新しい仲間
称号授与式
「ハルくん……君の本気が見れて嬉しかったよ!あの時の約束をしっかり守ってくれたんだね。」
「まぁ……そうですね。疲れるんでもう二度としたくないですけどね……」
「はははっ……!それはそうだね。ところで、後で僕の控室に来てくれないかい?渡したいものがあるんだ。」
「分かりました!後で行きます!」
その後、僕は待合室のある廊下を歩き、ウェイアンさんの控室に向かった。
コンコンコンとノックするとドアが開き、ウェイアンさんが出てきた。
「ハルくんか!中に入って。」
「あ、はい!」
部屋の中は自分の部屋よりも少し豪華な仕様になっていた。
「ささ、座って。」僕はソファーへと案内され、そこに座る。
「さて、渡したいものっていうのがこの『勇者の宝石』だよ。」
それは首飾りのようなものだった。
「昔僕達がこの儀式をやったときに受け取ったものだ。こいつはまた次の勝者が来たら受け渡さなきななんだけど……君なら負けない気がするよ。あぁ、それとこの首飾りはチームのステータスアップ効果もあるんだ。有効に活用してくれ。」
「ありがとうございます!」
「おっと、そろそろ称号授与式の時間じゃないか?」
「あ、本当だ……!ウェイアンさんありがとうございました!いってきます!」
「うん。行ってらっしゃい。」
――――――――――――――――――――――
「おめでとう!ハルくん!このルズベリーの町を代表してこの私、ギルドマスターのガルディーヌが君に称号『戦王』を授けよう!」
「ありがとうございます!」
僕は拍手を受けながらワッペンを受け取る。
段上には月の狼のメンバーたちがいる。
ガスパオロを除いて。
三人は口々におめでとう。と言ってくれた。
ガスパオロは渋々僕を認めてくれている感じだ。
「っ……俺は渋々認めてるだけだ!決してお前より弱いとは思ってないからな!!」
そんなことをさっきからずっと言っている。
「ガスパオロ。いい加減認めたらどう?あんたもチャームを破壊されて結局負けたんだし。」
「あれはチャームをしっかり共鳴させてりゃあんなことにはならなかったんだよ!」
「ハルくんすまないね……こんな人が僕達のリーダーで……」
「いいんですよ、ウェイアンさん。彼は本当は認めなきゃなのをわかってるのに認めてないだけですから……。」
「ははは!そうかもしれないね!まぁ、せっかくだしどこかで僕が奢ってあげてもいいけど、来るかい?」
「えっ!?いいんですか?」
「もちろん!」
「私も行っていいかな?」とジュデボラが話しかけ、その後ろからラーイーダも行きたそうな目をしている。
「二人は行くのか。んで、どうする?リーダーさん?」と、ウェイアンさんが少し煽るように尋ねる。
「行くわけねぇだろバカ野郎!」
そう言ってガスパオロは会場をそそくさと出ていった。
「まったく……ああいうところは昔から変わっていないね……。」
「本当だよ……」とジュデボラがつぶやき、ラーイーダもコクコクと頭を小さく振っている。
「それじゃあ行こうか。」
と、ウェイアンさんが行こうとしたとき、「あ、あの…!すみません……!」と、後ろから少女らしき人の声がした。
振り返ってみるとそこにはウェイアンさんにあと一歩で破れたシールダーの少女がいた。
「あのー……優勝者のハルさんとお話が少しだけしたいんですけど……」と、少し申し訳無さそうに話している。
「あぁ。全然いいけど、ここだと人目がに気になるか?」なんとなくそんな感じがしたので訪ねてみる。
「まぁ……はい。少しそっちの路地の方で話しませんか?」
僕はウェイアンさん達に目をやる。
大丈夫だ。待ってる。という感じの表情で返されたのでその少女とともに路地へと向かった。
「あ……わざわざ時間取らせちゃってごめんなさい……私、マイって言います……。多分、ハルさんも日本から転生した感じですよね……?」
「あぁ……そうだけど……それの確認がしたかったのか?」
「いやっ、違います!実は……」
そう言ってマイと名乗った少女はうつむいて黙ってしまった。
「実は……?」そんなに重い話かと思いながら聞き返す。
「私と……パーティー組んでくれませんか……?」
「えっ……?」ごくごく普通のお願いに僕は思わず言葉が出てしまった。
「やっぱり……だめですかね……前に雇われたパーティーでも私、使えないって出されちゃって……その時にコロシアムのこのイベントがあって、前のパーティーのみんなを見返してやろうと思ったのに負けちゃって……」
「なーにそんなネガティブになってるんだ?」
「えっ?」
「僕が嫌って言うと思ってたみたいだけど、そんなことは言わないよ。ちょうどシールダー系の人は欲しかったから大歓迎さ。」
「あ、ありがとうございます!」
「ちょっと待っててくれ、さっきいた人達にお前も混ざっていいか聞いてくるから。」
「あっ、分かりました!」
異世界転生してからいいことなかったけどやっといいことが起こった気がする。
さぁ、ここからが本当の異世界ライフだ!
そう思いながら僕は路地から3人の元へ向かった。
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