襲撃 side留守番組(マイ視点)
「じゃあ、とりあえず外は私以外の全員で見張ってて。何かあったらマイちゃんがライマルクさんへの早便の鳥を持ってるから連絡してね!」
「分かった。」「ん。」
どうにも嫌な予感がする。それも何か大軍に……なにかされるような……
「どうかした?」
「うわっ!?びっくりした!」
話しかけてきたのはラーイーダだった。
「ごめん。びっくりさせて……。」
「ううん。大丈夫。あ、それでどうかしたって聞いてきてたよね?」
「うん……。」
「実は……」
私は嫌な予感がすること、それも大軍になにかされそうと言うことを話した。
「ふぅん……。なるほどね。」
ラーイーダは無機質に返事をしてきた。
「何か問題でも……?」
「いや、よくそういうの分かるなって。とりあえずみんなに危ないかもって言ってくるから。何かあったら声を出すなり何なりして教えてね。」
「あ、ありがとう……。」
何か隠してそうで怪しいと思いながらも返事を返す。
思えばなんであのときも茂みにチェレードがいたことがわかったんだろう……
それに……この嫌な予感も……
まさか……!
「あれぇ?気づいちゃったの?盾使いのお嬢ちゃん。」
「っ……ガッ……はな……せ……」私は助けてと声を出そうとするも謎の人に喉元を抑えられており、無理に抵抗しようとすると危ないと判断し、大人しく言うことに従うことにした。
「そうだとも……君は我々にとっては少し特別な存在でね……。ついてきてもらおうか……」
まずい……このままだと私が危険なのが伝えられない……!声も出せないし……
そうだ!あの鳥がいる。私は息苦しいのを少しだけ我慢して行けというサインの指笛を鳴らす。
「こいつ!伝書を飛ばしたぞ!FH-563!追え!迎撃しろ!」
流石に小屋の中にいたみんなも騒がしいので気づいたようだ。
「!なにしてるの!マイちゃんを返しなさい!
「随分と好戦的だね。
「ジュデボラ。隕石がこっちに。」
「わかってるわよ!ファイヤー・ウォール!」
ジュデボラはなんとか自分の出した隕石を防いでいた。
「マイちゃんを連れて行って何をするつもりだ!答えろ!」あ、あれジュデボラ完全に怒ってる……私が不注意だったせいで……
ってあれ……?家の中に変な魔物が入っていこうとしてる!まさか……!
「んー!んっ!んんん!」私は声を出せないながらも後ろを見て、危ないと伝えようとした。
しかし、二人は気づく気配もない。
「そこの二人よ!後ろも気をつけるんだぞ!はぁっ!」
「「ヒィィン……ゲゲゲゲ…」」
小屋に入っていこうとしていた魔物は剣によって真っ二つにされていた。
「ライマルク!来てくれたのか!」
「伝書が飛ばされてきたからね……。慌ててここまで来たのさ。そして、久しぶりだね。アメルオン。」
「っ……!ライマルクぅぅぅ!貴様また我ら魔族軍の邪魔をする気か!」
「当たり前だろうが!お前なんぞ生かしておいていいことなど何もない!」
ライマルクさんは剣を構えてアメルオンと呼ばれた私を羽交い締めにしている男の人の方へ向けて立っている。
「いいのかい?ライマルク。こちらには人質がいるんだぞ?それに貴様はもうAランク冒険者ではないだろう。」
こいつ……私を人質として……
「冒険者だろうと沿うどなかろうと変わらんっ……!どうしたら人質を返す!」
「そんなの……決まってるだろう?ガスパオロを渡せ。」
「…………それは無理だね。」ジュデボラが一歩前に出た。
「なんだと……?」
「それは無理だといったはずだ。私達のリーダーをそう簡単には渡しはしない。それに、また魔族化させる気なんだろう?50年前の災害のように。」
「ジュデボラ……!お前なぜ知っている!知られないようになっていたはずだぞ!」
「そんなこと今はどうでもいいでしょ?あいつを倒すよ。マイちゃんを取り返す。」
「分かってる。」
「ラーイーダもよろしくね。」
「ん。」
「「「はぁぁぁ!」」」三人が一気にこちらに向かってくる。
「浅はかよな。はっはっは!私は50年のときを経てパワーアップした!いでよ!我が傀儡!」
アメルオンがそう詠唱すると目の前に1000を優に超える量の魔族が出現した。
「さぁ、やれ!」
魔族たちは一気に3人に攻撃を始めた。
いくら全員強いとはいえ段々と数で押されていく。
「はははははは!絶景かな!さてさて……そろそろ本当のお目当ても連れていきますか。『オーバージャンプ』。」
アメルオンは高く飛び上がると小屋の前へ立ち、鍵のかかったドアを破壊して中に入る。
「やめろ!そっちに行くなぁ!」私はさせまいと声が出せるようになったこともあり、暴れるが向こうにはかすり傷にも至らないようでそのまま奥へと進んでいく。
「いらっしゃった……我らが王……」
王!?ガスパオロが……?どういうことなのだろう。
「王ってどういうこと……?何を企んでるの……!」
「人質だというのに偉い強気な子だこと……我々の基地についたらゆっくり話してあげよう。」
「っ……!私達をっ……!放せ!」
「そうだ!追い詰めたぞ!アメルオン!」
ライマルクさんが小屋の中に入ってくる。入り口ではラーイーダとジュデボラが魔族が入らないように抑え込んでいるらしい。
「無駄!無駄無駄無駄ァァァ!『催眠』!」
「っ……小癪な真似……を……!」
バタン!と音がしてライマルクは倒れてしまった。
「ライマルクさん!」
「あいつらが入ってくるのも時間の問題か……撤収するとしよう。『変形』。」
アメルオンは鳥のような形になり、私達を足で掴み天井を突き破って空高くへ飛び上がった。
ジュデボラが迎撃しようと魔法を撃っているが高度が高すぎるためかまったくダメージが入っていない。
「はははははは!さらばだ!可愛そうな魔法使い達よ!傀儡共は切りの良いところでワープで付いてこい!」
アメルオンはそのまま私達に風が当たらないようバリアを貼って物凄いスピードで飛んでいる。
「ハルくん……ごめん……私……」
「怖がらなくてもいいんだよ?お嬢ちゃん。すぐに楽になるさ。」
「っ……あなたの言いなりには絶対にならない!」
「まだ抵抗するのか……しぶとい奴め……だがしかし、このアメルオンに捕まった以上生きては帰れん!覚悟しとけ!はっはっはっは!」
そのままアメルオンは人気のなさそうな山に降りる。
「ここをこう押してってと……」
アメルオンは何やら決まっているらしい順番にボタンを押している。ここの位置からだと見えないのが辛い。すぐにでも、脱出したかったのに……。
アメルオンは基地の中へ入ると、研究室らしきところへ私達を引っ張りながら向かっていった。
「モゴルバス。連れてきたぞ。」
「おぉ……!やっとか。」
奥から出てきたのは悪役とかではよくいそうなひげを生やし、白衣を着たおじさん研究員だった。
「えぇ……。早めの行動が功をなしました。」
「うむ……。そうであろうな。とりあえず重要な媒体だ。逃げられては困る。『拘束』。」
モゴルバスというおじさんが唱えると私とガスパオロさんの体に紫の糸と鎖が巻き付いた。
「アメルオン。もう離して良いぞ。」
そう言われるとアメルオンは私達のことなんか考慮もせず高い位置から私達を掴んでいた手を離した。
「いった…………」
私は地面に叩きつけられる。身動きが取れないので受け身も取れなかったのだ。
「あとは任せたぞ。私は傀儡達を点検して来る。」
「そうしてくれ。」
アメルオンが出ていったあとでモゴルバスは私の方へ来てじっと体を見回し始めた。
「ほぉ……?これはいい体だ……こいつを媒体にすれば……この世界の征服も夢ではない!」
「見回してその発言は変態の部類ですよ!」
「ふん……大口叩いていられるのも今のうちじゃい!これを見るがいい!」
そう言ってモゴルバスは私の前にモニターを持ってきた。
そこには衝撃的な映像が映っていた………………。
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