経緯

「ハルくん……!ここは任せて……。マイちゃんは今取り憑かれてあなたに明確な殺意を持ってる……!」

「分かった。」いつもは無口なラーイーダがあれだけ言うということは相当まずいのだろう。

「ライマルクさん。行こう。」

「おう。」

ジュデボラ達を探している途中でライマルクさんはこんなことを聞いてきた。

「なぁ、どうやってお前はここまで来たんだ……?ハビブサもない。転移魔法もあるわけじゃない。わかるのはジュデボラの魔法のおかげで場所だけ。」

「やっぱりそこ気になるかぁ……分かった。周りに注意しつつ話すとするか……。」

――――――――――――――――――――――

「おりゃあ!」

やっとシルバースライムを一体倒せた。

本体がとても固く、ちょっと炎魔剣で斬ったくらいでは死なないのだ。

「しかも粘液ドロップしなかったし……」

今までスライムは倒せば必ず粘液がドロップしていた。

「なんでドロップしないんだ……?スライムキラーナイフで弱点も調べてこれだもんな……弱点解析系の武器も作らないとか……」

そうして僕はスライムキラーナイフの進化系、スライムキラーソードを精製した。

「ここにスライムがいてよかった……」

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スライムキラーソード レア度 ★★★★★★★★★


スライム狩りの人のために作られた剣。

スライムの弱点、ドロップ部位などが分かる。

(スライムを200体以上倒すことで鍛冶スキルに開放されます)

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「本当は200体も倒さなきゃいけなかったのか……このスキルやっぱ便利だ!」

早速スライムキラーソードを持ち、シルバースライムに剣先を向ける。

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シルバースライム 強さ C

硬さのみが取り柄のスライム。

弱点を偽装しており、そこを刺しても何も落とさない。

本当の弱点は顔の反対側である。

そこを刺すことでシルバースライムの粘液が手に入る。

――――――――――――――――――――――

「あいつ……!弱点を偽装してたのか!どうりで変だと思ったんだよ……!」

スライムキラーナイフでは偽装された弱点しか出ないらしい。

「おらぁ!」

真の弱点を狙うとシルバースライムはすぐに砕けて倒れるようになった。

「これならすぐに集まるな。サクサク片付けていこう……!」

そして、斬って、斬って、斬った。

素材もある程度集まったので元の集合場所へ向かう。

しかし、まだヒューは戻ってきていない。

「まさか……ゴールデンスライムも弱点偽装かなんかしてるのか……!?」

僕はビューの向かった方の洞窟へ向かう。

そこには案の定、ゴールデンスライムが倒せず苦戦していたヒューがいた。

「ハル……!そっちの素材集めは終わったのか!」

「えぇ……!」

「このスライムが固すぎてこっちは一向に終わんないんだ!」

「なら!この剣使ってください!」

「おっ……!これは……?」

「少し変わった剣です……!」

「おぉ!弱点が見えるぞ!とりゃあ!」

ゴールデンスライムは倒れ、ドロップ品を落とす。

「これじゃあないなぁ……ほれ、これやるよ。」

「いいんですか!?」

「いいとも!君の剣のおかげで倒せたんだ。」

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ゴールデンスライムの粘液 レア度 ★★★★★★★★★★

武器に合成することでレアドロップ率が50%上がる。

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「あっ!ヒュー!待って!」

「ん?」

「こっちの剣に変えてほしい!」

「見た目変わってないけど……?」

「いいからいいから!」

「わ……分かった。」

「うぉっ!すごいぞこの剣!ゴールデンスライムの隠し玉がほぼ必ず出てくるぞ!」

「な?変えてよかっただろ?」

「あぁ!これはいいぞ!ただスライムにしか使えないのが玉にキズだな……」

「あ……しまった……!」

「まぁ……まだ何個かあるし、これは大事に取っておけばいいさ。ゴールデンスライムはノーマル以下のドロップがないからね。」

「そうだね……何に使おうか……。」

「他の人に渡して商売するのもありだね。」

「確かにねぇ……あっ!あの人なら喜ぶかも……!」

「じゃあ、その人に渡してあげたら?」

「そうしよっかな……。でもまずはエクスキャリバーを復元しなきゃ……」

「あの魔法の剣をか!?何者なんだ……一体君は!」

「まぁ……通りすがりの実質最強武器鍛冶戦士かな。覚えておくといいことあるかもよ?」

「なんかあったら頼りに行くかもしれないなぁ……。そんときは頼んだぞ?」

「もちろん!」

僕達はギルドへ戻り、ルフレイ王に素材が集まったことを報告しに行った。

「おぉ……!集まったか!こっちに来てくれ。君もエクスキャリバーを作るところは流石に見られたくないだろ?」

「はい。そうですね……」

「なら、行くか!案内するぞ。」

ルフレイ王がそう言って歩き始めようとした時、奥から見覚えのある鳥が飛んできた。

「ルフレイ王様!少し待っていただけませんか!」

「いいが、どうした?」

「伝書が来まして……。」

「ほぉ!しかも早便ではないか。相当急ぎのようだな。」

「なになに……?えっ……!?まずいぞ……それは……」

「どうしたんだ……?」

「仲間が……魔族にさらわれました……」

「なんと!それはまずいな……」

「もうここで作ります!」

「よせよせ!流石にロビーで行うのはまずい!せめて裏の部屋でやらねば……」

「分かりました……でも、急がなきゃなので手短に終わらせますよ。」

「あぁ。それで良い。場所はさっきのところで合っておるのだな?」

「はい。」

「こちらのギルドからも軍を派遣しよう。それから、帰りは移動手段を提供する。」

「ありがとうございます!」

面談室の中で僕はエクスキャリバーを精製し、飾る台の上に乗せた。

「これでいけました。」

「おぉ!ありがとな!お礼に我がギルド一番の乗り物を貸してやろう。」

屋上に行くと、そこには前世で見覚えのあるものがあった。

「これって……」

「ヘリコプターというものらしい。うちのギルドで今仕事をしているダイスケという冒険者がここに来たときに作ってくれたものだ。普段はわしらが使うものだが、今回は緊急事態ゆえハルくんに使わせてあげよう。」

すげぇな……ダイスケ。今は感謝しかない。

「では、お借りします……!」

「うむ!最悪壊れてもよい……!しかし、その時はこの騒動が終わり次第、素材を集めてもらうぞ……!」

「分かりました……!行ってきます!」

「検討を祈っておるぞ!」

「はい!」

流石はヘリコプター。とても早い。

ハビブサで12時間かかるところを2時間ほどで着くだろうというスピードで進んでいる。

「魔力で動かせばいいってところもいいな。」

日本であったヘリとは違い操縦棒がなく、少量の魔力で方向とスピードを変更できるのだ。

「そろそろ近くなってきたな……流石にこのヘリで突入するのは無理だな……」

ギルドにあったヘリは軍用ではなく、医療用なので武器などが一切ついていない。

「ここらへんで下ろすか……。」

予めヘリを減速させていたため、着陸は以外に簡単に行うことができた。

「待ってろ……みんな!今助けに行くからな……!」

――――――――――――――――――――――

「って訳で入り口に来たら扉が壊れてて、ライマルクさんが戦ってるのが見えたってわけ!」

「なるほど……。」

「ん?あっちから魔法の音がする!」

「本当だな。おそらくジュデボラだろうな。」

「行こう!」

僕達は路地を曲がり、入り組んだ通路から漏れてくる音を頼りに音の方向へ向かう。

「ここの部屋だ!」

その部屋のプレートには『君臨の部屋』と書いてある。そして、下には我らが王の眠る場所という張り紙まである。

「開けるぞ……。」

「いいぞ。」

扉を開けた瞬間に流れ弾が飛んでくる。

「あっぶね!剣盾!」

すかさず剣盾で防御する。

「普通の攻撃で9層削るとかどうなってんだよ……。」

「ハルくん!手伝ってほしい!」

「ジュデボラ!大丈夫か!あの敵めちゃめちゃ強いじゃないか!」

「そう……!なんて言ったて……ガスパオロが完全な半魔になっちゃったんだもん……!」

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