相性の不利な一騎討ち
「まぁな……でも、対策を今思いついた。覚悟しとけよ?ジュデボラ。」
「へぇ……。魔術師に弱い剣士の君が?面白いじゃない。」
「ところで、すでにもう対策の準備が始まってるのは知ってるか?」
「何も変わっていないじゃないか。どこに対策のできるものがあるんだい?」
「それはだな……僕の後ろにあるものさ。」
その瞬間に後ろに剣を大量に浮かせる。飛行剣のパワーアップ版の武器、スカイソードを作ったのだ。
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スカイソード レア度 ★★★★★★★★★★
飛行剣の強化版。
最大20本の剣を一気に発射することが可能で、剣は実体となり、魔術ダメージ半減がついている。
何列も剣を出すことができるが、魔力を消費する。
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「この後ろにある剣はな……弱っちい魔法じゃ壊れないからな。魔力を使い果たさせてやる。」
「望むところよ。魔力切れになる前にあなたの結界を壊す!」
先に攻撃を出してきたのはジュデボラの方だった。大量の火球を飛ばしてくる。
「せいっ!」僕はスカイソードを2回振り、ジュデボラに接近する。
「そんなに近づいて大丈夫かい?」
「いくらリーチが心配なくなったとはいえ、一撃を喰らわせるのはこっちのほうがいいからな!」
僕はマルタの剣を作り、右手に持っていたスカイソードを左手に持ち替える。
「めんどくさい子だね……サモン・ゴーストナイト。」
ジュデボラに当たるはずだったマルタの剣は紫色の剣で抑えられていた。
そこには一人の幽霊剣士がいた。
「召喚魔法か……」
ここで粘っても体力が減るだけなので一旦後ろへ下がる。ゴーストナイトはこちらへと接近はせず、ジュデボラを守るかのようにジュデボラの前に立っている。
「そんなところに立ってていいのかい?幽霊さん。」
僕はジュデボラの後ろに大量に剣を出す。
ゴーストナイトは剣が飛ばされる直前で気づいたようで、何本かの剣を弾くことはできたが、ジュデボラをかばって被弾し、消えていった。
「こんなので済むと思ってたら大間違いだぞ?まだまだウォーミングアップだ。」そう言って僕はジュデボラの前と後ろに剣を出す。
「一気に二回分出せるのね……?」
「少し魔力を使うがな……横は観客席だ。ルール上入れないエリア。これで挟み撃ちで終わりだな。」
剣が発射され、勝負は決まったと思ったが……
「バーンシールド。
ジュデボラは両側に炎の壁を貼り、ほうきに乗ってさっき出した剣の届かない空を浮かんでいる。
「飛行スキル持ってたんかよ!」
「当たり前じゃない!持ってないのなんて魔術師らしくないもの。」
さっき発射した剣が届かないところでほうきに乗っているジュデボラがいる。
あの位置にいては剣を飛ばしても避けられて終わりだろう。
「その高さに逃げたことを後悔するんだな!暴風剣を精製!」
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暴風剣 レア度 ★★★★★★★★★★★
振った方向に暴風を起こす。巻き込まれた者は地面へと落とされる。
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「これでも喰らえぇぇぇ!」
僕は暴風剣をジュデボラのいる方向へ振った。
「もうこれ……暴風っていうより竜巻だよな……」
竜巻が来てもジュデボラは諦めきれないようで風魔法を詠唱していた。
「風の神よ。私に力を……!
「くっ……!」2つの風は相殺され、フィールドに突風が起こる。
「今しかチャンスはないな……」僕は飛行剣とスカイソードを二刀流で持ち、振る。
「頼む!当たってくれぇぇぇぇ!」僕の叫び声は爆発音と共にフィールドに響いた。
煙が晴れた先にはなんと、あれ程の猛攻を仕掛けたのに結界が残っているジュデボラがいた。
「おいおい……あれを生き延びるって、どんな魔法使ったんだ……?」
「簡単だよ。それに対抗できる程度の防御魔法を使ったのさ……魔力がもうほぼないけどね……」
「なるほどな……。なら、これでチェックメイトにできるな。」僕はスカイソードを2本持ち、ジュデボラの周りを囲うように剣を出す。
「ぐっ……がはっ……少し無理しすぎたか……」
一瞬の呼吸の苦しさと吐き気が来た。ここで決めれなかった場合、一撃を決められる可能性は高い。なんとしても仕留めなくては……。
「魔力を全部使い切ってでも防いでやるわ!ブレイクビーム!!」
「いけぇ!発射!!」
剣はブレイクビームの中に突っ込んでいく。
なんとか何本は切り抜けたかと思っても寸前で消えてしまう。
「っ……もう剣を出せる魔力はないか……ならば……死ぬ覚悟で……!」
僕は一番軽い木刀を手に持ち、ブレイクビームの間を飛び、自分で出した剣を踏み台にしてジュデボラの頭上を取る。
「まずいっ!ブレイクビーム!!」
「予想通りだ!剣盾!!」
僕はブレイクビームを剣盾で魔力切れのギリギリまで抑え込み、そこから手に持っていた木刀を振り落とす。
パリン。とシールドの割れる音がした。
勝ったのだ。
「やっとか……勝てた……」
そのまま僕はその場に座り込んだ。
しばらく経って「ハルくん。立てるかい?」そう言ってジュデボラが手を出してきた。先に回復魔法を審判の人にかけてもらったらしい。
「はい……。」
「すごく楽しい試合だったよ。こんなに本気で戦ったのは久しぶりだよ……。」
「楽しんでくれたなら良かったです。」
僕達は試合後に握手を交わし、フィールドから退場した。
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「その程度で魔力切れのようじゃ僕にはかなわないだろうね……」観客席の選手用席でキューブを撫でながらそう呟き、ニヤついている偽装士がいた。
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