第64話

 『クロノス』が円卓。

 そこに13人の男女が集まっていた。


「クロノス緊急会議を始める」

 

 円卓の一席に座ったこの場唯一の男である者……まぁつまり僕が静寂の空間の中言葉を告げる。


「あ、その前にお茶会しない?」

 

 厳かな空気。

 それはアインスの軽快な一言によってあっさりと潰される。


「アインス???」

 

 僕はアインスを凝視する。

 いつも一緒に一番ノリノリでこんな感じのロールプレイングを楽しんでくれるアインスが一体どうしたと言うのだ?


「わかっているわ。ここは裏の組織。ロールプレイングが何よりも大事なことくらい」


 ……ロールプレイングが一番大事なんてことはないんじゃないかなぁ?まぁ悪ノリしてロールプレイングこそが裏組織を裏組織たらしめている!とか口走ったけど。


「それでも……!みんなで集まるなんて久しぶりじゃない!なのにいきなり会議なんて味気ないわ。もっとみんなと親交を深めたいわ!今どうしている?くらいの話はしていいと思うの!」


「むむむ。確かにそうかもしんない」

 

 僕はアインスの言葉に頷く。


「じゃあとりあえずまずは会議じゃなくて飲み会でもしようか。……ううん。それではアインスくん。ワインを」

 

 僕は全力のイケボでそう告げる。ワインを。やっぱ裏組織のトップと言えばワインよな。


「はーい。みんなの分のぶどうジュース持ってくるわねー」


 ……少しはロールプレイングに付き合ってくれても良いんだよ?

 僕泣いちゃうよ?


「どうぞ!」

 

 そんなことを考えている間にアインスが手際よく僕のワイングラスにぶどうジュースを注いでくれる。ちなみに全員未成年なのでお酒は飲めない。

 

「それじゃあみんな!かんぱーい」


「「「「「「「「「「「「かんぱーい」」」」」」」」」」」」

 

 チリンッ

 ワイングラスがぶつかり合う音が響き、各々が好き勝手に会話を楽しみ始める。


「あ、そういえば褒美を上げるって言ってたよね?」


「そうです!えぇっと私は─────」

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