第97話

 フィーアはガイアの代わりとして。

 ドライは最前線で。

 アインスは神国メシアの神都で。

 

 他にも、転移魔法が使える者は情報を集めその伝達を行い、またある者は商会を操り、物流をコントロールし、またある者は類まれぬ人心掌握術を以てプロテスタントを信じる人を増やしていき、またある者は神国派の国々を仲違いさせていった。


 クロノスの円卓メンバー全員がその類まれぬ才覚を以て各々の場所で活躍させていった。


 彼が撒いた種を、クロノスの面々が芽吹かせていく。


 全ては自らの敬愛する『王』を『王』とするために……。

 

 ■■■■■

 

 かつて、ガイアはローオス帝国の内戦を起こし、それを発端として全世界を巻き込む大戦争を引き起こそうとしていた。

 

 神国メシアは一国でなく、教会を国教とする数多の国と協力することで初めてローオス帝国とまともにやりあえる。

 

 ならば、教会を国教とする数多の国を滅ぼしてしまえ。そう考え、全世界を戦争に巻き込むために撒いた種。


 それが実ることはなかった。その作戦は中止となったのだ。

 だがしかし、だからといって撒いた種が消滅するわけではない。


 未完成の種を上手く使い、『クロノス』は戦争を巻き起こしていた。

 

 ここ10年間戦争がなかったことが嘘のように各地で戦争が起こり、互いに殺し合っていく……。

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