第123話 合流。ガイアと第二皇女の邂逅。

「よぉ」

 

 僕はこちらへと向かってくる第二皇女並びに自分の配下たちへと手を上げて告げる。


「我らイグニス公爵家騎士団。任務を遂行してまいりました」

 

 第二皇女に預けていたうちの騎士団の中で一番偉いやつが代表して僕に報告を行い、膝をついて僕に跪く。

 それに合わせて全ての騎士も僕に向かって頭を下げる。

 そこにはうちの騎士団以外にも第二皇女の騎士、グニギラ連合国から借り入れた騎士なんかもいるが、そいつらも全員僕に頭を下げた。


「あぁ。ご苦労」

 

 僕は氷で作った玉座に座ったまま告げる。


「……あなたも無事だったような」


「あぁ。当たり前だ」

 

 僕は地面に転がっている死にかけの第七皇子を掴み、第二皇女の方へと投げる。


「……ッ!お兄様を……こんなにもあっさり……」

 

 今代のローオス皇帝家の皇帝の子供は女よりも男の方が多い。第二である第二皇女よりも第七である第七皇子の方が歳は上だ。


「当たり前だろうが。誰だと思っている」


「……本当にすごいのね。なんで爪を隠していたのかしら?」


「爪を隠してなどおらん。ただ己の思うがままに行動しているだけにすぎん。勝手に侮ったのはそちらだ」


「……無茶苦茶ね」


「それが許される。イグニス公爵家はすでに帝国と戦えるだけの強さを持っている」


「……間違いではないのが何よりも恐ろしいわね」

 

 というか僕一人でローオス帝国を滅ぼせると言っても間違いじゃない。それだけの強さが僕にある。


「さっさと王都の方に向かうぞ。すでにお前の皇帝の座は確約されたも当然だ」

 

「えぇ……」

 

 第二皇女は僕の言葉に頷き、そして沈黙する。


「ん?」


「……ねぇ。なんで?」


「ん?」


「なんであなたは私の味方をするの?何故私を皇帝位につけようとしているの?」


「お前が一番優秀だからだ。それに、慣習が嫌いだ。お前なら今までの不要な慣習は排除して帝国のための政治を行えるであろう?お前を皇帝につけるのが最善と判断した。ただそれだけだ。何の策もない」 

 

 一応事実だ。皇帝位に誰かをつけるなら第二皇女以外はあり得ないと思っていた。


「……そう。ありがと」

 

 第二皇女は僕に笑顔を向け、そして歩き出した。

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