第66話
「そうだね」
僕は頷く。
教会。
それは大陸最強の国であるローオス帝国に唯一抵抗出来る勢力と言えるだろう。
教会。
それは戦後に急速に勢力を広げた宗教である。
『教会』という短すぎる名前は教養0の民衆たちでも容易く理解出来たようで、それに加えて教典も祈れば救われる。ただそれだけであり、そのわかりやすさから爆発的な広がりを見せた。
ローオス帝国にまで影響圏を広げることはなかったが、それでもほとんどの国に広まった。
神国メシア。
教会の総本山がある国であり、国力はローオス帝国についで大陸第二位。そして、反ローオス帝国の筆頭である。
ローオス帝国と神国メシアは基本的にずっと争い続けている。
世界全土に教会の教えを広めようとしている神国メシアと、教会そのものに対して拒否の立場を取っているローオス帝国の仲の悪さは筋金入りなのだ。
そんな教会並びに神国メシアは自分たちの教典に書かれている神の再誕とかいうヤバすぎる魔法の発動。それを行おうとしている。
それが彼らの目的なのだ。
まぁつまるところ、神国メシアはローオス帝国の敵なのだ。ローオス帝国の敵、それ即ちイグニス公爵家の敵だ。
それに個人的にも……まぁ神国メシアは嫌いだ。
確実に神国メシアを教会を潰す。
それが僕の目的であり、『クロノス』の存在理由なのだ。
「じゃあそのためにすることはすでに話していると思う。そして、僕たちはここまでその準備を長きに渡って行ってきた」
「そうだね」
「大変でした」
「それがようやく実った。ようやくだ」
まぁ実ったタイミングは今の所僕の一秒の狂いすらなく僕の予想通りなのだけど。
「これから我々は行動を開始する。その行動。それを一から話していこう……」
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