集合ギルドへの報告

「ライマルクさん!昨日の鳥を貸してください!」 

「おぉ!今日は早いな!ほれ、ハビブサ。今日はこいつらを運んでくれ。集合ギルドまでな。」

今度はハヤブサみたいな名前の鳥が出てきた……。この世界日本を少し思わせるところがあるなぁ……。

「確かにこれなら早めに着けそうだ。ライマルク。借りるぞ。」

「いつもリーダーが使ってくれてたお礼と思ったら安いもんよ!気をつけて行ってこいよ!」 

「「はい!行ってきます!」」

バビブサは甲高い鳴き声で鳴くと僕たちを足にくっついているゴンドラに乗せ、羽ばたき始めた。

「うわっ……すごい風だ……!」

「ライマルク!店は大丈夫か!?」

「分からん!けど、こいつの暴風には耐えれるはずだ!」

それより、よくライマルクさんこの暴風の中立っていられるな……

ハビブサは高く飛び上がり、僕達を乗せて空を物凄いスピードで飛んでいく。

「うおっ……!なんだこいつ!めちゃくちゃ速いぞ!」

「これなら半日以内につきそうだね!」

「普段なら一日はかかるもんな!」

しばらく進むと普段は見れないような雪山の上などを通り始めた。

「きれい…………!」

「確かに……。僕達も普段はパーティーで色々な討伐をしてるとはいえこんなところまでは来ないから新鮮味がある……。」

ハビブサはそのままどんどん進んでいく。

池の上、村の上、神殿の上……

そして、ギルドのあるビブリッチに到着しようとしていた。

「飛行系のモンスターで来ている方はあちらへどうぞ!」と、係員らしき人が誘導している。

指示通りに向かうと、そこには滑走路のようなものがあり、着陸できるようになっていた。

「ハビブサ!降りるぞ!」

ハビブサは甲高い鳴き声を上げて急にすごい角度に体を下に傾ける。

まさかこいつ……

予想は当たった。

「こいつ、急降下してるぅぅぅぅ!!!」

ハビブサは楽しそうに急降下をしているが、僕達はまったく楽しめない。

むしろ、怖い。

「おいぃぃ!ぶつかるぞぉぉ!」

ハビブサはそのまま地面に向けて一気に飛んでいっている。

このままだとぶつかると思ったが、ゴンドラが地面すれすれのところでハビブサは地面と並行で飛びはじめた。

「ヒヤヒヤすることするなぁ……こいつも……」

「もしかして……ライマルクさんの使い魔達って個性強すぎる……?」

「かもな……」

僕達は無事(?)着陸することができて、ハビブサは係員の人が小屋らしきところに連れて行ってくれた。

「さて、総合ギルドに向かおうか……!」

「はい!」

街の門で、ガルディーヌギルド長から受け取った通行証明書を提示する。

門番の兵士は何やら名簿らしきものをだし、名前を照らし合わせると、証明書を返し「通っていいぞ。」と、一言無機質な声で言って通してくれた。

「大っきい……」

「すごいな……まるで機械と一体化したかのような街だ……。」

僕達はビブリッチの街を見て驚きを隠せなかった。

街の壁などに歯車があったり、蒸気で動く足場があったりととてもこの世界では近代化が進んでいる街であった。

流石はこの国の王のいる街である。

「ギルドはどこにあるんだろう……?」

「なんか王の城の1階層がギルドらしいぞ?」

「すごいなぁ……で、王の城はどこに……?」

「この街の中心だね。歩いて30分くらいかな。」

「30分!おっきいのが良くわかるなぁ……!」

「途中で少し食事とかでもしながら行こうか。そろそろお昼どきだしね。」

「そうですね。僕もお腹が空いてきました……。」

少し歩いていくと、街の大通りに出た。

この街の大通りは通りごとにエリアが決められているらしい。

「ここの通りは服のエリアみたいだなぁ……。食事エリアじゃないね……。」

「隣の通りに行ってみますか?」

「そうしよう。」

「右回りか左回り……」

「ん?」

「あれ?見つかりました?ウェイアンさん!」

「地図があった!左に道なりに回っていけば良さそうだ!」

「なら良かったです!観光しながら行きましょう!」

「そうしようか。いつもより早めについたしね。」

道なりに歩いていくと段々と坂になっていく。

この街は傾斜の柔らかい丘の上にあるので少し傾いているのだ。とはいえ、建物などは傾くと危ないため、段を作り、平行にしているらしい。

丘の上からは一面の草原が見える。あれはサバンナのようなところだろうか。

「広い場所に一つ高い丘……かぁ……。風情があるねぇ。」ウェイアンさんはさっきっからこんな感じで文章を書いているかのような感想を述べている。

歩いていくうちにレストランエリアへと到着する。

「沢山あるね……どこがいいのか……」

「ここはなんか人が沢山いたりするところが美味しいんでしょうけどね……お昼を少し過ぎた位なのですぐに入れると思いますけど……。」

「じゃあ、あそこのお店だね。人が結構いるみたいだよ。」

ウェイアンさんが指したのは店の前に樽などが置いてあるオシャレな雰囲気の店だった。

僕はそこで魔獣肉と野菜のパスタ、ウェイアンさんは魔獣肉とチーズのピザを頼んだ。

さすが人が沢山いる店なだけあり、テーブルに載せられた時点で美味しそうだ。

パスタは茹でたてで、野菜もしなしなにならないようにギリギリから炒め始めたのだろう。しなっとせずにちょうどよい歯ごたえになっている。

僕はフォークがほぼ止まることなく、完食してしまった。

「はぁー……すごい食べちゃった……。」

「あそこの料理は絶品だったね……。また機会があったら訪れたいよ。」

「さて……!ギルドに行きましょう!」

「そうだね。ギルドは……中心からさらに奥に行ったところらしい。流石に王もいるところだ。奥じゃないと危ないっていうのもあるんだろうね。」

中心には噴水があり、冒険者掲示板というものもあった。

そこには様々な情報が乗っていた。

もちろん、ルズベリーに魔族らしき人がいたが討伐されたというウェイアンさんの流したデマ情報もそこにあった。

今日ギルドに来ているのも、情報提供のためなのだ。

ギルドには基本、情報主とそれを同じくらい詳しく知る同伴者が必要なのだ。

マイでもよかったのだが、ウェイアンさんと二人でうまくやれるか心配だったので僕が来ている。チェレードのこともあるしね。

「ところで、ハルくん。その、チェレード、FH-275達についてわかる限り着くまでに教えてほしいんだ。最終的に報告書類に書くのは僕だからね。」

「わかりました……。」

僕はチェレードが地上魔族の王であること、固有の領域に閉じ込められたこと、あと少しで仕留めきれなかったこと、FH-275がマイに対して魔族になろうと勧誘していたことなどを話した。

「なるほどね……。そのチェレードって奴を倒せば魔族の増殖は止まるのかい?」

「いや……そこは分からないです……。」

「そうか。チェレードの顔は覚えてるかい?」

「ぼんやりとなら……。」

「わかる限りでいい。ギルドについたらこの紙に書いてほしいんだ。」

「わかりました。」

前世で趣味で絵を描くこともしといてよかった……。

もし、描いてなかったら最悪の絵が出来上がっていただろう……。

「ついたぞ。ここだな。」

「おっきい……。」

そこは正しくよくみんながイメージするようなお城が立っていた。

入り口には兵士が立っており、また通行証明書を調べられた。

通してもらうとギルドの扉の前へと向かう。

両脇には庭があり、バラが植えられていた。

「園芸の趣味がいいねぇ……。この街、僕は好きだよ。」またウェイアンさんが独り言を言っている。

ギルドの扉を開けると僕達は中へと入った。

――――――――――――――――――――――

「なに……!?早便で行ったと。」

「はい。内通者からの確かな情報です。」研究員はそう言った。彼が言うのだから本当なのだろう。

「分かった。少し早いがフェーズ2を起こすぞ。守りが手薄な今しかチャンスはない。今を逃せばあの二人を完全な魔族にすることは不可能だ。」

「はっ。承知。では合計1549体をフェーズ2に参加させます。」

「それでよい。チェレードから報告のあった小屋を囲むように展開せよ。」

「はっ!」

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