第127話 スキアが教皇へ突撃
「くそ……!まさかローオス帝国がここまで強大とは……!」
神国メシアを治める頂点にして、教会が信ずる神の代行者である教皇。
そんな男が神国メシアの王都に建てられた巨大な教会の最上階にいた。
「まだ早いが……あれを、最終兵器を出して……!全てを」
「いいや。もう終わりだ。終わりすべてが終わりだ」
僕は教皇のもとに降り立ち、ゆっくりと近づいていく。
「なっ!?な、何故!?何故お前が!?ガイアッ!!!」
「何言ってんだ?敵の頭を潰す。そんなもん戦いの常道だろう?」
驚愕し、叫ぶ教皇に僕は笑顔で告げる。
「殺しに来たよ……お前を」
「……ッ」
ようやく。
ようやくここまで来た。
教皇は僕の殺気に押され、息を飲んで一歩後ずさる。
「トイ王国を私利私欲のために滅ぼし、僕の姉を殺したお前を……ようやく殺せる時が来た」
「……偉大なる神の復活のためだ」
教皇は不気味なほど静かに言葉を告げる。
「否定しないのだな」
「……否定?何を馬鹿なことをッ!!!全ては神の復活のため!魔導生物を暴走させ数多の国を滅ぼし!トイ王国を滅ぼしたのも!全てはこのときのためだッ!」
教皇は叫ぶ。
狂ったように、吹っ切れたように。
「私を殺す!?お前が!?私を!?何を馬鹿なことを!全て私の手のひらで踊らされていただけに過ぎないお前がッ!!!そんなことできるはずがないだろッ!!!トイ王族!トイ王族だと知らずに足掻き、全てが無駄になった男よ!我らはお前を媒介にして神を復活させる!お前は私の行いを止めたつもりでも!操られていただけに過ぎないのだよ!」
僕は叫び、歓喜に喚き散らす教皇を眺める。
……哀れだ。実に哀れだ。神に取り憑かれ、自らの力で何を為すことも、上に行こうとする気持ちすらも奪われた哀れな男。
「……あぁ!神よ!今ここに……姿を現し給え!」
教皇が大きな宝石のような魔道具を握り、叫ぶ。
それと同時に魔道具が光り輝き、僕の瞳もそれに呼応されるようにチカチカと光り、点滅する。
「さぁ!神よ!その姿を降臨なされよ!そこにいる……私に操られた哀れなピエロに神罰をッ!!!」
教皇が膝を付き、涙を流し始める。
「ふん。操られていたのどちらだ。全ては『僕の想定通りだ』。お前の自信、生きている目的そのものである神をお前の目の前で殺す。ただそれだけだ」
世界が光りに包まれ、膨大な魔力が弾けた。
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