魔族の恐ろしさ
「魔族域発動!」
その言葉と共に僕たちは銀河のような空間に立っていた。
「ここ……は?」
「え?なにここ!?元の世界は!?」マイも混乱しているようだ。
「これが上級魔族の固有能力。魔族域だ。私の場合はこのように別世界を一時的に作成することができる。」
「そんなの無茶苦茶だ……!現世から存在を一時的に切り離すなんて……!」
「君のスキルもそのくらい無茶苦茶だとそのままお返しするよ。」
「そこまで言うんだったら……無茶苦茶同士で勝負といこうか。マイ。もうひとりは頼んだ。」
「望むところだ。FH-275。シールダーの少女は頼んだ。」
「おっけー!任せといて!」
「了解。」
FH-275と呼ばれたその山賊だった魔族はマイの元へ突撃して行っていた。
どのように対処したらいいかまるっきり分からない相手だけど勝負するしかない!
スキを作らせて相手から逃げるか弱点をつくかのどっちかだ。
「いくぞ。まずはこいつだ。」僕は一番の持ち武器のマルタの剣を出す。久々の感覚に一瞬ビックリするもすぐにいつもの感覚に戻った。
「喰らえぇぇ!」僕はチェレードの腕をめがけて剣を振った。
「弱いわ!」チェレードは剣を片手でおさえつけてしまった。
「っ……!」僕はすぐに剣を離し、新しい武器を精製しようとする。
「ほぉ?この剣はいい媒体になりそうだ。」
チェレードはそう言ってマルタの剣に力を与え始めた。
マルタの剣はみるみる黒い煙に包まれていく。
「あの見た目は……邪剣……!?」
「よく知ってるな。まさか見たことがあるのか?」
「あぁ。一度だけな。」
「だとしたらそれはやられた俺の兄ちゃんのだな。倒した人に関わりのある人物は生きておかすのも胸くそ悪いわ。ここで殺してやる。」
その言葉とともにチェレードの手に握られていた剣は太刀だった。
「素晴らしい……!!こんな邪険ができるとは……!」
「太刀か……ならこいつで対抗してやる。」
――――――――――――――――――――――
ボンバーアックス レア度 ★★★★★★★★★★★★
攻撃すればするほど威力の上がる変わった武器。
敵の本体にぶつけることで小規模ながら爆発を起こせる。
――――――――――――――――――――――
「ほぉ……?爆発する斧……か。」
武器の内容が……バレただと!?どういうことだ……?この武器はオリジナル……鑑定スキルがないと……鑑定……まさか喰ったやつのスキルを奪うとかじゃないよな……そんなバカな。
「君の予想は当たっているよ。ハルくん。」
「……!?」
「僕は触媒の元とした人間を喰うことでスキルを所得することができる。」
「まじかよ……」
「君も同じように食べてあげるからね……。」
「ふざけたことを言うなぁ!」
僕はボンバーアックスを手に持ち、チェレードに向けて振り下ろす。
しかし、振り下ろした先は空気だった。
「デコイだったか!」
しかし、すでに遅かった。背中の近くでチェレードは剣を振り下ろそうとしていた。
剣盾を出すにも間に合わないと思ったその時、ガン!と金属音がして、剣はその場で止まっていた。
「もう……無理……しないで……よね!」
チェレードの剣を頑張って抑えながらマイは僕に叱ってきた。
「ありがとな。マイ。」
「礼はいいからっ……こいつをどうにかしなさいっ……!」
FH-275はどうしたのかと横を見てみると気を失っている。うまいこと倒したようだ。
「わかった!二人で倒すぞ!」
「もちろん!」
マイがシールドを少し傾け、チェレードの体制を崩させる。
そして、そこに強力な盾の一撃を喰らわせる。
あれ、でも今攻撃するときマイの盾の輪郭に今までに見たことのない謎の光が出てなかったか……?
気のせいだろうか……いや、そんなことは後で考えればいい。今はあいつを倒さなくては……
吹き飛ばされたチェレードはゆっくり立ち上がると、「ふざけた真似をしやがってぇぇぇ!許さん!絶対に許さん!」と、言って体からオーラを出し始めた。
「このチェレード最強の一撃で終わらせてやる!!」チェレードは手の中に何やら魔力のこもった玉のようなものをどんどん大きくしている。
「マイ!反射であれを跳ね返すぞ!」
「で、でも!ただでさえ跳ね返せないのに……!無理だよ!」
「僕が剣盾で返せるレベルまで抑え込む。だから、そしたら反射で跳ね返してくれ。その後の一撃は必ず僕が決めるから。」
マイは少し心配そうな顔をしていたが、「分かった。」といつもより少し落ち着いた声で返してきた。
「喰らえ!チェレード最強の一撃!メテオバーンだ!」チェレードの手から魔球が発射される。
「よし、来たな……!剣盾!」
僕は剣盾にありったけの魔力を注ぎ込み、マイが跳ね返せる程度まで抑え込む。
「今だ!マイ!」
僕は素早く避け、マイにあとを託す。
「反射!」マイが跳ね返したのと同時にマルタの剣を精製し、チェレードに攻撃を当てようとする。
しかし、「魔族域解除。」と、チェレードは詠唱し、僕達のいる訳のわからない空間を消し去った。
「逃げる気か!逃がすかぁぁ!」僕は今できる最大限の力を足に込め、ダッシュでチェレードのところへ向かう。
ザクッと音がして、勝ったと確信した。
しかし、目線の先にいたのはチェレードをかばったFH-275だった。
「あいつ……!盾にしやがったか……逃げられちまった……」
「それより、ハルくん!さっきチェレードが言ってたガスパオロの話……」
「あっ!そうだった!マイ!急いでルズベリーに戻るぞ!ペリクーン!先に空を飛んで戻っててくれ!ライマルクさんいわくお前少しは戦えるらしいしな!」
「ギャェェェェ!」と、ペリクーンは答え空を飛んでいく。
「僕達も急ごう!ウェイアンさんたちになにかあったら大変だ!」
「うん!」
僕達はダッシュでルズベリーの街へ向かう。
空は夕焼けで赤く染まっていた。
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