第25話

「なっ!?」

 

 何の前触れもなくいきなり距離を積めてきた僕に第三王女は驚愕に目を見開く。

 『縮地』刀術の奥義である縮地を使って僕は数メートルあった第三王女との距離をあっさりと積めてやったのだ。

 

 「ふふふ」

 

 僕はそのまま第三王女を押し倒し、馬乗りになる。

 上から第三王女を見下ろす。


「な、な、何を……?」


「第三王女であるあなたが遊牧民を味方する理由。それは何でしょうか?」


「あなたには関係ないわ!」

 

 第三王女は僕に組み伏せられた状態でもまだ抵抗しようと暴れる。

 そして、僕を口封じするためか。

 僕に向かって魔法を使ってくる。

 だが、その魔法は僕に当たらない。不発に終わる。

 

「無駄ですよ?あなたはすでに僕の手の中です」


 僕が使えように勉強した唯一の魔術。

 それが禁忌魔術。

 強すぎるがあまり誰も干渉することの出来ない圧倒的な魔法。

 遥か昔。

 勇者によって倒されたとされる魔王。

 そんなが怪物が有していた魔法。強すぎるがあまり誰も鑑賞できず、最早他の属性同様変化することなきこの世の不変の理として存在する魔法。

 禁忌魔術は、魔王の魔法に従い、事象を引き起こすものなのだ。


「あなたはすでに僕の術中ですよ?」

 

 そんな中で僕が使った魔術は幻想魔術。

 第三王女は魔術を使っているつもりで使えていないのだ。


「くっ!」


 第三王女が悔しそうに歯を食いしばる。


「な、何をするつもり!?私にエッチなことでもするつもりなの!?」


「……え?」

 

 僕はいきなり第三王女の口から出てきたエッチという言葉に驚く。


「良いわ!いくらでもすると良いわ!この私を欲望のはけ口にすると良い!」


「……え?」


「だからと言って心まであなたの思い通りになると思ったら大間違いなんだから!体は汚されようとも心だけは汚されないんだから!」

 

 第三王女は瞳に涙すら浮かべて僕を睨みつけてくる。


「えいや」

 

「あいた!?」

 

 僕は第三王女の脳天に手刀を落とした。


「いったいいつ僕があなたを襲いたいだなんて言ったんですか?」


「ふん!男なんてみんなそうなんだから!」

 

 第三王女はそっぽ向く。

 ……え?こんなに第三王女が追い込まれるまで貴族たちは彼女に欲情の視線を向けているの?

 隠そうとしろや……貴族ならば。確かに第三王女は貴族たちからエロい目で見られているという報告は受けていたけどさ。


「話を聞いていただけますか?」


「え?」


「僕は『まだ。風神が遊牧民の味方をする理由を話していなかったですね』と言ったんですが?聞いてくれません?」




 今度は異世界の新作!

 『異世界召喚2度目の最強勇者は絶賛迷子中!〜クラスメートを探して三千里。涙目迷子少年は人類最強も魔王様も全てを救い、全ての頂点にまで迷い込む〜』

 見てね!リンクを踏むだけでも!

 https://kakuyomu.jp/works/16816927859977336171/episodes/16816927859977338448

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