第79話
「はい」
僕は話し始める。
秘書。それが僕のお仕事だ。
部下から上がってくる色々な報告は僕が第二皇女よりも先に受ける。そして様々な情報をまとめてわかりやすいようにして報告する。
僕はすでに今回の件全てを知っているが、第二皇女はまだローオス帝国内で内戦が起きたことしか知らない。
「まず今回の件の全ての始まりとも言えるのが第七皇子への裁判のようです」
「裁判?」
第二皇女は少し顔をしかめながら尋ねてくる。
「はい」
僕は第二皇女に対して頷く。
「第一皇子の暗殺」
「……は?」
僕の一言に第二皇女が固まる。
「今から約一週間ほど前。第一皇子殿下が暗殺されるという事件が起きました。第二皇子殿下はそれを第七皇子の仕業と断定。そして、第七皇子不在の中行われた裁判で第七皇子は有罪判決を受け、死刑が決まりました。それに対して反発した第七皇子が反旗を翻したというのが今回の内戦です。たまたま第七皇子は王都から離れていたようです」
「……第二皇子の陰謀、よね?」
「はい。そうで間違いないかと思われます」
「はぁー」
第二皇女が深々とため息を吐き、目頭を抑える。
「第二皇子が決めに来たのね。……そうよね。武闘派の第七皇子にとって、神国メシアの内戦は絶好の好機。それを阻止しようとする第二皇子の考えは理解出来るわね」
恐ろしいのはそれをこんな形で阻止してしまう第二皇子が恐ろしいがな。
第一皇子を暗殺し、それを第七皇子へと罪を被せ、裁判を本人不在の中で起こして、有罪判決にさせるとかどうやったんだ……。全くもって検討つかない。
検討つかないなぁー。
なんかうちのクロノスの円卓メンバーが秘密裏に動いてるけど……検討つかないったら検討つかない!
「私に出来ることはあまり多くないわね。……お菓子をもってきてくれないかしら?」
「……お菓子?」
「えぇ。……とりあえずは甘味を補充しないとね。どうぜ今すぐに出来ることなんてないのだし。少しはのんびりしても良いでしょう?」
「よろしいのですか?最近は忙しくてあまり体を動かして無さ無いというのに、ストレスからか、よくつまみ食いをなされているようですが……いざというときに動きが鈍くなれると困るのですが」
「……ッ!!!」
僕の一言に第二皇女は頬を真っ赤に染める。
「良いから取りに行きなさい!」
「了承しました」
僕が部屋から出ていく寸前。
心配そうな表情で自分のお腹をつまみ、絶望の表情を浮かべた第二皇女の姿を見ることが出来た。
ふっ。良いものが見れた……。
さてはて。
今の所は順調そのもの。
このまま最後まで行くといいのだけどね?……あえてフラグをたてることでそのフラグをへし折るスタイル!!!
押せよ!押せよ!いや、押さんのかい!
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