悪魔の誘惑と天使の時間
悪魔の誘惑(sideガスパオロ)
「っくしょう……!なんだよあいつぁぁ!」
一人別れたガスパオロは少し寂れたような路地を一人イライラしながら歩いていた。
「ん?あなたの怒りの対処法見つけます?飲食店デービー?何だここは。今までここにこんな店あったっけな……」
少し疑いながらもガスパオロは店の扉を開ける。
カランカラン。と小さいドアについている鐘の音が店内に響き渡る。
「何だここ……少しおっかない気がするぞ……」
いつもは強気のガスパオロもこのときだけは少し怯えていた。
「いらっしゃいませ……。」
後ろから声がした。
「お、おい!どこから出てきた!?」
「さぁ?どこでしょうか……。」
そう悪魔のような姿をした店員が行った直後に電気が全て消えた。
「お席にご案内しますね……。」
その声を聞いたあとでガスパオロは意識を失った。
目が覚めると普通の喫茶店のような席に座っていた。
「お客様。ご注文は……」
「ぎゃぁぁ!?な、なんだ普通の店員か……驚かせてすまない……。」
「あ、はい……まだ決まってなさそうなのでまた後で来ますか……?」
「いや、ブラックコーヒーを頼む……」
「あ、はい……分かりました……!」
しばらく立ったあとでブラックコーヒーが机に置かれる。
「さっきのあれは何だったんだ……?」ブラックコーヒーを飲みながらガスパオロは考える。
「普通に寝ていただけから店内のあのイメージは違うはずだ……」
見た目じゃない……なら……体は?
「体はどうだ!?いや……何もないか……。」
体のあちこちを触ってみるが変化はない。
「でも、イライラはスッキリしたな……。ならいいか……。」
『よしよし…第一段階はうまく行ったな……』と奥の席で気味悪く笑う謎の男性がカフェにいた。
――――――――――――――――――――――
天使の時間(sideハル達)
「ん〜!美味しいです!このお肉!こんなの本当に奢ってもらっちゃっていいんですか!?」
「うん。もちろんさ。ここのお店は僕の友人が経営しているからね。」
「あ……なんか急に来たのにこんなの頂いちゃってすみません……」と、マイは丁寧にお礼を伝えている。
「いやいや、いいんだよ。ハルくんもついにモテ期かい?」と、ウェイアンさんがからかうように言ってくる。
「やっ、やめてくださいよ!そういうこと言うの!」と、少し大声で言ってしまう。
「いやいや、冗談だよ。はははは!」と、ウェイアンさんは笑っている。これは少し酔っ払ってるな……。
横のマイをちらっと見てみると何かが納得行かなそうな顔をしている。
「どうしたんだ?」と小声で聞くと「ここで言うのは恥ずかしいのでこの人達と別れてから話します。」と答えられた。
少し疑問に思いながら食事を終え、僕達は別れ、歩いていた。
道にはほとんど人はおらず、月が真上から照らしている。
「それで、話ってなんだ……?」
「あのハルくんを少し馬鹿にしてた人の言葉にカチンと来て……」
「まぁまぁ、あいつも少し酔ってたみたいだし、わざとふざけて言っただけだから。」
「違います!そういうことじゃないんです!」急に大声を出されて僕は少しびっくりする。
「えっ、どっ、どういうことだ……?」
「えっ……ここまで言って分からなかったですか……?簡単に言うと……私はハルくんが本当に好きなんですよ……。」
「はっ!?えっ!?ちょ、待て待て待て!?」急な告白に僕は動揺を隠せなかった。
「いやー……本当に戦ってるハルくんがかっこよすぎてそこで虜にされちゃったんだよね〜」などとマイは普通に話している。
確かに僕は転生前テニス部のエースで人気者だったことは間違いない。でも、告白はされたことはなかった。
「あはは!やっぱり騙されてた!友達としてってことだよ!やっぱり面白い人って言うのは合ってたみたい!」
「変な考え方した僕の方がやばい人みたいじゃないか…… 」
「まぁまぁ!これからパーティーメンバーとして一緒になるんですよ?これくらいのジョークは慣れておかないと!」
「それはそうだけど……最初に会った時と全然雰囲気違うんだけどそれは……」
ていうか言葉には出さなかったけどジョークの域超えてるよな……
「あー!キャラ作ってたに決まってるじゃないですか!」
「え?なんでだ……?」
「だって、世の中には悪趣味な人もいるじゃないですか?そういう人は最初に会ったような仕草をすると大体あんなこととかこんなことしてくるんですよ……」
よくわからないが女子というのは大変なのだろう……
「まぁ、ハルくんはそんな人じゃなさそうだったので、パーティー申請もしました!」
「なるほどね……」
「ってわけでよろしくね!」
「はいはい……」
このムードに慣れるのには少し時間がかかりそうだ……
でも、結果的に必要としていたシールダー役職の人もパーティーメンバーになってくれたし、これでいいのかもなぁ……
「ところで、今晩の宿とかって……」
「あっ、こんなことになると思ってなかったから一人分しか取ってない……」
「なーにやってんの……」
「何やってんのって言われたって……!」
そんなことを言いながらとりあえず宿に向かい、幸いにも一部屋空いていたのでニ部屋分を取ることができた。
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