第69話

 グニギラ連合国。

 14つの国境、13つの共和国、12の民族、11の言語、10の宗教、9つの文字を持つ一つの国家であるグニギラ連合国の文化は多種多様。

 

 それはここ、グニギラ連合国の王都チットを見ればよくわかる。

 立ち並ぶ建築様式は多種多様。看板に書かれている文字も多種多様。

 聞こえてくる言語だってバラバラだ。

 乱雑とした町並みが並んでいる。

 街を歩く民族も多種多様だ。……12の民族のうち、たった一つの民族の姿は見えないけどね。


「お手を失礼します」


 まず最初に僕が馬車から降り、その後にまだ馬車に乗っている第三皇女へと手を差し伸べる。


「えぇ」

 

 そして、第三皇女が優雅に僕の言葉に対して頷き、手をとって馬車から降りてくる。


 僕たちローオス帝国一行はグニギラ連合国王都チットに到着したのだ。今、いるのはグニギラ連合国の王都に存在している王城のような立ち位置の大きな屋敷だ。

 この国に国王はいない。各民族の長たちが議会を作り、政治を行うというのがこの国の政治体系なのだ。国王がいない国家などこの国くらいだろう。


 実に、そう。実に実に長い旅路だった。僕はずっと第三皇女の愚痴を聞いていた。ずっとガイアへの、僕への愚痴を聞き続けた。理不尽。

 

「ようこそお越しくださいました。ローオス帝国の皆様方」

 

 グニギラ連合国最大民族の長であるまだ若い男、エレックが僕たちを出迎えてくれる。

 

「えぇ。あなたこそ出迎えご苦労ね」

 

 グニギラ連合国よりもローオス帝国のほうが遥かに国力が上である。エレックがへりくだり、第二皇女が偉そうに言葉を告げるという状況が出来上がる。


 それでもエレックと第二皇女は友好的に握手を交わし、歩き始める。

 そして、エレックや第二皇女、第三皇女を先頭に。

 その後ろを僕のような使用人たちがついていった。

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