転生初日

目が覚めるとそこは何もない原っぱだった。

服装は謎の声の人が言ってくれた通り変わっていた。

周りにはイノシシがいる。

「スキルで作った武器試すには丁度いいかな……って、武器ないじゃん……」

肝心なことを忘れていた。このスキルは武器などを作り出すので、携帯している武器がないのだ。

「初めに作れる武器ないのか……?多分これを言えばいけるはず……スキルオープン。」

昔読んだライトノベルを思い出して詠唱してみる。見事ビンゴだったようで、スキルの画面が出てくる。

『製作可能な武器・防具一覧 木の剣 木の盾』

「えっと……木の剣の消費材料は……木の棒50本に木材一本!?」

おいおい、これ鬼畜すぎるだろ……いくらなんでも道具のない状態で木をおるとか無理だろ!?

「絶対殴れば倒せるステータスでもないしなぁ……ステータスオープン。」

――――――――――――

井上陽翔 Lv.1


攻撃力 10


防御力 10


魔力 10  


素早さ 10


運 0(成長限界)

―――――――――――――

なんだよこれ…絶対イノシシ倒せないやん…

どうにかして考えなきゃ…とりあえず枝は折れば手に入るから取りに行くか…


そんなわけで近くの木に行こうとしたのだが…ハチが巣を作っていた。

「嘘だろおい……遠目で見てもあれでかいぞ…とても近づくのは危ないな……くっそ……!どれも駄目じゃねぇかよ……これが俗に言う詰みってやつ……ん?」

そう言いかけたとき、自分は近くの茂みにあるベリーのような果物を見つけた。

「これって確か……食べると毒なやつだったよな……イノシシに食わせたら皮ぐらいはゲットできるか……?」

そう考えた僕はベリーを何個か手に乗せてイノシシの方へ向かった。

「イノシシさ〜ん、ご飯ですよ〜。」

そう言って5体くらいにベリーみたいなのを食べさせた。

10分程経っても何も起こらず、毒は効かないのかかなと思ったとき、急にイノシシがコロンと倒れた。

「よしっ!あとはここから使えそうなものを取ってっと……」

集められたものはイノシシの牙(粗悪品)、イノシシの皮(粗悪品)だった。

待てよ……このイノシシの牙、あそこの岩を使えば……

「スキルオープン!  やった!ビンゴ!」

『制作可能な武器・防具一覧 木の剣 木の盾 槍(new!)』

「材料は……?木の棒20本、皮、イノシシの牙(2本)、ツタ これなら行ける!」

その後、他のイノシシからも牙、皮を回収し、ハチがいない低木を見つけたので、そこから枝を20本、幸いツタも巻いていたので貰ってきた。

「こっからは作業だな……。」

まずは牙を近場の岩を使って削る。曲がっているのでそこを取り除く。そして、ツタを通す凹みを作る。

そしたら、木の棒を束ねる。長くて太めのを取ってきておいてよかった。そこに牙を置き、ツタで巻きつける。

「よし!できた!」

――――――――――――――――――――

槍 レア度 ★

ありあわせの素材で作られた簡易的な武器。

使えても10回が限度だろう。

――――――――――――――――――――

「まぁ…あり合わせだし、しょうがないか…とりあえず今日は寝る場所がないからさっきの低木の根本に寄っかかって寝るしかないな……」


こうして大変な異世界の一日目は終わった。


気づけば目が覚めていた。

木に寄りかかっていることもあり、よくは寝れなかったが、朝を迎えた。

「今日の目標は街へ行くことだな…そうでもしないとこのままだと餓死しちゃうな…そうなると移動手段が欲しいなぁ……」

イノシシの方を見てみるとふと思いついたことがある。コイツにサドルかければ乗って行けるんじゃないか…?」

「スキルオープン。 やっぱりか。」

『製作可能な武器・防具一覧 木の剣 木の盾 槍 サドル ムチ 』

そこには、サドルとムチが追加されていた。

「サドルは皮2枚とツタ、ムチは皮の切れ端とツタか……。素材はあるからあとは作るだけだな。」

まずはサドルから。皮2枚ともにイノシシの牙で穴を空ける。そしてその穴にツタを通してくっつける。あとは体に結びつける分のツタを作って完成。ムチも同じように皮の切れ端に穴を開けてそこでツタを通して結ぶ。

あとはイノシシを捕まえて、サドルをつけるだけだ。

「アイツがいいな。元気が良さそうだ。」

見つけたイノシシは元気に走り回っていた。

何も言わずに捕まえると暴れられそうなので「よしよし……大丈夫だ。ちょっと上に乗るだけだからな……?」

そう言うとイノシシは落ち着いたのか暴れずにサドルをつけさせてくれた。

「そら、進め!」イノシシをパァン!とムチで打つ。

思ったよりも速く、乗り心地はいいわけではないが悪くもない。

これなら今日の夜までにどこかの街道か街には出られそうだ。

その後も結構な距離を進んだ。しかし、草原は広く中々街にも街道にも出ない。

「なんだよここ……おかしいだろ!どこ行っても草原じゃねぇか……」

そうつぶやいて周りを見渡していた時、ガシャン!とすごい音がして僕は一瞬宙に投げ出された。

「おいおい、マジかよ……偶然にも程がありすぎねぇか?」

そんな声がしてきた。何とか受け身を取れていたので立ち上がってみてみるとそこにはさっきまでなかったはずの荷車があった。

「え、は?なんで荷車が……さっきまでなかったのに……」

「マジで運が悪かったな。ウェイアン。」

そういいながら倒れた荷車からいかにも魔術師メイジらしい服装をした20代ほどの女性が降りてきた。

「あぁ……本当に偶然だったな……ジュデボラ……」

今度はジャケットらしきものを羽織り、キューブを持ちながら降りてきた男がいた。

とりあえず誤らなきゃ。それでお詫びに修理もしよう。

「あの……えっと……荷車壊してしまってすみませんでした……」

「いや、これは俺らにも非があるな……スキル使って馬車を隠して走ってたからな……」

「でもどうする?ウェイアン。これ、リーダーじゃないと修理出来ないよ?」

「あの……お詫びになるか分かりませんが、修理しましょうか?」

「もしかして生成クラフトスキル持ちか?」

「はい!精製クラフトスキル持ってます!材料さえあれば使えますよ!」

「材料……?まぁいいや。そこの坊やが直してくれるっていうし、余ってる素材渡して直してもらおうよ。」

「そうするか。ほれ、お前が壊しちまったこの荷車にあるのは全部使っていいぞ。」

そういってウェイアンという男性はジュデボラと共に近くの切り株に座って携帯食料のようなものを食べていた。

ご飯食べたい……昨日食事なしだったんだよ……そんなことを考えながら僕はスキルで荷車の車輪、床の板、屋根の布などいろいろ作った。

「ん?余ってる素材でアイテムボックスが3個作れるのか……丁度いい。お詫びと自分の分で作っちゃうか!」

そんなこんなで30分程で荷車は治り、アイテムボックスも作れた。

でも、これ作ったのはやりすぎたなぁ……

――――――――――――――――――――

アイテムボックス レア度 ★★★★★★★★★★★★

ほぼ底なしとも言われているアイテム収納箱。

特別な技師か、スキル持ちではないと作れないレアアイテム。

――――――――――――――――――――

「修理できました。あと、これお詫びといっては何ですが……」

アイテムボックスを渡した瞬間二人は驚いた顔をしていた。

「おい……ジュデボラ、こいつ……」

「あぁ……リーダーのところ連れていくしかないな……」

そんなことを話している。

「あの……リーダーって……?」

「話は馬車に乗りながらしよう!これはすごい発見だぞ!」

そう言って俺は馬車に無理矢理乗せられてしまった。

とりあえず移動中に食事を少し分けてもらえないか聞いてみよう。

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