第68話
「なんであんな男が……。あんな奴!最低なクソ野郎なのに!」
グニギラ連合国へと向かう馬車。僕は第三皇女と同じ馬車に乗っていた。
そこで僕は第三皇女の愚痴を延々と聞かされていた。基本的にずっと被っている良い子ちゃんの仮面を脱ぎ捨て、ダラダラモードで愚痴っている。
ちなみにこの馬車の中には僕と第三皇女しかいない。それに加えて魔法で絶対に外に声が漏れないように防音結界を張っているので安全である。
声は漏れない。
「あのクソ男!ガイアはクソなの!ぜっっっったいにお姉ちゃんを助けたのにも何かくだらないゴミのような理由があるに違いないわ!そう思うわよね!リーエ」
ひたすらに愚痴り続けている第三皇女はここで僕に話を振ってくる。
「いえ……僕の口からはなんとも申し上げられません」
平民でしかない僕が公爵家当主についてなんて話せるわけがないだろボケが。
ガイア、つまり僕と第三皇女は元々婚約者だったのだ。
王位継承戦に巻き込まれるのが嫌だった僕は第三皇女に嫌がらせしまくり好感度を落とし続け、なんとか婚約破棄に持っていったのだ。
あの時は大変だったよ。
「何でよ!別に良いわよ?ここなら誰も聞いていないでしょうしね」
第三皇女が平然と告げる。
「あなたの本音を聞かせなさいよぉー」
僕の向かいに座っていた第三皇女はわざわざ僕の隣へと席を移動し、頬を突きながら聞いてくる。
「……では」
僕は渋々口を開く。
「僕は感謝しているよ?公爵家当主が、どんなやつかは知らないけど助けてくれたのは事実だし。あの人がいなかったら僕は今も牢の中だったからね。何も出来なかった何処かの誰かさんよりはよっぽど感謝しているよ」
「むぐぅ」
僕の言葉に第三皇女は顔を仰け反らせ、頬を膨らませる。
「何でよ!どうせあいつは悪いやつなのよ!なんでわかってくれないのよ!」
本音で話したら何故か殴られる僕。理不尽。
僕は頬を膨らませて抗議してくる第三皇女をなだめ続けた。理不尽。
遅刻!
ロシアとウクライナの話をTwitterで見ていたら時間なくなっちゃった。てへぺろ。
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