第23話 国王夫妻の思惑
一方、国王夫妻はひそかに喜んでいた。
ルミアーナがダルタスと婚約破棄したのだからアクルスは駄目でも第二王子と会わせてみるのはどうだろうか?と王が王妃に提案したのだ。
首尾よく行けば
王妃は夫のその提案に大喜びで乗った!
王妃は王の素晴らしい発案を手放しで褒めたたえ、王に抱き着いて嬉しい悲鳴をあげる。
「きゃああ~!
上手くいけば、あの可愛らしい姫が自分たちの
甥であるダルタスには悪いが息子と結婚すればあの可愛い姫が義理の娘になるのだ。義理の姪よりやはり娘の方が
王妃は、三人の子を産んだが三人とも王子だった。
国としては万々歳といったところだが、王や王妃も人の子。
人は皆、無い物ねだりをする生き物なのである。(ああ何と
やはり、可愛らしい姫もほしかったのであ~る。
国王夫妻は、可愛らしくも美しいルミアーナにとにかくメロメロだったので、何とか
「ルミアーナよ!この度の事、何をもって償うのが一番そなたの気に添うであろうか?望みがあれば申せ。何でも良いぞ?」と国王が直々に声をかける。
ルミアーナは恐縮しながらも、少し考えて、はっとあることを思い付いた。
「王様、王妃様…それではもし…」
「「もし?」」
「なんじゃ?言うてみよ」
「…ですか?」
「「んん?」」と国王夫妻は身を乗り出してルミアーナの言葉に耳をかたむけた。
「ぶちのめして良いですか?」
「「へ?」」あまりにも予想外の言葉に国王夫妻は目が点になった。
「王太子様の謹慎がとけて東の塔から出られた後、ぶちのめしてもよろしいですか?」と、答えた。
このルミアーナの斜めうえな答えに『はて?』と国王夫妻は思った。
…が、しかし、そうか!ルミアーナは、王太子の愚行に怒っているのだ。
それは、無理もない。うんうん。
あんな目にあわされたのだから…と、理解した。
「あー、うむ。勿論である。
「そうよ、ルミアーナ、私もそなたの味方です。思う存分ぶちのめして、あの性根を叩き直してほしいくらいよ」とくすくすと笑いながら王妃も頷く。
(もうこの二人はすっかり親馬鹿ならぬ『
「まぁ!それを聞いて安心致しました。私、王族の方々に傷を負わせてはならぬから自分が死ぬしかないと思っておりました。これから武術を身につけ自分で自分を守れるようがんばりますわ」
「いやいや、それは危ないであろう?王太子は
と、王は笑いながらうんうんと頷いた。
頑張れば男に勝てると思っているルミアーナをまだまだ、子供なのだなと国王夫妻は微笑ましく感じた。
可愛いルミアーナの口から出た言葉であれば、『ぶちのめす』などと言う乱暴な言葉ですら可愛らしく感じるのだから不思議なものである。
国王夫妻(ルミ馬鹿達)にとってルミアーナの可愛さは真に『正義』だった!
「いいえ、陛下!私は正々堂々ぶちのめしたいのです。これは果たし合いですわ!」と言いつつ、ルミアーナは心の中でガッツポーズをした。
『よっしゃあ~!国王陛下!妃殿下の了解を得たり!言質取ったぁー!』と心の中で叫ぶルミアーナだった。
また王太子が不埒な事を仕掛けて来ようものなら返り討ちにしてくれるわ!と、意気込むルミアーナである。
その為には修行あるのみだ!
何故なら、ルミアーナはアクルスの事をチャラい(キモい)王太子のくせに武人としては中々の力を持っていると察していたからである。
多分だが、ダルタスに次ぐくらいの腕前とみている。
そして、そう理解している上で『奴を倒す!』ルミアーナは燃えていた!
目的が出来るとトレーニングに力が入るというものである。
そして、護身の為にも本格的な武術を習いたいと言うルミアーナの可愛らしい?我儘?も国王夫妻はしぶしぶながらも聞いてあげる事にした。
もはやルミアーナが王太子に嫁ぐ事はありえないであろうに、すっかりルミアーナが自分たちの娘のような扱いである。
それも相当な『親バカ』→『ルミ馬鹿』な状態である。
そして、すぐに、この国一番の女性騎士リゼラが紹介された。
ルミアーナは、とにかく自分で自分を守れるようになろう。
そして、愛しい人に
自分で自分を守れるようになったら…
そうしたら、またダルタス様とお会いしたい!
『
(ダルタスを
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