第131話 神崎家 大団円!
家に帰りつき駐車場に車を止めると、仁は車から降りる前に美羽に確認をした。
「美羽、本当に思いだしたのか?」
「ええ、本当よ。私はお兄ちゃんの事が好き!子供の時だけどお兄ちゃんは私の事を許嫁だと言ってくれたわよね?」
「ああ、でも中学生の頃、美羽は俺の事を怒ってそれ以来、嫌いになったんじゃないのか?」
「あれは、お兄ちゃんが私の友達にひどい態度をとったと誤解していたから」
「誤解?」
「うん、あれは友達の方が酷かったのよね?私と仲良くしていたのもお兄ちゃんと親しくなりたかったからだとか言ったからよね?」
「なんで、それを…母さんに聞いたのか?」
「事の次第を知っている人がいて…それをたまたま教えてもらえたの」
嘘は言っていない。
もう一人の自分ルミアーナにおしえてもらったのだから…。
「…そう…か」
「お兄ちゃん…」
「ああ」
「私はお兄ちゃんの事が好きです。お兄ちゃんが嫌でなければ私をお兄ちゃんのお嫁さんにして下さい」
「美羽…」
そして仁が確かめるように美羽の頬を両手で持ち顔をあげさせる。
そして美羽の瞳を覗き込む。
その
潤んだ瞳で見上げる形になった美羽は恥ずかしさのあまりほんのりと頬を染める。
その恥じらいの表情は仁の男心を強く揺さぶり煽った。
「美羽…いいのか?もう兄には戻れない…お前を俺の嫁さんにするぞ?」
そんな言葉に美羽は、一瞬、目を見開き耳たぶや首筋まで真っ赤にした。
「はい…」と美羽が小さな声で、でもはっきりと答えた。
白い肌が赤く染まり、仁はもう堪えきれなくなる。
そして仁はゆっくりと顔を近づけ美羽に口づけたのだった。
そしてまだ高校生の美羽にこれ以上は…と武道で鍛えた鋼の精神力で、その先を堪えたのだった。
そして美羽と仁は車を降りて家に戻り、その夜、家族に婚約を告げた。
仁は美羽が高校を卒業するまでに気持ちが変わらなければ結婚すると家族に宣言したのだ。
「そっ!それは本当かっ!美羽っ!いいんだなっ!本当にいいんだなっ!?」と父が喜びすぎてひっくり返りそうな勢いで美羽に確認し、美羽は恥ずかしそうに頷いた。
父も母も大喜びで、姉もまた祝福してくれた。
「美羽!良かったわ。本当におめでとう」と、母は嬉し涙をにじませながら優しい笑顔で美羽を抱きよせて喜んだ。
「おめでとう!美羽!兄貴」静も満面の笑みである。
「皆、ありがとう。美羽の事、一生大事にする!俺に美羽を守らせてくれ」仁は家族にそう宣言した。
家族は皆笑顔でそれに応えた。
そして美羽はようやく、片思いに終止符を打ち美羽としての幸せを掴んだのだった。
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