立ちはだかるボス

「もう少し奥へ行ってみよう……!」

僕はマイを連れて道の奥へ進んでいく。

「……!?あれは……?奥に2つの光が見えるけど……」マイが僕に質問してくる。

「あれは……ゴーレム……か?それも結構デカ目のだな。」

「ゴーレムならさっきみたいにハッチを壊せば大丈夫だね!」  

「あぁ。そう一筋縄でいけばいいけどな……」

「え?」

「あの影をよく見てみろ……あのゴーレム鎧着てるぞ。」

「ホントだ……どうやって戦うつもりなの……?」

「あの鎧を壊せれば一番いいんだが……」

「壊せそうにないよね……」

「けど、所詮防具。耐久値はあるはずだし、急な衝撃にも弱いはずだ……」

「まさか……ハルくん……あの武器で……」

「そう。これでな。」僕はその武器をマイの前でちらつかせる。

「敵をおびき寄せるのは任せたぞ。」

「任せて!」

「撃つタイミングで合図を出すから避けてくれ!」

「任せて!」

マイは奥のゴーレムと見られるものに向けて走り出す。

ゴーレムらしきものはビームを出してマイを焼き払おうとする。

「ハルくん!これ巨神兵みたい!私もいつまで持ちこたえられるか分からない……!」

「分かった……!早く溜まってくれ……」

そう。僕が手にしているのはチャージ剣。

チャージをして一気に攻め込み、鎧を破壊する作戦だ。

「ハルくん!そろそろ限界……!」

ビームを必死に避けているマイは既に一度ビームがかすっており、体力的にももう持たないだろう。

「少し心配だけどもう撃つしかないな……!」

僕は剣を真上に突き上げ、マイに合図する。

マイはすかさず横にずれる。

「おらぁぁ!喰らえぇぇえ!」

僕はチャージ剣を巨神兵の鎧に向けて振り下ろす。

チャージ剣のビームはそのまま巨神兵の鎧へと直撃した。

パリン!と音がして巨神兵の鎧は割れていた。

「よし!ハッチに攻撃するぞ!」

「うん!」

「「せーのっ!」」

二人で一気にハッチへと攻撃をする。

巨神兵はゴーレムと同じように崩れ落ちていった。

「っ……なんとか倒せたね。」

「マイ、大丈夫か?」

「ちょっとこの状態で先に行くのはきついかも……」

「一旦戻るか……。治療してもらおう。」

「私もそれがいいと思う……。」

僕はマイのサポートをしながらライマルクさんの元へ向かう。

ライマルクは急いで止血と治療をしてくれた。

その時に興味深い話を教えてくれた。

「今回中ボスはその巨神兵だったが実はたまーにポインアングリーというキャラが出てくることがある。」

「そいつは……どんなやつなんですか……?」

「見た目は普通の鳥と変わらん。だが、一つ違うのは倒すとポイントを落とすってことだ。」

「ポイント……?」

「ポイントってのはまぁステータスに追加できるやつのことだな。だが、そのままだと成功率は低い。だから俺のところに持ってきてくれりゃあ必ず成功できるように加工してやる。」

「おおぉぉ!」

「でも……そのポインアングリーって……強そう……」

「その通りだよ。マイちゃん。」

「やっぱり……」

「常時怒り状態が付与されてるから攻撃感覚がとても早い。それでもって鳥だ。」

「絶対すばしっこい……」

「そういうことだ。しかも、他の鳥に紛れていることも多いから奇襲もあり得るぞ。」

「めんどくせぇやつだな……」

「でも……!それ倒したら私達には有益なことしかないよ?戦う意味は十分あると思う!」

「それはそうだな。」 

「とりあえず休みたまえ。今日はもう戦わないほうがいい。」

「「分かりました!」」

――――――――――――――――――――――

その日のおそらく夜と言っていいだろう。

僕は眠れずに目を覚ましてしまった。

「やっぱり慣れない場所だと寝にくいなぁ……。」

僕は少し周りに気をつけながら伸びをしたりする。

その時に、何やら奥から声が聞こえてきた。

「ここにあいつはいるのか?」

「はい。おそらく……。魔犬が言っているので間違いはありません。」

魔犬……つまり奴らは魔族だ。

「ライマルクさん達を起こすべきだな……これは。」

僕は急いでテントへと向かい、ライマルクさんとマイを起こす。

事情を話すとライマルクさんは「おそらく身体変貌を使って一時的に小さくなって入ってきたんじゃないかな……とりあえずガードナーは欲しいよな。」

ライマルクさんは先程戦った巨神兵、ペリクーンを召喚した。

「ここは疑似冥界。俺の庭さ。この結界がある限り召喚なんて朝飯前だ!」

「とりあえずこの二人に任せてここから離れますか……?」

「いいや。ここで撃退するよ。」

「本気で言ってるんですか!?」 

「だから言っているだろう……?俺の庭だって。信じてくれ。必ず成功する。」

「信じますからね。」

「信じていいんだな?ライマルクさん。」

「あぁ!だからまずハルくんは……」

作戦を伝えられた僕達は指定の配置につく。

「いたぞ!あの少年だ!」

現れた魔族は二人一組のタッグのようだった。

「魔犬よ!あいつに噛みつけ!」

「させないぞ!ペリクーン!あいつを凍らせろ!」

僕は専属登録してもらった強化版ペリクーンを使って近づいてきた魔犬を凍らせた……のだがすぐに割られてしまった。

「ライマルクさん!氷結はだめだ!」

「ならあの手段を使うしかない!」

「分かりました!」

僕はペリクーンの口を大きく開けさせ、魔犬が来るのを待つ。

「ガルルルル……!」

魔犬はすぐにペリクーンの口の中に飛び込んできた。

「ペリクーン!中にいるやつをまずは凍らせるんだ!」

ペリクーンは中で冷気を循環させ、魔犬を凍らせたようだ。

「ごめんよ。ペリクーン。お疲れさま。」

僕はペリクーンの口に爆弾を入れ、離れる。

爆発音がし、ペリクーン、魔犬共に倒れていた。

「さてと……こっちの仕事は終わりだな。」

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