第37話
「今日の授業意味わからなかったんだが」
一人の男の子が机にうなだれ、ボヤく。
彼の名前はレイ・キリシヤ。キリシヤ男爵家の三男坊だ。一応貴族ではあるものの、男爵とかほとんど平民のようなもの。
ましてや三男坊ともなればただの平民のようなものである。
高身長でありスタイルも細長くて遠目から見ればイケメンに見えるような気もする男。おしゃれのセンスは終わり申していて、私服状態の彼を見ればみんながドン引くであろう。
ちなみに近くで見た人であれば全員がかっこよくないと答えることであろう。
「そうっすね。難しいっすからね。授業。段々と難しくなっていっているっすからね」
そんな彼の言葉に答えるのは一人の男。
彼の名前はア・サーレス。これまた男爵であるサーレス男爵家の八男坊。八男坊とか三男坊であるレイよりもひどい。扱い的にはもうそこら辺の平民以下である。
彼の身長は小さく、少しだけゴツい見た目をしている。なんか前世の野球部っぽそうなやつ。
まぁかっこよくはない。
「そうだねー」
僕も彼らに同意するように言葉を告げる。
久しぶりの学校。第二皇女に配下になるように言われ、毎日が忙しくなったことで授業もあまり受けられなかったし、こいつらと一緒にご飯を食べることも少なくなっていた。
そんな中での久しぶりのご飯。全くもって代わり映えのない話をしていた。話すことなどいつも同じ。授業が難しい。
彼らとの会話を適当にこなしながら昼食を取る。
ちなみに、今回の学食もまぁあまり美味しいものではなかった。
「ねぇ。あなたがリーエかしら?」
いきなり僕の偽名が呼ばれる。綺麗な女性の声で。
……うーん。デジャヴ。
「はい」
僕は名前を呼ばれた方を向く。
そこにいたのは公爵家令嬢。
エリュンデ公爵家、当主の娘だった。
「「「ぶえぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!」」」
僕の隣に座っていた二人が第二王女の姿を見たときの彷彿とさせるような信じられないと言わんばかりに目を瞠り、大きな声で叫び声を上げる。
そのせいで食堂にいた全員の注目を集めることになる。
うーん。これまたデジャヴ。
二回目だし、慣れようぜ?ふたりとも。
まぁ二人のような下級貴族からしてみれば公爵家の人間なんて雲の上の存在だからその反応が妥当といえば妥当だけど。
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