対FH-275(side マイ)
私の方にそのFH-275と呼ばれた魔族はすごいスピードでやって来た。
けど、あの速度ならギリギリ跳ね返せる!
「反射!」私は固有スキル反射を使ってFH-275の特攻攻撃をそのまま跳ね返す。
「中々に強い盾使いの子だなぁ!触媒にすれば強くなれそうだ!」
「誰があんた達のの触媒になるもんですか!」
「みんな最初はそう言うのさ。でもね……お嬢ちゃん。結局みんな魔族化したあとは必ずあぁ……なってよかった……ありがとうございます。って言うんだよ……?」
「それはただの洗脳だよ……!その人たちはなりたくて魔族になったんじゃない!あなた達みたいな人になら
「魔族達の数が増えないように……?ハッハッハッハ!フハハハハハ!これは笑わせてくれるではないか……!」
「何言ってるの?」
「もうすでに私達は魔族を生産できないんだよ。だから、この戦いも無駄ってこと。」
「……」
「あれ?何も言えなくなっちゃった?意味がないとわかってくれたのかな?」
そう言ってFH-275は近づいてくる。
「無駄じゃない!!」私は思いっきり力を込めて盾を振る。
光が盾の輪郭に走り、体が少し軽くなった気がした。
「鑑定。」
――――――――――――――――――――――
名前マイ
種族 人間
役職 シールダー
スキル 反射 鑑定 身体強化(微)《new!》
――――――――――――――――――――――
「なーるほどね。こうやって強化させるわけなのね。」
「なんだ……今の力……っ……盾使いとはとても思えん……素晴らしい力だ……なんとしても手に入れなくては……!」
「まだそんなこと言ってるの?アホなの?」
「アホはそっちだぞ……!魔族になればこの世界で最も強くなれる!君の盾の腕前も努力せずとも上がる!最高ではないか!」
「嫌だよ。」
「は?」
「嫌だって言ってるんだよ!」
私は盾をFH-275に向けて振り下ろす。
「何を……言ってるんだ!」FH-275は私の振り下ろした盾を抑えながらそう聞いてくる。
「努力せずに成長するなんて……!そんなアホらしいことはしたくない!私は人間にしかできない努力して勝ち取るっていうことをしたい!」
私は一度盾をFH-275の手から抜き取り、今度は横振りで叩き込む。
「人間にしかできないことなどチリのようなものだろうがぁ!」
盾はFH-275が必死に抑えている。
「価値観の違いがそれを生み出してるだけだよっ……!だって……!私は今の人生が一番楽しいから!」私は思いっきり盾をFH-275に当てる。
「ぐぁぁぁ……!?」盾はFH-275の右腕に当たり、右腕は衝撃で吹き飛ばされる。
あれはもう使い物にならないだろうなぁ……
「いい加減覚悟しなさい?私は今の人生を楽しみたいの。」
「しぶといやつめ……魔族になれぇぇ!」
FH-275はそう言って残った左手を剣の形に変形させてこちらへ向かってくる。
「しぶといのはどっちかなぁ!私はあなたの方だと思うよ!」
私は盾を体の前に置き、タイミングを伺う。
「喰らえぇぇ!」と、FH-275が腕を振り下ろそうとしてくる。
「反射!」まずは剣を反射で受け止める。
「この程度の力だと思うなよ!おらぁぁ!」
やっぱり力を上げてきた。
ここまでは予想通り。後はタイミングを見計らって……
「今しかないみたい……!はっ!」
私は一旦盾を手放し、FH-275を飛び越えて後ろに回る。
「盾を置いてってどうするつもりなんだい?遂にアホになったかぁ!!」
FH-275は私に剣を振り向いて振り下ろしてこようとする。
「こうやるんだよっ!!」私はFH-275の脇腹をできる限りの最大限の力で蹴る。
「グホッ……ガッ……」どうやら効果はとてもあったようでFH-275はその場で片足のみ立ててうずくまっていた。
「幕切れは興ざめだったみたいね……!はぁぁぁ!」
私は身体強化(微)を発動させてFH-275のお腹を狙って盾を打ち付けて押しつぶすようにのしかかる。
「ま……負けだ……うぅっ……」
FH-275は泡を吹いて気絶してしまった。
ふとハルくんはどうかと見てみたら危ない状況だった。
私は身体強化(微)を使ってハルくんの元へ向かい、チェレードの攻撃から守る。
「もう……無理……しないで……よね!」
まったく……戦いに熱中するとすぐ無理をするのがハルくんの良くないところなんだから……
ハルくんは少し驚きながらも「ありがとな、マイ。」とお礼をしてくれた。
でも……それよりもそろそろ抑えるのが限界なんですけど……!
「礼はいいからっ……こいつをどうにかしなさいっ……!」
そう言うとハルくんは我に返ったかのようにまた戦闘態勢に戻る。
二人で一気に決めると言われ、私は限界まで反射で跳ね返す。
地面に足を押し付け、ふんばる。
「はぁぁぁ!」そのまま魔球はチェレードの方へ戻っていく。
後はハルくんが決めてくれると言っていた。
役目を果たして満身創痍になったのかその場にぺたりと座り込む。
しかし、急に周りの景色が元に戻り、私は急いで立ち上がった。
しかし、そのときにはもうチェレードは逃げ出してしまっていた。
逃げたなら今しかチャンスはない……!
ジュデボラさんたちを助けに行かなきゃ!
私はハルくんにそのことについて話そうと駆け寄った。
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