半魔 ガスパオロ
「はぁはぁ……そろそろ着くな……チェレードと戦って分かったけど、あれは内部に魔族が入ってる状態だ。だから内部の魔族を封印すればガスパオロの暴走は収まるはずだ。」
「なるほど……!ならハルくんの力で武器を作れば……!」
「それがさ……まったくイメージがつかないんだ……」
「そ、そんなことあるの……!?」
「あぁ……。だから戦いながらイメージを固めなきゃいけない……」
「とりあえず急いで向かおう!ハルくん!ジュデボラさん達が……!」
「うん!急ごう!」
「マイ!あそこ!」僕はガスパオロと必死に戦っているウェイアンさん一行を見つける。
「危ないっ!」三人が危険だと感じたマイは盾を持って走っていった。
「あいつ……戦闘のときになると自分の安全を捨ててでも守りに行くよなぁ……。ま、いいや!今は3人を助けなきゃ!」
僕はマルタの剣を手に持ち、ガスパオロに斬りかかる。
しかし、シュゥゥと音がして僕の攻撃は黒い煙になって打ち消されてしまった。
「は!?」
「これが厄介なんだよ……ハルくん……」ジュデボラが息を切らしながら話してくる。
「あいつには攻撃が効かないってことか!?」
「今の所ね……ラーイーダももう体力切れで倒れちゃってる……。」
ふと道の端に目をやると魔力切れでその気を失っているラーイーダが倒れていた。
「ウェイアンさんは……!?」
「他の場所に現れてる取り巻きを倒しながら住民の避難をしてくれてる!」
「こいつが取り巻きを遠隔で操作してるのか?」
FH-275のような例を思い出し、ジュデボラに尋ねる。
「なるほど!その考えはなかったなぁ!そうかもしれない!」
「なら、僕に一つ案があります。」
「なになに……?うわっ!話してる途中に攻撃してくるなぁ!
「ジュデボラ…もしかしてエスパーだったりする?」
「は?」
「いや、そいつの動きを止めてくれって頼もうと思ったらもうしてくれたからな…心を読まれたのかと思っただけだ。」
「なーんだ。そんなことか!こいつのことなら何回も動きを止めて時間を稼いでたから!それに麻痺中は攻撃が通るからね。」
「ほぉ?それなら好都合だ。封印剣と治療剣を精製。」
――――――――――――――――――――――
封印剣 レア度 ★★★★★★★★★★
この世に害をもたらす悪霊などを体内で封印できる剣。
封印度 A+ 封印度A+では天災レベルの怪異を封印することができます。
――――――――――――――――――――――
そして、治療剣の性能はこんな感じだ。
――――――――――――――――――――――
治療剣 レア度 ★★★★★★★★★★★
封印された悪霊などを成敗、及び普通に治療ができる剣。
自身には使用不可。
治療レベルB 治療レベルBでは天災レベルが封印された身体を悪霊から開放できます。
――――――――――――――――――――――「僕をあんなに罵ってきたあいつに使うのは尺だけど……!喰らえ!はぁぁ!」
僕は麻痺状態のガスパオロに封印剣を振り下ろす。
剣は体に溶け込むかのように体を通った。
ガスパオロの体に傷はなく、どうやら封印に成功したように見えた。
「第二段階だな……治療剣。」
僕は治療剣をガスパオロに向けて振り下ろす。
さっきのように剣はスルッとガスパオロの体を通り過ぎた。
「よし、これで大丈夫なはずだ……。」
そう言って僕が後ろを向いたとき、腕のあたりに爆発音と共に激痛が走った。
「間に合わなかった……」マイが横でよつん這いになり動かなくなっている。
「なんか……腕が……痛い……」
「ハルくん!早くこっちに!今から治療魔法が間に合う!あいつ……体を銃に変形なんて……珍妙なことしやがって……」
「今行く……くっそ……」
走ろうにも体に力が入らず、ゆっくりとしか歩けない。
ガスパオロはどんどん僕に近づいてくる。
「ガァァァハッハッハッハ!」
奇妙な笑い声を出しながら魔族に取り憑かれたガスパオロは僕に剣を振り下ろしてこようとする。
「今度こそ…………間に合っ…………た…………!」
マイが僕の横でガスパオロの攻撃を抑えてくれている。
「ハルくん……!今のうちに……!うぁぁぁ……!」相当強い力らしく、限界に近いような感じで抑えている。
なんとか迷惑をかけないように近づいてきているラーイーダに僕も近づいていく。
「きゃあ!」急に後ろで悲鳴が聞こえた。
後ろを見てみるとマイが耐えきれずに近くの岩に飛ばされていた。
「マイ!!」
「ハルくん……今はジュデボラさんの方に……私は……大丈夫……だから……」
「回復分の魔力を取っておかなきゃだから攻撃できないし……どうしよう……!」
「ガァァァハッハッハッハ!」今度はジュデボラを斬る気か……その笑顔で剣を持つのをやめろ……仲間を殺すのをやめろ……!
「全く……無茶しやがって……」
聞き覚えのある声がして体が軽くなって気がした。
「お前ら2人とも周りが見れ無さすぎだ……さっさと片付けるぞ。」
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