圧倒的力
「やっぱり最後はウェイアンさんですよね……。」
「あったりまえじゃないか!僕がこのパーティーの中で一番の戦力だからね。」
「じゃあ、なぜガスパオロがリーダーに……?」
「その頃は一番彼が強かったんだ……。デメリットも出てきてなかったしね。」
「そうなのか……」
「まぁ、無駄話してても時間が過ぎるだけだ。勝負といこうじゃないか。」
「そうですね。」
僕達は審判に目で合図をする。
ファイト!という声と共に僕はウェイアンさんに向けてダッシュで向かう。
「まずはこいつからだ!マルタの剣を精製!」
マルタの剣を手に持ち、ウェイアンさんに切り込もうとする。しかし、その瞬間に僕のマルタの剣は粉々に砕かれていた。危ないと判断し、一度後ろへと下がる。
「なんで……同じマルタの剣のはずなのに……」
そう。ウェイアンさんの手には全く同じマルタの剣が握られていたのだ。
「武器の判別をできる目はあるのか……なるほどね。」
「ウェイアンさん、どういうことですか……?あの短時間で……武器を作るなんて同じスキルじゃなきゃ……」
「そもそも創り出すという考え方を捨てて考えてみな。
「まさか……!あのキューブが……!」
「その通り。僕のキューブは相手の攻撃の強化模倣が可能なんだよ。」
「強化模倣……上乗せってわけか……」
「そう考えてもらっていいね。つまり、君の攻撃はほぼ全て弾き返せるって訳さ。」
「そうも行かないと思うぞ……?木刀を精製。」
僕は木刀を作り、もう一度ウェイアンさんのところへ走っていく。
「今だ!レイピアを精製!」
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レイピア レア度 ★★★★★★
16〜17世紀のヨーロッパで使われていた武器。確実に攻撃を当てることに特化された少し重めの剣。
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「これさえ当てればっ!」僕は手を伸ばしてウェイアンさんのお腹辺りを狙って突きの体制を取る。
しかし、また弾かれる。たった数秒しかなかったのに……
「だから言ったでしょ?当てるのは無理だって。」
無理なはずはない……何か手立てはあるはず…………
「そうか……!」2連続のコンボを決めることにした。
「まずはこいつだ!」
レイピアを手に持ち、弾かれること前提でウェイアンさんに突っ込む。
「何回やったらわかるんですかね……」
よし!弾いてきた!
「騙されたな!マルタの剣を精製!」
マルタの剣を作り、一気に切り込もうとする。
しかし、金属音がして僕のマルタの剣は弾かれた。
「コンボを決めようとしても無駄ですよ。キューブの模倣スピードには追いつけませんから。」
「これもだめか……でも、これだと一生決着着かないがいいんか……?」
「無論、そんなつもりはありませんよ。キューブよ。龍魔剣を模倣しなさい。」
「なんで龍魔剣を!?」
「このキューブは過去に見たことのある武器も模倣できるんですよ。軽くて強いこの剣は僕にピッタリでね。」
そう言ってウェイアンさんはこちらに向かって来る。
「まずいっ!剣盾!」とりあえず剣盾を貼り、様子見する。
しかし、ガキガキガキン!と音がしてどんどん剣の層が壊されていく。
「っ……これじゃあガルフスの盾を作っても同じだな……」
一度、剣盾を捨て、ウェイアンさんを壁の方へ勢いで向かわせる。少しの時間稼ぎはこれでできるはずだ。
「ここに暴風を撃ち込めば!」
暴風剣を精製し、ウェイアンさんがいる方の空を切る。
暴風はウェイアンさんめがけて一直線に進んでいく。叩きつけられたあとで行動もままならないはずだった。
しかし、その後に見えたのはそれよりも一回り大きい暴風……いや、竜巻だった。
「おいおい……動けないのになんでだよ……」
そう呟きながら僕はその竜巻を避け、吸い込まれないように目の前に剣盾を貼って粘った。
やがて竜巻は消え、ウェイアンさんがゆっくり立ち上がる。
「危うく死にかけましたよ……吹き飛ばされているときにキューブの状態に戻しといて良かったです……」
「またしても失敗か……あのキューブの模倣スピードに追いつければ……スピード…………そうか!」
「またコンボを決めようと言うのですか……?無駄だとわかったというのに……」
「あぁ。ただ、無駄にはならなかったぞ。」
「は……?」
「見れば分かるさ。俺の決めようとしてるコンボがな。」
観客席はいつの間にか静まっていた。
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