ドラゴンのいる街

「ここだ。」一番前にいた男の人が全員に知らせた。

「うわっ……ありゃあひでぇなぁ。」と、誰かが呟いた。

そんな言葉も出るはずだ。なんせ、街はドラゴンのブレスによって凍てついていたからだ。

「よし、みんな。行こう!市民を助けよう!」

僕達は街へ向けて走って向かった。

ドラゴンは数えられるだけでも100匹はいるだろう。

「マイ!ラーイーダ!防御頼む!!」

「おっけー!」「ん。」

二人がシールドを張ってくれている間にジュデボラが火炎魔法でドラゴンを炎で囲ってくれている。

「ウェイアンさん!一気に二人で攻撃を入れますよ!」

「了解。まかしといて!」

しかし、特攻しようとしたその時。

ドラゴン尻尾を大きく上げ、地面に叩きつけた。

すると爆風が起こり、1番最前線にいたシールダーの二人が吹き飛ばされてしまう。

「っ!?」

こうなってはしょうがない。

「ウェイアンさん!ジュデボラ!二人の回復を頼む!あいつは僕が倒す!この武器ならあのドラゴンにも致命傷を与えられる!」

「心配だけど……任せるよ!ハルくん!」

「回復が終わったらすぐに向かう!」

二人とも了承してくれた。

「ペリクーン!お前はついてきてくれ!」

「ぶぁぁん!」と、元気に鳴いて答えてくれた。

ドラゴンの元へ一直線で走っていく。

手にはドラゴンキラーアックスを握り、一気に決めようとする。

しかし、相手はドラゴン。

流石にすぐにはやられてくれない。負けまいとコールドブレスを撃ってくる。

「剣盾!」剣盾を貼り、コールドブレスを防ごうとする。しかし、剣はどんどん凍っていく。

「こりゃあまずいなっ……!このまんまだと……」

その時、タイヤが目の前を通り過ぎた。

そして、そのタイヤは曲がり、ドラゴンの顔に向けて飛んでいった。

タイヤはドラゴンの顔に当たるとどこかへ消えてしまった。

「このタイヤって……いや、そんなことを考えてる暇はない、今しかチャンスはないな……」

ドラゴンキラーアックスを手に持ち、 僕は青く光った弱点のお腹に力を込めて斧の刃をぶつける。

ドラゴンは後ろへ少しふらつくもすぐに体制を立て直し、ブレスを撃ってこようとする。

「はぁぁぁぁ!」しかし、そこに聞き慣れた声が聞こえた。

彼の剣はそのままドラゴンに突き刺さり、真っ二つに切った。

「ウェイアンさん!」

「間に合ってよかったよ。」 

「おーい!こっちも終わったよー!」

と、ジュデボラが走ってくる。

「よかった……」

「避けろ!次がきてる!安心してる暇ないぞ!」

「うわぁぁぁ!?ウェイアンさん……ありがとうございます……」

「お前に死んでもらっちゃ困るしな。しっかり周り見とけよ!」

「分かった!あ、あとジュデボラ!次からドラゴンの頭に強めの魔法を一発入れて欲しいんだ!」さっきのタイヤのことを思い出してそう伝えておく。

「了解。じゃあ、隕石メテオを一発入れるからね。」

「了解!じゃあ、あいつを倒そう!」

その後はただひたすらに攻撃し続けた。

たまに危ない時にはシールダー二人に守ってもらいながら僕達はどんどんとドラゴンを倒していった。

しかし、倒していくうちに変なことに気づいた。

「な、なぁ……段々人の声が少なくなってない……?」

「確かに……」

「一つあたしの嫌な予感を話していい?」

「ジュデボラ……それってまさか……」

「あっちに見えるひときわでかいやつに凍らされたっていう予想。」

「そうだったらまずいよ!すぐに向かおう!」

向かった先ではジュデボラの予想した通りのことが起こっていた。

「これは……」

ほぼ全員が氷の中に閉じ込められ、身動きが取れない状態になっていた。

「こいつらを先にするか、溶かすのを先にするかどっちにするんだい?」

「2班にわけない?僕とウェイアンさんとラーイーダでドラゴンをマイとジュデボラで溶かして回るってのはどう?」

「賛成だ。」

「いいんじゃない?」

「私は大丈夫。」

「よし、決まりだ!行動開始!」

「喰らえ!」ドラゴンキラーアックスをドラゴンのお腹に強く打ち込む。

「はぁぁぁ!」そこにウェイアンさんが追い討ちをかけるように龍魔剣を開いた穴に射し込む。

しかし、体が大きいこともあり、なかなか倒れない。

「ブレスがくるぞ!」

「ラーイーダ!シールド頼む!」

ラーイーダがシールドを貼ってくれるので毎回ブレスで凍らされる心配はないがその間に傷口が修復されてしまう。

「ウェイアンさん!これ、もしかしたらラーイーダが獣化使って倒した方がいいんじゃない!?」

「僕も今そう思ったところだよ。てな訳で、ラーイーダ。いつもの頼むよ。」

ラーイーダはコクッと頷き、獣化を発動させる。もちろん、攻撃力を奪う対象はドラゴンだ。

「ラーイーダが攻撃したところを二人で一気に攻撃しよう!」

「了解!任せときな。その前に……その斧、コピーしてもいいかい?」

「もちろん!ここで仕留めなきゃ終わりだからね……」

ウェイアンさんのキューブがコピーを終わらせたところで、ラーイーダは一気にドラゴンと自分との距離を詰めていっていた。

「ウェイアンさん!せーので行きますよ!」

「あぁ!ここで仕留めような!」

「「せーのっ!」」

僕達二人の斧が一気にお腹に二つ刺さり、ドラゴンは真っ二つになった。

それと同時に、まだ溶かされていなかった人の氷が溶け始めた。

そして、住民や、兵士からお礼のシャワーを浴びることになった。

「ありがとうございます助かりました!」

「あいつを倒してくれなかったら俺たちもしかして……」

「本当にありがとねぇ……私はもう歳だから……昔は戦えたんだけども……」

お礼を言ってくる人の中にあのタイヤを持っている人もいた。

お礼だけは言おうと話しかける。

「あっ!あのー!さっきはありがとうございました!」

「オレにできることをしただけだ。例などはいらんよ。」

「あっ、はい!」

「じゃあ、オレは色々やるべきことがあるから帰るぜ。じゃあな。」

「あっ!待ってください!僕はハルって言います!お名前だけでも……!」

「お前にまだ名前をいう必要はない……。そのうちまた縁があるだろう。その時にじっくりと話そうではないか。」

そう言ってその男は去ってしまった。

「なんか、変わった人だったなぁ……また縁があるかなんてわからないのに……。」

そんなことを思いながら街へと戻った。

街の溶け始めた氷が太陽の光を反射し、煌びやかに光っていた。

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