第124話
「なんで……あいつが……」
第三皇女、ミリア。
彼女は今、荒れに荒れていた。彼女のイグニス公爵家当主ガイアへの印象は最悪に近かった。
そんな彼女は第二皇女であるスシャーナ、トイ民族のトップであるアレシアと共にガイアが待っているという会議室へと向かっていた。
「……何故リーエが……」
スシャーナはその道中に頭を抱え込んでいた。
ガイアとの連絡のために出したリーエはスシャーナの元に戻ってこず、その代わりにリーエの手紙だけが届いたのだ。
ガイアの意思に従うように、っと書かれた手紙が。
「リーエ……」
そして自分の唯一の。血の繋がった存在であるリーエがヤバい人に捕らわれていると聞いたアレシアも気が気じゃなかった。
「ここか……」
三人はガイアに呼び出された会議室の前にたどり着く。
そこは王都に建てられているイグニス公爵家の屋敷の地下にある一室。
「失礼する」
スシャーナが扉を開け、中に入る。
「よぉ。待ってたぜ?お前ら」
部屋の中。石造りの一つのきれいな部屋。
中央には大理石の円卓が置かれ、13席の椅子が置かれている。
その椅子。一番奥に置かれている最もきれいな装飾が施された椅子にガイアが座り、その隣に三人の見覚えのない女性が立っていた。
「……何なの?」
ミリアがいの一番に口を開き、ガイアを睨みつける。
そこに友好のゆの字もなかった。
「そんなに荒れるなよ。お前。とりあえずそこに座れや」
ガイアは顎で席を示す。
「……ッ!」
そんな偉そうな態度にミリアは怒り、全力でガイアを睨みつける。
「待ちなさい」
今にでも掴みかかりそうなミリアを制し、スシャーナが一歩前に出る。
「あなたの協力には感謝しているわ。でも、私はあなたが何をしたいのか、わからないままなの。……リーエはどこ?あの子は私の大事な家臣なの」
「そう!リーエは!?」
アリシアもスシャーナの言葉に頷く。
「リーエ?」
ガイアは首を傾げる。
「そうよ」
「呼ばれているぞ?リーエ。こいつらは知り合いか?」
ガイアは隣に立っている女性の方を向き、一言告げる。
「いいえ。初めて会う人たちです。どうも。私の名前はリーエ。リーエ・トイです。はじめまして。……どこかでお会いしましたか?」
女性、リーエは笑顔で自己紹介を行い、きれいに頭を下げた。
「「「は?」」」
三人は何が何だが意味がわからず、首を傾げた。
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