変わった盾使い
「久しぶりね。ハルくん。元気にしてた?」
「えぇ。まあ。」
「ごめんね。相変わらずコイツは無口で。」
そこには魔術師のジュデボラとシールダーのラーイーダがいた。
「そっか……。シールダーは
「そ。そういうこと。」そう言うジュデボラの口は少し曲がっていた。
口元がにやけてる……何か秘策があるのか……?
そんなことを思いながら僕は二人と反対側の指定位置に立つ。
先程も聞いたルール説明も終わり、審判のファイト!という声が響く。
体に防御結界が貼られたのを確認してから僕は二人に向かって走り出す。
まずはリーチの問題もあるので魔術師を狙う。
マルタの剣を精製し、ジュデボラの方へダッシュで向かう。
「はぁぁぁぁ!」剣を構え、突き刺そうとする。
しかし、それをラーイーダが許さない。
動きが完全に読まれていたのか剣が彼女の振った盾によって弾き飛ばされる。その後、すぐに体に向けて盾を振ってこようとする。
僕は一旦後ろへ下がり作戦を考える。
「シールダーが必ず防御に来る……ならば……」
考えた作戦はこうだ。まずはマルタの剣で切り込もうとする行動を取る。接近するラーイーダに飛行剣のホログラム剣を当て、ノックアウトする作戦だ。
「まだまだぁ!」もう一度ジュデボラの方へ走り出す。タイミングを見計らい、飛行剣を出す。
飛行剣のホログラムにラーイーダは怯む……と思っていた。しかし、ホログラム剣はジュデボラの出した火炎魔法によって消された。
「っち……失敗か……」
「そんなにあたし達を甘く見ないで貰いたいね!!ラーイーダ!例のアレ頼むよ。」
「ん。
「え……?ちょっ……今……」言いかけている途中でラーイーダが物凄い勢いで盾を持って走ってくる。
「喰らいなさい。」盾が大きく僕に向けて振られる。
「マズイっ……!防御スキルは無い……ならば……
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剣盾 レア度 ???
剣を花形に10列配置したハルの特殊技。
10列の剣は全て硬い素材でできているため、一般の人では破壊できても一列が限界だろう。
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ガキン!と音がして、ラーイーダの盾が1列目の剣を破壊する。
「頼む……!耐えてくれ!!」
2列目……3列目…………おかしい……いくら獣化をしたとしてもこんな力までは行かないはず……
10列目が破壊される寸前で僕は魔力で剣を抑えるのをやめ、横に避けた。
砂埃が立ち、さっきまでいたところに大穴が空いており、そこの中にラーイーダはいた。
「ジュデボラ!ラーイーダの獣化、なんか特殊なやつだろ!」
「御名答。彼女のスキルの本当の名前は『
「まじかよ……」
それは剣盾を壊せるほど強いはずだ。剣盾の一個の防御力は2万ほど。さっきは少し魔力を込めていたのに突破されたのはおそらく攻撃力が3万を余裕で超えていたからだろう。
「待てよ……?」
僕は奥で少し息の荒くなっているラーイーダが目に入った。
「なるほどな……代償ありって感じか。ならば話は簡単だ。」
僕はもう一度剣を構える。でも、持つ剣は一番軽い武器、木刀。
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木刀 レア度 ★
一番軽くて手軽な武器。
イノシシを倒す程度の威力はある。
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「ほら!こっちだこっち!」
ラーイーダを挑発し、フィールドを駆け回る。
「あいつ……弱点を見破ったか……!でも、これならどうかな?
「っと……隕石か。なら、この剣だな。」
飛行剣を取り出し、振れるだけ振りまくる。
大量のホログラム剣はそれぞれ大量の隕石に向かって飛んでいく。
上空では隕石が破壊され、爆風が起こる。
「今しかないみたいだな…」
煙の中でもう一度飛行剣を振る。
3本のホログラム剣は煙の中に紛れ込んでいく。
「ラーイーダ!防御スキル!やられるよ!」
ジュデボラがそう叫んだあとで爆発音がした。
煙が晴れたときに見えたのは防御結界が剥がれたラーイーダだった。
「ラーイーダ選手、戦闘継続不可!退場をお願いします!」審判の声が響く。
観客席からは声援が上がってきた。
「さぁて、ジュデボラさん。これで一対一だ。」
「あぁ。ラーイーダに当たると困るからほとんど魔法を使ってないんだよね。魔力が有り余ってる。魔法はリーチの問題上君が一番嫌いだろう?」
「まぁな……でも、対策を今思いついた。覚悟しとけよ?ジュデボラ。」
そう言って僕はフィールドの反対側にいるジュデボラに向かって最初にされたようにニヤッと笑った。
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