレムか……」

「ネーミングセンスないの……もしかして……」

「うるさいなぁ……!なんかじゃあマイは思いつくのか……?」

「青銅ゴーレム。」

「ほぼかわらないじゃねぇかよ!」

そんな突っ込み合いをしている僕達にしびれを切らしたのかゴーレムは目からビームを出して攻撃してくる。

「こいつ、近接型じゃない!?」

「多分そう!私がビームは抑えるからその間に攻撃して!」

「あぁ!わかってる!」

僕はマイがビームを反射用に抑えているうちにマルタの剣を精製し、背中へ回る。またハッチがあってもおかしくないからだ。

「ハッチ……あった!えいっ!」

カン!と音がして剣は折れてしまう。

「くっそ……開きもしない……そうだ……」

僕はゴーレムの方に上がり、ゴーレムの気を僕にそらそうとした。

「ほらほら!こっちこっち!」  

そのままゴーレムをおびき寄せる。

「マイ!背中にあるハッチに向けて反射を撃ってくれ!」

「おっけー!『反射』!」

見事ハッチは高火力に負けて壊れてしまう。

「よし……無傷で攻略できたな。」

僕達はまた奥へ突入していった。

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