悲惨な光景(sideウェイアン)
「よし……なんとか帰ってこれた……。」
途中、謎の空を飛ぶ馬に乗ったガイコツに襲われたりと色々あったがなんとか帰って来ることができた。
「ライマルク!返しに来た……あれっ……いないのか……って……まさか!」
僕は走った。全速力で隠れ家まで。
「っ……!なんだこの有様は……5人は……どこだ!ジュデボラ!マイ!ラーイーダ!ガスパオロ!ライマルク!いたら返事をしてくれ!」
声はしない。でも、どこかにはいるはずだ。
部屋の扉を開けると、そこには倒れているジュデボラ、ラーイーダ、ライマルクがいた。
「おい!大丈夫か……!っ……ライマルクは睡眠状態になってやがる……ここなら誰もいないしいいか……『
「うぅ……アメルオンはどこだ……っ……」
「なんとか……持たせなきゃ……中には……」
「………………っ…………」
「よかった……3人とも目覚めたか……。」
「「「ウェイアン!手伝ってくれ!」」」
「はぁ!?待て待て待て!お前ら気を失ってたんだぞ!敵かはわからんがお前たちの狙ってる奴らはもういないぞ……。」
「っ……逃したか……」
「じゃあ……ガスパオロとマイちゃんは……うわぁぁぁん……」
「無念……。」
「待て待て、お前ら!情報を整理したい!落ち着いて話してくれ。まずはライマルクから。何があった?」
「敵の襲撃があったって伝書が来て、急いでこっちに来たんだ。一回は家への侵入を防いだんだが……2回目はリーダーらしき俺の最大の敵、アメルオンに突破されちまった……。そんときに多分俺は睡眠魔法をかけられたんだ……。」
「アメルオンは何をしてったんだ?」
「そこは分からない……そこの二人に聞いてくれ。」
「ジュデボラ、ラーイーダ。何があった?」
「単刀直入に言うと、マイちゃんとガスパオロがさらわれた……。」
「さらわれた!?誰にだ!」
「魔族軍団に……。マイちゃんはガスパオロ引き渡しの人質として……どちらも渡したくなくて……倒せると思って戦ったんだけど……」
「あいつら、倒したとき一回だけ3体に増えた。」
「魔族がここに来ていたのか……マイちゃんの報告もあってだったから警戒態勢はしてたけど……まさか不在を狙うとはね……」
「マイちゃん……今頃どうしてるんだろう……大丈夫かな……よしっ!決めた!私、探してくる!」
「場所も分からないのに……まさかお前……」
「もちろん!
「お前……あれだけは魔力の最大量が減るが、それ覚悟で使ったのか……?」
「あったりまえじゃん!マイちゃんを救うためならかすり傷よ!」
「分かった……ライマルク。ビブリッジハルくんに伝書は送れるか?」
「少し到着がいつもより遅れるがいけるぞ!」
「頼んだ。」
「分かった!そらっ!行って来い!」
ライマルクは伝書だけは沢山出しているのか魔法陣も詠唱もなしで召喚し、飛ばした。
「ハビブサに乗っていこう。ジュデボラはほうきで飛ぶか?」
「そうするよ。迎撃もできるしね。」
「よしわかった!」
僕達はハビブサに乗り、追跡が示す場所へと向かう。
「どのくらいかかる!ジュデボラ!」
「このスピードなら2時間くらいで着く!邪魔がない限りね!」
「それはフラグだからやめとけ!!」
僕達は一時間半ほどまでは順調できていた。
しかし、奥から魔族が飛んできて紫色の液体を凝縮して飛ばしてきた。
「ベノムショックだ!避けて!」
「わかった!後は例のあれを展開してみる!」
このキューブ、使うの久しぶりだな……
「キューブよ!結界を貼ってくれ!」
あの草原依頼の透明化結界を貼ってみる。
「キシャシャシャシャ!」
「だめだ!至近距離まで煽るかのようにこいつ来やがった!キューブ!銃に変形だ!」
キューブを銃に変形させ、近づいてくる魔族を牽制程度に撃つ。
「ハビブサ!そのまま進め!正面突破だ!」
「
「こいつら。しない、分裂。」
「ほんとだ……確かにな……捨て駒なのかもな……」
「多分そうだよ!私達が負傷させた奴らも来てる!」
なんでそんなのが分かるのかは分からないがジュデボラが言っているのだ。正しいのだろう。
「あそこから魔族が出てきてる!あそこだな!ハビブサ!突っ込むぞ!ラーイーダ!衝撃吸収シールドを!」
「ん。」
「あいつらアホかよぉ!」
「いいからジュデボラもついてこい!」
ハビブサはそのまま基地の扉へ向けて急降下していく。
ドカン!と石の扉を破り、中の地面に不時着する。
「ガァァァ……」と、弱々しい声を出してハビブサは消えてしまった。
「ここが……あいつらの基地か……?」
「反応はここを示してるから……ここのはずだけど……。」
「ふぉっふぉっふぉっ……ようこそ……我らがアジトへ……!」
「……!誰だお前は!答えろ!答えないならこうだ!」ジュデボラは杖の先に魔法弾を溜め込んでいる。
「随分と好戦的じゃのう……名前くらい名乗ってやるわ。わしはモゴルバス。少なくともお前よりは強いわい!」
モゴルバスは魔法弾をチャージなしでジュデボラに向けて撃つ。
「ぐあっ……!」
ジュデボラは壁に向けて吹き飛ばされ、気を失っている。
ラーイーダも流石にあの速さには追いつけなかったらしい。
「よくも……『獣化』。」
ラーイーダが相当怒っているらしく一気に決めようと腰回りを狙って突っ込んでいく。
「近接戦で勝とうなんて早いわ!」
モゴルバスは大剣を取りだし、突っ込んできたラーイーダを盾ごと振り払った。
「なんでだ……!ラーイーダの獣化は相手より攻撃力が上がるはず……」
「わしの剣の前にはそんなの意味ないわ!」
「そりゃあ……そうだよな。」
「ライマルク?」
「あれは相手の攻撃の追加効果を消すらしい……」
「なるほど……」
「あいつはわしが引き受けよう。対策はいくらでもあるからな……。お前さんは仲間を回復させてマイちゃん達を探しに行くがいい!」
「分かった!ありがとう!ライマルク!」
僕は回復を二人にかけて復帰させた後、奥へ向かった。
建物の中は入り組んでおり、剣で壁に傷をつけながら捜索していった。
その中で一つ怪しい部屋があった。
「人体実験室……?」
「ここが怪しいわね……」
「前出る……。」
ラーイーダが盾を構えながら扉を開ける。
そこには毒々しい色をした鎖で繋がれたマイがいた。
「マイちゃん!助けに来たよ!」
「だめ……きちゃ……」
「え?何言ってるの?もしかしてパニクりすぎて私のこと忘れちゃった……?」
「違う……あぁ……!力が……変な力が……」
「マイ……!?」
「邪気の効果。一種の洗脳で元を壊せば治る……。やっぱりあの時警告すべきだった……。」
「元は何処なの……!?マイちゃん!」
「元は……あぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁ!」
「だめだ……!自力で探さなきゃだ!」
「私が止める。探して。」
「大丈夫か?ラーイーダ。」
「大丈夫。信じて。」
「分かった。そこは頼んだ!」
僕はジュデボラと共にマイの邪気のもとを探しに向かった。
――――――――――――――――――――――
「てい!はっ!これでどうだ!」
「ほっほっほ!甘いわい!」
「っ……これの技もだめか……」
「それにしてもなぜ貴様の剣が一発で壊れない!おかしいじゃろ!」
「お前の剣のおかげさ。スキルの効果を何でも消すのにしたのが間違いだったな。」
「貴様ぁぁ!舐めた真似をしやがってぇぇ!ずたずたにしてやるぁ!」
「ずたずたにされるのはお前だけどねっ!」
その声のあとでモゴルバスの剣を持っていた右手が千切れて地面に転がっていた。
「あっ……あぁぁぁぁ……!この……転生者め……」
「間に合ってよかった。今までの恩返ししにきたよ。ライマルクさん。」
「ハルくん……!」
「とりあえずこいつはしばらく動けないだろうし他のみんなを探そう。」
「そうだな。」
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