第15話
「第三王女様のお手伝い、ですか?」
「えぇ、そうよ」
僕は第二王女に聞き返す。
いきなり第二王女の執務室に来るように命じられた僕。
執務室に入ってきた僕に向かって何の前口上もなしに第三王女の手伝いをしてほしいと頼まれたのだ。
「今、ミリアが行っている仕事のこと知っているかしら?」
ミリアとは第三王女の名前だ。
「す、すみません。知らないです……」
「まぁ平民なら仕方ないわね。でも、私の配下となったからにはそこらへんの情報収集能力が必要だから注意していてほしいわね」
「了解です」
僕は第二王女の言葉に頷く。
彼女にはちょいちょい情報提供していこう。
僕の計画のため、操り人形となってもらうことになるだろう。
「それで、今ミリアが受けている任務なんだけど結構北の遊牧民の撃滅なのよ」
この国の北には一つの村、町にに定住することなく、居住する場所を一年間を通じて何度か移動しながら主に牧畜を行って生活する人たち。
前世でいるところの遊牧民が住んでいる。
前世同様に馬などを用いた機動力を誇る高い軍事力を有しているのだが、遊牧民が生活している範囲は狭いため、前世の中世で最強だったモンゴル帝国ほどの驚異ではない。
魔術もあるので、そこそこの戦力で済んでいる。
彼らはちょいちょいこっちの国の領土で悪さすることがある。
第二王女はこっちの国で悪さしてきた遊牧民の撃滅を任務として受けているのだろう。
「ミリアは三属性使いでかなりの魔術師なのだけど、どうやらかなり手こずっているみたいでね。あなたにミリアの遊牧民の撃滅のお手伝いをしてきてほしいの」
「それをすることによって発生するメリットは何でしょうか?」
第二王女が第三王女を助けるのになにか重大な理由があったりしないだろうか。
「あら?姉が妹の心配をするのに理由がいるのかしら?」
「……そうですか」
僕は少し残念そうな顔を作り、答える。
やっぱまだ教えてくれないんだ。
「別に大した理由じゃないのよ。私の野望は誰も成し遂げた人がいないもの。少しでもいいから色々な人の好感度を稼いでおくべきだと思ってね」
まぁそれもそうか。塵も積もれば山となる、って言うしね。
想像を超える答えではなかったな。声色的に嘘でもなさそうだしな。
まぁ簡単な任務を与えて、経験を積ませておこうということだろう。遊牧民の撃滅くらいなら楽勝だろうしね。
むしろなんで第三王女が手こずっているのか不思議なくらいだ。
別に遊牧民になにかあったということもないのに。
「それで、やってくれるわよね?」
「はい!」
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