封印完了
「さっさと片づけるぞ。」
「ウェイアンさん……!」
「偽装士っていうくらいだし、ジョブの偽装だってできるさ。今はヒーラーに一時的に偽装して君たち2人に回復魔法をかけたのさ。」
「そんなことまで……」
「礼は後でいい!とりあえずこいつを封印するんだろ?ジュデボラ。これ飲め。魔力回復だ。」
「ありがとう……。」
「ハルくん。僕が君の封印剣をコピーする。それで2人で一気に斬ろう!効果は2倍になるはずだ!」
「わかった!」
僕とウェイアンさんは2人で封印剣を手に持つ。
「ほらほらー!こっちだよー!」
マイが挑発をしてガスパオロを誘導してくれている。
「マイちゃん!後もう少しこっちに!」
「分かってるよ!大丈夫!」
ガスパオロがそのままマイについて行くと……
「ウギェェェェェ!」
「よし!
「「わかった!」」
2人でガスパオロに斬りかかる。
すると、花火のようなエフェクトが上がり、ガスパオロの体からジュゥゥゥと音がし始めた。
「よし、これで今封印作業が行われてるはずだ。ハルくんがさっきした時はこの音はしなかっただろう?」
「はい。」
「それは封印が足りなかった印だ。」
「なるほど……」
「そろそろいいかな。次の工程にいこう!回復剣で浄化するぞ!」
「はい!」
「「せーのっ!」」
2人でガスパオロを回復剣で斬りつける。
「これで大丈夫なはずだ。僕達の隠れ家に運ぼう。」
「ギルドじゃダメなの?」と、マイが聞く。
「こいつはここの街を暴れて壊し回ってたんだぞ……?ギルドに連れて行ってみろ……殺されるぞ……?」
「そっか……」
「いくら変な人とはいえ、僕らのリーダーだ。死なすわけにはいかないよ。」
「確かにな……でも、そこまでどうやってこいつを隠して行くんだ?」
「君のペリクーンの口の中を借りるんだよ。」
「でも、口の中には色んなアイテムが……」
「悪いけど……諦めてくれ……アイテム集めならいつでも手伝ってやるから……」
「………………わかった。」
僕は断腸の思いでライマルクさんからもらっていた貴重なノーマルアイテムをすべてペリクーンから出し、ジュデボラの火炎魔法で焼却処分してもらった。
「ペリクーン。ごめんよ。さっきより重くなるぞ。」
そう言ってガスパオロをペリクーンのくちばしの中にしまう。
「よし、じゃあ行くか。こっちだ。」
僕たちはウェイアンさんに連れられてルズベリーの町から少し離れた森の中を歩いて行く。
「ここはたまに木に擬態したモンスターがいる。気をつけて進んでくれ。ここまでくれば大丈夫かな。ペリクーン。ありがとう。」ウェイアンさんはペリクーンからガスパオロを抱え上げると背中に背負った。
「ウェイアン。噂をすればなんたらってこういうことじゃないかな……?」
「やっぱりお前といると運が悪くなる!」
「そんなこと言ってないで倒してよ!森の中だし火炎魔法使うわけにもいかないの!」
「んなこと言ったって僕も背中にリーダー背負ってるし!」
「僕が行くしかないか……」そう呟いた時……
「ペッペペーイ!」ペリクーンが口から冷凍光線のようなものを発射し、木のお化けを凍らせてしまった。
「わぁお……」僕は驚きが隠せなかった。
「ペリクーンに防御は任せていいかもね……」
「これ、僕達戦わなくてもいいんじゃないか……?」
「守るのだけは私とラーイーダがしないとだね……」
完全に全員がペリクーンに任せる状態になってしまった。
アイテムも運べて攻撃できて、どんだけ優秀なんだこいつは……
「ん?でも、待てよ……ペリクーン。口開けれるか?」
ペリクーンに尋ねると口を開けようとする動作をするも開けられていない。
「まさかこいつ……自分の口の中まで凍らせちゃったのか……?」
ペリクーンは頭をこくこくと動かした。どうやらそうらしい。
「こいつ……アホだ……ガスパオロをくちばしから出しといてよかった……。」
ウェイアンさんがホッと息をついている。
「じゃあ結局僕が戦わなきゃいけないのね……」
「そうだね……ごめんよ。ハルくん……。」
「大丈夫ですよ。あんなのまた出たらすぐに倒して見せますよ!」
僕はその後先頭を歩き、お化けが出てきてはマルタの剣で斬り倒していった。
しばらくすると木でできた小屋のようなものが現れ、「あそこだ。お疲れ様。」と言われて僕はホッと腰を下ろした。
「先に中に入ってるからね。僕はリーダーを寝かせてこなきゃだから。」
そう言ってウェイアンさんは小屋の中へ入って行った。
――――――――――――――――――――
「よしよし……偽装はうまくいったな……しかし、偽装士が偽装される側だとは……はっはっは……これは面白い。」
そう言って茂みの奥から小屋を見ているチェレードがいた。
――――――――――――――――――――
「ハルくん。奥に向かって剣を投げて。」
マイが僕に耳打ちしてくる。
「なんで?」
「あそこらへんに多分チェレードがいる。」
「わかった……。飛行剣を久々に使うか……。」
僕は飛行剣を振り、剣を飛ばした。
しかし、何も刺さる感じはしなかった。
「逃げられたか……。逃げ足だけは早いやつだな……」
「ここも危ないって3人に伝えなきゃだね……。」
僕たちは急いで3人のいる小屋へ向かった。
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