??? (side???&ハル、ウェイアン)
「そうか……。それで……?奴らの居場所は掴めたのか?」
「もちろんです。」
「ならいい。もう1人も働いてるか……?」
「えぇ。しっかりと奴らを尾行しています。」
「ならよし。なんとかしてガスパオロとかいうやつを連れて帰ってこい。」
「承知。」
遠隔無線機の電源を切り、机に置く。
「さて、FH-275を捨て駒にして正解だったよ。お陰で計画がうまく進んだ。」
「そうかい。ならばよかったよ。それで?あいつらを追っているもう1人の奴ってのは誰なんだね?」
「それは言えないさ。なんせ、俺らの実験で誕生させられた最強の兵器なのだから。もし、君が裏切った時に取られたらたまったものじゃない。」
「ははは!それはそうだな。では、聞かないでおこう。」
「それが君のためだ。あの生物兵器は私が一声かければ君を殺しに行かせることも可能だぞ?」
「分かってるさ……。」
そう言って目の前のよく見る顔の彼はデスクの上にあるランプをつけた。
「さて……?あやつらの居場所も突き止められたことだ。あの生物兵器に次世代王ガスパオロを回収させるとしようか。」
「待て、もう少し様子を見てからだ。何かしらの動きがあるはずだ。」
「了解した。失礼しました。」
彼を見届け、部屋の中をうろつく。
基本ここの部屋からは出ることはない。
ずっと本を読み漁るか、魔法陣の研究をしているのみだ。
「さてさて……あの兵器をどうやって動かそうか……。あの兵器には様々なスキルを覚えさせてある……。あいつの犠牲は無駄ではなかったな……。さぁ……!ここからは第2フェーズだ!せいぜいもがくがいい!」
――――――――――――――――――――――
「ううっ……!」体に寒気が走り、僕は体を揺する。
「どうしたんだい?ハルくん。」
「いや……ウェイアンさん。なんでもないよ。なんか嫌な予感がしただけ……。」
「まぁ……この小屋もバレてるから無理はないよね……。だからいまもこうして警備をしてるわけだし。」
「ただ、チェレードが単騎でいたのも怪しい……マイちゃんの言うことが本当ならばそのうち一つ大きなことが起こってもおかしくない。気を引き締めていこう。」
「はい!」
――――――――――――――――――――――
「こちらチェレード。どうやらガスパオロ誘拐を恐れ、警備を固めているようです。」
「そうか。」無機質に答える。
「ならば生物兵器をそちらで動かす。お前はそいつのサポートをしてくれ。」
「はっ。承知。」
「実行は明後日だ。たしかその日は主戦力の二人はいないはずだ。」
「承知。」
「引き続き捜査を続けてくれ。適度に木の妖怪も補充するように。わかったらレシーバーを切り、配置に戻れ。」
「はっ。」
プツン。と音がして、レシーバーが切れた。
「ははははは!まさかあやつらも生物兵器がよく見るあれだとは思うまい!帰ってきて絶望するがよい……!」
――――――――――――――――――――――
「ウェイアンさん。集合ギルドまでは何で行く予定なんだい?」
「馬の予定だけど……」
「やめておいたほうがいい気がする。僕達がいない間警備は手薄だ。もし、何かあってもマイ達だけじゃ……」
「確かにそれはそうだけど……代わりの乗り物はどうするんだい?」
「それなら当てがある……。街に出るが大丈夫か?」
「大丈夫。僕達は別に狙われていないからね。ただ、ここの道がバレないようにはしなきゃね。」
数分後、僕達は街のコロシアムの方へ歩いていく。
もちろん、ライマルクさんの店に行くためだ。
カランカラン。と、いつもの鐘の音が鳴る。
「おぉ!ハルくん!優勝おめでとう!!」
ウェイアンさんは僕に近寄ってくるやいなや頭をくしゃくしゃと撫で回した。
「それから……そこにいるのはウェイアンではないか!」
「お久しぶりですね。うちのリーダーがお世話になってました。」
ウェイアンさんはガスパオロが死んだかのように振る舞う。
「やはりか……私の店にも襲ってきてね……代々伝わってきた宝剣を振り下ろしてしまったよ。相打ちにはなって剣は折れたものの、彼らしき人は退散してくれてね……。やはりそうだったか……。」
「それで、ウェイアンさん。」
逸れた話を戻そうと僕は話しかける。
「おぉ。そうだ。要件はなんだね?」
「僕達集合ギルドに行きたくて……それでその間に仲間がまた魔族に襲われても嫌なんだ。だから高速で空を移動できたりする魔物を呼び出せないか……?」
「できないことはないが……」
「ないが……?何か問題でもあるの?」
「いや、その間の警備を私もしてやろうかと思っていてね。」
「いやっ、大丈夫ですよ。」ウェイアンさんがすぐに答える。
ガスパオロが治療中なのがバレたくないのだろう。
「そうか……ならいいのだが……。危なくなったらこいつを使って私に連絡するように仲間に言っておいてくれ。何かあってからでは遅いからな。」
そう言ってウェイアンさんは伝書鳩のような鳥を僕の肩に乗せてきた。
「おぉ……!頼りになりそう……!」
「だろ?だろ?こいつも冥界の生物だぞ。」
「へー……!」
「あとは高速移動用の鳥だな……?こいつでどうだ?」
ウェイアンさんは魔法陣を書き始め、いつものように詠唱を始めた。
まばゆい光が出て、その場にいたのは背中に二人は乗れそうな鷹のような鳥だった。
「おぉ!こいつならいけそうだ!ありがとう!ウェイアンさん!」
「おう、気にするな!」
「また明日、その鳥を借りに来るから!」
「わかったぞ!」
――――――――――――――――――――――
「なるほど……急ぎの便……ね?これはリーダーに報告しなきゃ!」チェレードの他にも監視の目は続いていた。
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