第48話

 暗い牢屋。

 石の牢屋に閉じ込められた僕は冷たい石の上に座り、ぼーっと座っていた。

 

「……スキア様」


 牢屋の暗闇の中、一つの声が響いてくる。

 

「フィーアか」


 僕は小さな声で呟く。

 

「はい。スキア様」

 

 闇より出てきた一人の少女が僕の前に跪く。

 黒い髪に黒い瞳を持った少女。遠くの島国の一族の末裔。

 びっくりするくらい小さな少女だ。僕と歳は同じくらいのはずだけど、その歳は小学校低学園くらいに見えるだろう。

 

「後はお任せください。スキア様」

 

 目の前の少女の姿が変わっていき、リーエの姿となる。

 これはフィーアの変身魔法だ。いつ見てもすごい魔法だ。

 まぁ僕も似たような事ができるんだけどね。


「うん。任せたよ」

 

 僕はフィーアに笑顔を見せる。そして、僕は禁術に分類される幻術魔術を発動させる。幻術魔術により捻じ曲げられた世界は僕の認識が変化する。

 僕はリーエからガイアへと認識を変化させる。

 

「じゃあ行ってくるね。ここは任せたよ」


「はい。ここはお任せください」 


 フィーアは僕へと頭を下げる。

 僕はそんなフィーアを置いて堂々と牢屋から出た。

 幻術魔法によって人々の認識を書き換えながら。

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