激戦
「手伝うって……どうしたらいいんだよ!」
「あいつの核を破壊するしかないの……!人間も半魔になってしまえば核ができてそこ以外を破壊しても元に戻っちゃうんだよ!」
「厄介な仕掛けだなぁ……!それで!核はどこにあるんだ……!」
「おそらく心臓の辺りに!」
「ライマルクさん!心臓のあたりに向けてスキル使って攻撃できるか!?」
「任せとけ!たまには詠唱するか。」
ライマルクさんは僕がさっき渡したマルタの剣を手に持ち、何やら詠唱を始めた。
「我が冥界の王よ。あらゆる冥界の力を宿す我らが王よ。我に力を恵みたもう……!この一撃を持ってこの剣とお前の命の決別の儀としよう……!『
ライマルクさんは剣を構え、半魔となってしまったガスパオロの心臓めがけて剣を突き刺そうと突っ込んでいく。
「刺さったか……!?」
「いやっ……!ライマルク!離れろ!『
しかし、そのときにはもう遅かった。
「その程度の攻撃が聞くと思ったか……はぁっ!」
「っ……!!」
ライマルクさんがすごいスピードでこちらへ飛んでくる。受け止めようにも受け止めたら自分が死んでしまう。かといって死なせるわけにもいかない……
「そうだ!シャボン玉を応用すれば……!」
――――――――――――――――――――――
バブルソード レア度 ★★
斬ることで泡を作る。
泡は衝撃吸収の効果がある。
――――――――――――――――――――――
「これでっ……!足りてくれ!」
僕はめいいっぱい剣を振り、泡を出す。
ライマルクさんはそのまま泡の中へ入っていった。泡は衝撃を吸収しきったのか連鎖するように割れていく。
「ライマルクさん……!大丈夫か……!?」
「なん……とかね。ありがとう……。ただ……もう今は戦えそうにない……。俺を置いてってもいい……逃げるんだ……ハルくん……。」
「そんな……置いていくなんて……!できないよ……!」
「いや……!わしらがさせてやるわい!」
「その声は……!」
声がした方を見てみるとマイ、アメルオン、モゴルバス、そしてもとからいた半魔となったガスパオロと敵が全集結した状態になっていた。
ラーイーダも危機を察知してか扉を開けて急いで入ってきた。
「ハルくん……これは逃げるしか……」
「そうだね……」
逃げるために扉を開けようとしたその時、「逃げるなんてもったいねぇだろ!ここまで来たら蹴散らして帰ろうぜ!」
と、上から声がした。
「どこから声がしたのじゃ!?」
敵も混乱しているようだ。
「ここだよ!はっはっは!」天井を突き破って降りてきたのは自衛隊の軍を運ぶ用のヘリ。
まさか……
「王国集合ギルドからこのダイスケが援軍に来てやったぞ!全員敵を囲むように軍を配置せよ!盾の少女は分析の結果操られてるだけだ!後回しで良い!残りは蹴散らせ!」
「「「「「うぉぉぉぉ!」」」」」
大量の冒険者達がヘリから降りてきて陣を作る。
「お前がハルってやつか!王から話は聞いてる!さっさと倒して帰ろうぜ!」
「はい!」
「いでよ!ドレッドロード!」
ダイスケが詠唱をするとダイスケの横にオオカミ型のロボットが現れた。
「ええっ……!?なにそれっ!」ジュデボラは見たこともないものにびっくりしている。
「これか?これは俺の愛馬だ。」ダイスケはコックピットに乗りながらジュデボラにそう返す。
「明らかに馬じゃない!」
「まぁまぁ……?そんなこと言ってる暇あったら戦ったほうがいいよ?そーれっ!」
ダイスケはドレットロードから小さいドレットロードを召喚し戦闘に乱入させた。
「よし、出番終わりだ。ドレットロード本体。」
そう言ってダイスケはドレットロードの本体を縮小させてポケットにしまう。
「えっ……!?どこいったの!?え!?」
「ここだが……?」ダイスケは手に持っている小さいドレットロードをちらつかせる。
「な……なにそれ……」あ……ジュデボラもうあれ完全に引いてるな……。
「そんな顔してないで加戦するぞ!」
ダイスケは今度は機械仕掛けのクローのようなものを取り出して腕につけた。
「ハルくん!あのじじいのペンダントを破壊しに行くぞ!」
「へ……?」
「あいつのペンダントがあの盾の女の子の操りの元なんだ!破壊してしまえばこっちのもんよ!」
「分かりました!囮は僕がなります!」
「そう言うと思ったよ。これ使いな。前世のゲームとかでも見たことあるんじゃないか……?」
「これは……ホログラムシールド!」
「あぁ。それとお前の
「分かりました!」
「そこのメイジの姉ちゃんはハルくんに継続回復魔法をかけてやってくれ!」
「なんで持ってるの知ってるの……!?」
「いいから!」
「分かった……けど、あとでネタばらしはしてもらうからね!えいっ!」
「よし、かかったな。いくぞ!」
戦っている冒険者たちの流れ弾や、攻撃に気をつけながら僕達はモゴルバスのところへと向かう。
「最後に一つ小細工と行くか!」
ダイスケは目ざまし時計を出し、40秒後にセットした。
「そのペンダント!いただく!」
ダイスケはわざわざモゴルバスに宣言してから突撃していった。
「甘いわ!『睡眠』!」
あっけなくダイスケは眠ってしまう。
「所詮こんなものよ。ハルよ。残念だったな!」
モゴルバスが雷魔法をダイスケに当てようとしたその時、ピピピピピと、目覚まし時計の音が鳴る。
「あぁぁぁぁ!よく寝たぜ!おらよっ!」
雷魔法が出るより先にモゴルバスをペンダントをダイスケのクローが破壊していた。
「おのれ……!おのれおのれおのれぇぇ……!小癪な真似をぉぉぉ!」
モゴルバスはダイスケに向けて雷魔法を撃つ。
「おっと……!ハルくん!出なくて大丈夫だ。このクローで十分防げる!」
雷はクローに当たり、クローは火花を上げながら破損する。
「っちゃあ……壊れちまったか……ハルくん。俺はもう今は戦えねぇ。」
「なんでですか!?剣なら僕が……!」
「スキルの効果だよ。直接攻撃ができないんだ。機械を通してじゃないと攻撃が俺はできないんだ。」
「何だって……」
「だからさっさとあの女の子を助けて帰るぞ!全員!撤収だ!」
「えっ……!あっ!はい!」
僕はマイの近くに駆け寄る。
「マイ……。今だけすまんな……。」
僕はマイをお姫様抱っこしてダイスケの方へ向かう。
「待て!逃がすわけなかろう!」モゴルバスがこちらに向けて巨大な魔法攻撃をしてこようとする。
「ドレットロード。もうひと仕事必要みたいだ。」
ダイスケはドレットロードをもう一度巨大化させ、ガトリングを出す。
「目くらましにはいいんじゃないかな!」
ダイスケは地面に向けてガトリングを撃ち込み、砂ぼこりを立たせる。
「今だ!乗れ乗れ乗れ!」
ダイスケは僕達を軍用ヘリに乗せ、運転席に座る。
ヘリはすぐに飛び立ち、魔族たちの領地から撤収する。
「んで……?誰も倒せなかった……逆に倒された……と。」
「はい……申し訳ございませんでした!」
操縦室で部隊の体調らしき人がダイスケと話をしていた。
「いや……謝る必要はない。」
「え……?だって我々は作戦に失敗したのでは……」
「違う!失敗などしてない。僕達は犠牲を払いながらも敵のデータをあぶり出すことができたではないか!」
「それはそうですね……!」
「だから……それをみんなに共有するんだ。情報は多ければ多いほど敵を倒しやすくなる。」
「はい!分かりました!伝えてきます!」
「優しいんですね。ダイスケさんは……。」
「いや、これは優しさじゃない。」
「え……?」
「俺はただ戦闘に関する指示をしてるだけだ。本当の優しさってもんはお前が持ってるんじゃないか?ハルくん。」
「本当の……優しさ……?」
「あぁ。自身のぶっ壊れスキルがバレてもいいから仲間を助けるためにロビーでエクスキャリバーを作ろうとしたり、壊れても仕方がないと言われたあのヘリを急いでるのに丁寧に着地させたり……」
「僕はそれを自然としてました……」
「だとしたらお前は根っから優しいやつだな!はっはっは!ほら、もうすぐ着くぞ!支度しとけ!」
「はい!」
僕はいい気分になりながら自分の荷物を回収する。
「着陸するぞ!」
ヘリはまたビブリッジへと到着しようとしていた。
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