第110話

 スミリア王国最前線、第二防衛地点。


 スミリア王国の国家予算の多くを割いて作られた巨大な防衛戦。

 そこの総司令部に私を含め、スミリア王国の騎士のお偉いさん方が集まっていた。


「……ゲリラ戦はどうだ?」


「かなり削れたと思うぞ」

 

 騎士の一人の質問に私は答える。


「正規軍の数はかなり減らした……が、志願兵の場合は……如何せん数が多い。あまり狩れていないな。ゾクゾクと援軍も来ていると言うし……防衛戦はかなり厳しいものになるんじゃないか?」


「そうか……」

 

 そこで行われているのは作戦会議。

 ゲリラ戦を行ってはいるものの、それで完全に侵攻が防げるわけではない。

 もうすぐにでも神国メシアの軍勢が第二防衛拠点にまで迫ってきていた。


「兵糧はどれほどあるだろうか?」


「兵糧については問題ありません。中央からもしっかりと兵糧は送られています……が、矢に関しては少し心もとないかと……」


「それでは矢の方は私たちが調達いたしましょう」


「おぉ!」


「それはありがたい!」

 

 私のその言葉に他の騎士たちが喜びの声を上げる。

 矢の調達くらいいくらでも出来る。


「……イグニス公爵家にはお世話になってばかりだな……今、ローオス帝国も大変だと言うのに……」


「いやいや、私たちは至極当然のことをしているまでだ。自国がごたついたのを原因とし、友好国を見捨てることなどしない」


「本当にありがたい……」


 はっきりと断言した私に向かって他の騎士たちは深々と私に向かって頭を下げる。


「他にもなにか必要なものがあれば遠慮なく言ってほしい。全て我々が用意しよう」

 

 私はこの場にいる全員に向かってそう話した。

 ここでスミリア王国が神国メシアに敗戦するのは不味い。

 後の計画が全て狂ってしまう。

 私はスキア様よりスミリア王国を守るよう命令を下されている。負けるわけにはいかない……!

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