冥界の訓練場編

隠し通路

「あーあー。こちらダイスケだ。ギルドの医療班で間違いないな?あぁ……。二人運ぶ。一人は重症、一人は中間くらいだ。あぁ。頼む。」

「予約付きました?」

「あぁ。優先的にやってくれるらしい。特にあの盾の少女は魔族になりかけたし、重症を負ったも同然だ。」

「確かに……。」

「ほら!着陸するぞ……!一応危ないからつかまっとけ!」

軍用ヘリはギルドの屋上のヘリがあった場所に降りた。

降りた先では医療ギルドの人たちが待っていた。

「ダイスケさん!お疲れさまでした!」

「お二人を搬送しますので……!」

「そことそこのヘリ内のベッドに寝かしてある。」

「「はっ。了解しました!」」

医療ギルドの代表の人たちはマイとライマルクさんの二人を魔術担架を使って一気に運んでいった。

「これであとは完治するのを待つだけだな。」ウェイアンさんが少し安心したような口調で呟く。

「そうですね……」僕はあの魔族達の強さを思い出す。あの僕でさえ歯がほぼ立たなかった。

ましてや僕に破れたウェイアンさん達などもってのほかだ。

「うーん……どうしたらいいんだよ……!!」

「だったら対抗策を考えればいい。俺みたいにな。」

「とは言っても……どうしたら……」

「簡単だ。君のスキルを強化したらいい。」

「強化……?」

「君のスキルにはまだ隠されている効果があるように見える……。」

「なんでそんなのが……!?」

「これの効果でね……。相手の秘められたものを理解したりできる。」

「そのメガネにそんな効果が……!」

「まぁ、このメガネ伊達メガネだけどね。」

「どうでもいいけど少し役に立つ情報……」

「そうだそうだ……!その調子で情報を集めるんだ!」

僕はスキルに関しての情報を図書室に調べに行くついでに医療ギルドに寄り、マイ達の様子を見に行くことにした。

「はい。そうですか!良かったです……!」

ギルドの人の話によると今は酷く衰弱しており、眠っている状態だが、しばらくすれば目が覚めるとのことだった。

「よーし、安心できたし図書室で調べ物をするか……!」

僕はギルドの図書館へ行き、古代情報についてまとめてあるコーナーへ向かった。

「えっと……魔族……魔族……あった。なになに……?『魔族の襲撃に関する今後の対策と弱点、注意すべき点』かぁ……タイトル長っ!」

僕はその辞典のような厚さの本を読書テーブルへ持っていき、読み始める。

「古いから字が薄くなってるところもあるなぁ……なになに……?」

――――――――――――――――――――――

かつて、魔族というものがいるかもという話は誰もがしていた。しかし、本気でいるとは誰も思っておらず、冗談だとほとんどの人が考えていた。

しかし、その出来事は19××年×月2日に起こった。

突如、ダンジョン内に穴が開きそこから未確認のよく分からない生物が出てきたとの報告を我々集合ギルドは受けた。

我々は急いで偵察隊を向かわせたが、帰還者はいなかった。

我々は敵対意思と判断し、未確認生物を討伐させに当時の腕の良い冒険者を大量に雇い、一つの軍を作らせた。

結果は半数以上の冒険者を失った。

残りの半数はダ×スケという少年冒険者の生み出した謎の生物によって謎の生物同士の戦いに持ち込み、撃退に成功したという。

魔族は一時撤退したものの、転移口は封鎖できていない。

油断は禁物である。

ところで、少年・少女戦士は強い人が多い気がする。

敵の油断も誘えるという点でもとても強い。

この文をもし、少年・少女のどちらかが読んでいたならこの本のあった棚を少しずらすと隠し扉がある。そこで鍛えてやろう。

全ては魔族を倒すために。

――――――――――――――――――――――

「ふぅん……なるほどね……。なら、マイにだけは手紙を書いとくか……。急にいなくなってたら困るもんね。」

僕はマイが目がときにこの手紙を渡すようにと頼んで僕は周りに人がいないのを確認して本棚をスライドさせた。

「まじで道があるのか……入ってみるか……。」

その穴は子供はしゃがめば楽に入れる大きさで、大人はほふく前進じゃないと入れないだろう。

少し歩いていると、ズルッと足を滑らせてしまう。

「うわぁぁぁぁ!!落ちる落ちる落ちる!!」

その後、僕はそのまま地面を滑っていった。

「痛ててて……うわっ……服についてたマントがボロボロだ……これはもう使えないな……。」

思いの外長距離を滑り落ちたらしく、服はボロボロになっていた。

「てか何だここ……普通のダンジョンじゃないな……。」

「ん?その声はハルくんだな!」

「えっ!?ラ……ライマルクさん!?」

「ようこそ、冥界の特訓場へ……。」

「冥界の……特訓場……?」

「あぁ。ここには俺が放った冥界のモンスターがうじゃうじゃいる。中には魔族とのハーフもいるからこの先の戦闘に役立つんじゃないか……?それから……着替えたほうがいいな。ほら、これに着替えな。」

渡されたのは騎士の装備シリーズ。強くもなく、弱くもない典型的な装備だ。

「これ……強化しても……」

「だめだ。」

「でしょうねぇ……」

「修行の意味がないだろうが!」

「確かに……」

「分かったなら……ほれ!行って来い!」

「はっ……はい!」

どうやら結構やばいところに足を踏み入れてしまったらしい……。

冥界の魔法によって食事を取らなかったり、不眠でも大丈夫だったり、ここにいる間成長の時間が止まるのだが、いつ出れるかは分からない。真の力を発揮できてやっと出れるのだ。

「ん?何だあのモンスターは……」 

目線の先には頭に鉱石を乗せたキノコのようなモンスターがいる。

「先手必勝!マルタの剣を精製!」

僕はマルタの剣を精製してキノコモンスターに斬りかかろうとする。

しかし、キノコモンスターの鉱石部分からビームが出てきてマルタの剣は先っぽが切れてしまった。

「何だあいつ……!とんだ厄介者じゃねぇかよ!飛行剣でどうだ!」

僕は飛行剣を振り、キノコモンスターに向けて発射する。

ポワワワンと音がして飛行剣の剣はバラの花になってキノコモンスターの元へ届く。

「また失敗かよ……どうしたら…………そうだ!炎魔剣を精製して……これでどうだ!」

僕はキノコモンスターの周りを炎で囲う。

「キシャシェシェ!?」キノコモンスターも以外な行動に驚いているようだ。

「ここにこれを撃ち込んでやらぁ!」僕は転生初日ぶりに槍を作りキノコモンスターに向けて投げる。

「キシェェェ!?」避ける空間を失ったキノコモンスターはその場で倒れ、モワモワとした煙と共に消えていった。

「よし……倒したな……こいつはドロップ品はなし……と。代わりに経験値か……久々に見てみてもいいかもな……ステータスオープン。」

――――――――――――

井上陽翔 Lv.82 (上限まであと17)


攻撃1453 →9852(+100の補正)


防御力 925→925(スキルの代償により減少最大値まで減少済み


魔力 1528→4537


素早さ 359→982(+200の補正)

――――――――――――

「いやっ……メチャクチャ強くなってるやん……そりゃあそうか……ドラゴンも倒して……魔族の下っ端も倒して……キノコモンスターも倒したもんな……。」

僕はそのまま奥へ進む。

「今度はなんだ……あいつ……」

それはまるで前にダイスケが出したドレットロードのような形をしたロボットのようなものにアイアンゴーレムが乗っているものだった。

「もうこの世界なんでもありじゃねぇか……!でもこいつを倒したら素材は美味そうだ!」

僕は飛行剣を精製し、ドレットロード型のロボットに向けて剣を発射する。  

体制を崩させて、転倒させるのが目的だ。

しかし、剣は厚い装甲に弾かれ全く効いていない。

しかも、向こうがガトリングのようなものを撃ち始めたので撤収するしかなかった。

「はぁ……はぁ……なんとか逃げ切れた……あそこは難しすぎる……後回しだ……。」

僕は少し休んでから気を取り直して3つに分かれている道のうち真ん中を選ぶ。

「さっきの左の道みたいにひどい目にあわないといいけどなぁ……。」

僕は真ん中の道に向けて足を踏み出した。

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