第16話

 僕はガタガタと馬車に揺られながら、北の砦に向かっていた。


 北の砦、ガナダルシア。ガナダルシア砦。

 北の遊牧民と戦うために作られた屈強な砦であり、最前線。

 そこに第三王女、ミリアがいるのだ。

 第三王女ミリア。王族の中でも高い魔術の才能があり、僕よりも年下にも関わらずすでに三属性使いとなっている秀才である。


 三属性使いというのは3つの属性の魔術を使えるということ。

 魔術。魔法を誰にも使えるように改変したもの。

 魔法がこの世の理を一から作り出すものであるのに対し、魔術はこの世の理を読み解きすでにあるこの世の理に従い、事象を引き起こすもの。

 一から理を作り出す魔法よりは若干威力が劣るものの汎用性の高さは魔術のほうが上だ。

 理論上この世の理を読み解くことさえ出来れば良いのだから。まぁとはいえ、理解するのにはセンスが必要になってくるため、結局そのセンスがあるかないかの才能勝負になるんだけど。

 まぁこの世の理を読み解くことなど不可能なのだが。

 その理由は簡単で、常にこの世の理が変動しているからだ。魔法によって。

 しかし、絶対に変化しない。不変の理もまた5つ存在している。

 その5つは五大属性と呼ばれ、それぞれ火属性、水属性、風属性、土属性、雷属性と呼ばれている。

 ミリアはその五大属性である水属性と風属性と雷属性を収めているのだ。

 

「ふぁー」

 

 僕はあくびを一つ。

 そういえばこんなふうにゆっくりするのも久しぶりだ。

 

「うーん」

 

 僕は自らの欲望に従い、眠りにつくことにした。

 

 ■■■■■

 

 それから三週間。ようやくガナダルシア砦についた。

 馬車での移動は時間がかかるのだ。

 ラノベとかだと大体盗賊とかが襲ってくるのだが、そんなことはなかった。

 なにもないまま僕は無事にガナダルシア砦に到着した。

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