第80話

「お姉さまッ!どうなさ……お姉さま?」

 

 勢いよく部屋の中へと入ってきた第三皇女。

 そんな彼女は首を傾げることになる。

 部屋の中で寛いでいる僕と第二皇女を見て。


「あら?そんなに慌ててどうしたの?あ、リーエ。お茶が無くなったわ注いで頂戴」


「只今」

 

 僕はテーブルに置かれているポットを手に取り、第二皇女が持っているカップへとお茶を注ぐ。

 その後に自分のものにも注ぎ、一つのクッキーを手にとって口に含む。


「本当に何をしているのですか!?」


「見てわからないかしら?ティータイムよ?」


 動揺している第三皇女に対して第二皇女はあくまで平常心で言葉を返す。


「ティータイム!?今にですか!?神国メシアでも、ローオス帝国でも内戦が起きている現状でですか!?」


「えぇ。パニックになって慌てて何か対策を立てるよりもゆっくりと考えるほうが良いのよ?」


「……」

 

 第三皇女は沈黙し、考える。

 第二皇女の方が、私よりも頭が良い!したがって……。

 そんなことを考えていると予想する。


「いや!それでも!いくらなんでも落ち着きすぎです!」

 

 結局耐えられなかったようだ。


「まぁ、良いから。落ち着きなさい。とりあえず座ったら?」


「……失礼します」

 

 第三皇女がゆっくりと席に座る。


「リーエ。一つ、カップを持ってきてちょうだい」


「わかりました。少々お待ち下さい」

 

 僕は立ち上がり、第三皇女のためのカップを取りに行くため部屋から退出する。

 地味に遠いんだよな。食器が置いてある所。

 なんであそこの部屋に食器がないんだよ。そんなことを考えながら僕は屋敷の中を洗練された動きで歩いた。

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