第137話 世界皇帝ガイア
何故こんなことになったのだろうか。
僕はそんなことを考えながらゆっくりと立ち上がる。
「私はガイア。世界皇帝の地位をたった今、承った人間である」
今、僕が話している内容は僕の魔法によって全世界に発信されている。
「就任に辺り、私からは戦争について話したい。今回神国メシア並びに教会の信者たちによって引き起こされてしまった戦争によって数多くの人が失われた。戦争はひどく、痛ましい。得るものはなく、生み出すのは悲劇ばかりだ」
戦争の原因とも言える僕がこんなことを言っているの面白いよね。
やっていることナチスのようなもんなのに、自らを世界の警察と名乗る過去のアメリカみたいだ。
アーリア人以外を虐殺し、アーリア人の、アーリア人による、アリーア人のための政治を行って拡大したナチス。
ネイティブアメリカンを虐殺し、WASPの、WASPによる、WASPのための政治を行って拡大したアメリカ。
2つとも同じようなもんだよね。
全然関係ないことを考えながら、言葉を続ける。
「だからこそ、二度とこんな悲劇を繰り返してはならない。そのために我々世界の人類は一つとして共に考え、話し合っていく必要がある。神という上位存在を頼らず、自分たちだけで対話をする必要がある。各民族には各民族の過去が、文化がある。争いの火種は宗教だけではない。だが、決して火種を炎へと変えてはならない。変えないために世界連合が発足した。そして、私は世界皇帝として戦争を起こさないために尽力すると宣言する。全ては全人類のために」
これは脅しだ。
戦争したら僕が世界皇帝として動くよ?という。大陸全部を永久凍土にできてしまう僕からの脅した。
話し合いなんて結局無意味だ。
喧嘩は同じレベルの人間でしか成り立たないように、対話もまた同じレベルの人間でしか、同じレベルの武力を持った同士でなければ真の意味での対話は出来ない。
対話なんてするくらいなら、一人の独裁者が全部上から強制的に最善策を行っていくのが最も効率的なのだ。
まぁ、常に最善策を取れる一人の独裁者など居ないのが問題なのだけど。
「人類は人類の手によってのみ救われ、前に進むことが出来る。これより先に約束されている我ら人類の栄華に。私は人生を捧げよう」
僕は常に最善策を取れる一人の独裁者として君臨する。
これから先。永遠に。僕の時はすでに止まっている。
「人類に栄光あれ」
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