第77話
「……ずっとこうしているわけにはいかないわね」
第二皇女が頭を振りながらようやくまともな言葉を話し始める。
「あなたは今回の件どうなると思う?」
「普通に鎮圧されることになるでしょう」
僕は第二皇女の問いにはっきりと答える。
確かにプロテスタントたちが起こした反乱は大きなものとなっているだろう。しかし、だからといってそれで神国メシアが倒れるなら誰も苦労しない。
神国メシアは大国であり、超大国であるローオス帝国の次に国力を保持している国家なのだ。
「まぁそうなるわよね……問題なのは」
「はい。ローオス帝国の動きとなるでしょう。プロテスタントたちを保護。そしてそのままそれを理由に神国メシアに対して戦争を引き起こすと予想出来るでしょう。神国メシアを滅ぼす。それ以上の手柄はないでしょうから」
「はぁー。そうよねぇー」
第二皇女は深々とため息をつく。
今回の件はローオス帝国にとって絶好の機会なのだ。それを逃すはずがないだろう。
「……どうしようかしら……どうするべきかしら?」
第二皇女がすがるような視線を向けてくる。
「さぁ?」
それに対して僕は首を傾げて返す。
「まぁそうよねぇー」
第二皇女は苦笑しながらお茶へと手をのばす。
今回の件。
第二皇女にとって最悪の他の何者でもない。
皇帝位を目指す彼女にとって、今動かなければ皇帝位に就くのは別の兄弟となるだろう。
だがしかし、今グニギラ連合国へと来ている第二皇女は動けない。
詰みである。
「はぁー。どうしようかしら」
心底困った。そんな様子を見せている第二皇女に対して僕は心の中で告げる。安心して良いよ、と。
どうせローオス帝国は動けなくなるのだから。
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