洗脳・完全なる覚醒・索敵
「な……何この映像……」
それはマイの転生時の幼少期の姿の子がここの研究所で体を改造されている映像だった。
「ふぉっふぉっふぉっ……これがお前さんの本当の種族の証明だぞ……?」
「つまり……私は生物兵器分類って訳!?」
「そうじゃぞ……?なんせお前さんは沢山のスキルを持っておるじゃろ……?沢山のスキル持ちは基本……」
「魔族系の人達と関係がある……」
「おぉ……!思い出したか!そういうことだ……」
「つまり……私は人質って言って連れてこさせられたけど私もそうだったって訳!?」
「あぁ……もちろんじゃ……お前さんも優秀な戦闘員だからなぁ!はぁぁ!」
モゴルバスは詠唱なしでてから雷のようなものを出し、私に向けて放ってくる。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!あっ……あぁぁぁ……!」
「苦しいじゃろ……?でもそれを乗り越えてしまえばワシによる洗脳にかかりすぐに強くなれる……。最高じゃろ?」
「洗脳なんか……されるもん……か……!」
私は最後の抵抗で不自由ながらも盾を召喚し手に持ち、モゴルバスに向けて投げる。
「うぉっ……危ないことしてくれるのぉ……!こうなったら火力と魔力を上げて一気に洗脳させてやるわい!!」
「うっ……あっ……も……もうだめ……ごめん……ハルくん……」
私はその後、意識を失った。
目が冷めて周りを見ると液体で満たされたガラスケースの中にいた。
溺れるかと思ったが溺れない。
今まで何をしてたっけ。
そうだ。私はこの人たちの生物兵器として誕生したんだった。
人間の中に最初から魔族を仕込むとかなんとか……
え?出ろって?どうやってよ。
ここのガラスを持ってる武器で割ればいいじゃないか!?
何を言ってるのやら……私は盾しか持って……
剣……?いや、盾か……?
真っ黒なゴツゴツした盾があって……あぁ!こうやって剣を引き出すのね……。
服も黒い感じでいい感じ……。これぞ悪役って感じだね……。
ふぅん……
じゃあ……
私は付属の剣を使ってガラスを割り、狭い空間から開放された。
「おぉ……ついに覚醒されたか……美しい……。」
「覚醒……ね?そうかぁ……で?何したらいいの?」
「おそらくそろそろ敵が来るはずなので仲間のふりをして攻撃をしろ……。」
「分かりました。」
「よし、では人体実験室に向かってくれ。」
確か人体実験室はあそこの通路を抜けた先にあるはずだ……
ドアを開ける。やっぱりあなたですか。予想通りですね。
「ふぉっふぉっふぉっ……成功したみたいじゃのぉ……。」
ええ。お陰様で。
「おや……人間言語プログラムが抜けておったか……この電波をかければ……ほれ。どうじゃ?」
「あー……あ。はい。大丈夫です。」
「よしよし……ならよいわ。お前さんには一旦ここで捕まってるふりをしてもらうことになる……。」
「なんでですか?」
「あのハルという勇者とその一味を潰すためじゃ……。」
「あの転生者軍団ですね……。そのために私達魔族ははあいつらに対して今まで戦ってきたと……。」
「そうじゃ!うむ……記憶操作も働いておるな……!完璧じゃ……!」
「記憶操作などされておりませんよ……。私は魔族に中世を誓った転生者。転生者である故邪気による取り憑きでしか半魔になれませんが……」
「ふぉっふぉっふぉっ……!それであってこその半魔じゃ!取り憑きに関してはわしが持っておるペンダントが元じゃ。バレない限りは大丈夫じゃろう……」
「そうですね。では……偽装するとしますか……。」
「そうじゃな……『拘束』。少し緩めにつけてある。あいつらが来たら体の異常があるように見せかけて近寄らせるのじゃ……感のいいやつじゃない限りは邪気は分からん。」
「分かりました。」
――――――――――――――――――――――
「っ……!やめろって言ってんだろ!おらぁ!」
俺は気付けは変な実験室にいた。
幸い変なガラスケースに入れられる前に目覚めたため、周りにいた魔族研究員と戦闘をしている。
「これならなんとか切り抜けられそうだな……。」
「誰か!アメルオンを呼んでこい!急げ!脱走さ……グハッ……」
「っち……使者が向かっちまったか……急いでここを出るとしよう……」
俺は急いで謎の部屋を出ると適当に通路を走り始めた。
「脱走者発見!捕まえろ!」
「っち……!見つかっちまったか……!」
俺は急いですぐに入れそうな人体実験室という部屋に入る。
「どこへ逃げた!?探せ!探せぇぇい!」
「ふぅ……なんとか逃げれたな……って……お前は……」
逃げた俺が部屋の中で見つけたのは確かハルとパーティーを組んだはずのマイだった。
「こいつもさらわれたのか……?いや、でも服装が違う……。髪もこんな黒じゃなかったよな……」
「そうじゃろ……?気になるじゃろ……?」
「誰だ!?」
「お前さんを改造するためにきた研究者じゃ……」
「改造……だと!?まさかこいつも……!」
「私は改造なんてされてませんよ。もとから彼らに従軍しておりました。」
「こいつ……なんてことを……!」
「なんてことを……ってのはこっちが言いたいけどね……。」
扉の開く音がしてアメルオンが中に入ってきた。絶体絶命だ。
「おや?こいつへの邪気装填は完了したのか。」
「えぇ。案外すんなり行きましたぞ。こいつとは違ってのぉ……!」
「本当だよな……『麻痺』。」
急な麻痺攻撃に俺は避けることもできず動けなくなってしまった。
「よし……この部屋に来たのが運の尽きだな……もともとここに輸送する予定だったしな……モゴルバス。頼んだぞ。」
「任せなさい……。すぐに楽にしてあげるぞ!ふぉっふぉっふぉっ……!」
「っ……ぐぁぁぁぁ……っあっ……あぁぁぁぁ!」
「この雷の前には誰も逆らえん!ただお前さんは魔族になるのを待つしかないのじゃあ……!」
「ぐっ……がっ……あぁぁぁ……済まない……チームの……みんな……俺はもうだめみたいだ……」
――――――――――――――――――――――
「おのれ……せっかく……二人を洗脳したというのにぃぃ……!」
「諦めな。もう僕がここに来た時点で君の負けは確定だ。」
「いや!認めん!認めんぞ!やられる前に逃げるのみ!『転移』!」
「おいっ!待て!逃げるな!」
「逃してしまったか……」
「ライマルクさん……すみません……」
「いや、大丈夫だ。」
「それにしても、なんでライマルクさんは一人で戦ってたんですか……?」
「他のみんながさらわれた二人を探しに行く間に俺がモゴルバスを……あぁ、モゴルバスっつーのはさっきの白衣野郎な。あいつを足止めしてたんだ。」
「なんでよりによってライマルクさんが……?ウェイアンさん達がいたはずじゃ……」
「あいつは厄介でね……少し工夫しないと返り討ちにあってしまう……。」
「もしかして……あいつと戦うのは初めてじゃない……?」
「あぁ。色々あってね……。」
「そっか……」
「とりあえず、他のみんなを助けに行こう。いくらなんでも帰りが遅すぎる。」
「よし……奥に行こう……」
奥へ歩いていくと、たまに魔族に遭遇したが、ライマルクさんの一撃ですべて粉砕されていった。
「これ、新しい剣です!」
「おぉ、ありがとう!」
スキルの効果で一回で剣が壊れるが攻撃力が大幅に上がるというものだった。
「結構便利な割にデメリットもあるって感じですね……」
「あぁ。だから俺は鍛冶屋を始めたんだ。いちいち買ってちゃあお金がもったいない。」
「確かにそうですよね……!」
「ん?ここ怪しいな……」
ライマルクさんが止まったのは人体実験室の前。
確かに名前はとても怪しい。
「開けてみますか……?」
「あぁ……。中で戦闘をしている音がする。」
「大丈夫か!」
開けた先ではラーイーダが黒髪のシールダーと戦闘をしていた。
「!?ハルくん!下がって……!」
その言葉の直後に黒髪のシールダーはこちらに向けて明確な殺意を持ってこちらへ攻撃してきた。
「剣盾!!」
僕はすかさず剣盾で守る。しかし、すぐに壁は破られていく。
剣の間から顔を確認して僕は驚いた。
「マイ……?」
それは紛れもなく、一緒に旅をしてきたマイだったからだ。
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